崇福寺

寺院

中国建築と和風建築が混在した、珍しい唐寺

今から400年近く前に創建された崇福寺(そうふくじ)は、随所に縁起尽くしの趣向があり、また中国様式と和式の建築が見事に融合している点で大変おもしろい。長崎に残る、いにしえの中国の香りを感じてみよう。

崇福寺は航海安全を祈って建設された} 崇福寺は航海安全を祈って建設された

明朝末期の文化が香る中国寺

朱に塗られた建物がエキゾチシズムを感じさせる崇福寺。中国様式の寺院としては日本最古のものである。この寺は福建省の華僑たちによって招かれた明僧、超然(ちょうねん)によって1629年(寛永6)に創立された。第一峰門(だいいっぽうもん)と大雄宝殿(だいゆうほうでん)は国宝である。ほかにも5つの国指定重要文化財や4つの県指定有形文化財、10の市指定有形文化財を有し、見どころが多い。崇福寺に到着すると、最初に目に入ってくるのが国指定重要文化財の三門だ。竜宮城を思わせるたたずまいから、竜宮門とも呼ばれる。創建時に造られた三門は火災などで倒壊しており、建物の多くを中国人技術者が建設した崇福寺にあって、現在の三門はのちの1849年(嘉永2)に日本人棟梁・大串五郎平(おおぐしごろうべい)によって造られている。屋根には火災避けのお守りとして対になった「鯱(しゃち)」が乗り、門には「獣環(じゅうかん)」という獅子のような獣の飾りが。この「獣環」、中国では珍しいものではないが、日本ではここにしかないという。

中国語でドアノッカーのことを「門環」という。獣のあしらいがある門環なので、「獣環」と称するようだ} 中国語でドアノッカーのことを「門環」という。獣のあしらいがある門環なので、「獣環」と称するようだ

門を美しく彩る、縁起づくしの装飾

三門を過ぎ、参道を登ったところにあるのが1つ目の国宝、「第一峰門」だ。建材を中国の寧波(にんぽー)で加工し、唐船で長崎まで運び込んで1644年(正保元)に創建されたのだという。門を下から見上げてみると、軒下の精緻な組物(くみもの)が目に入る。四手先三葉栱(よてさきさんようきょう)と呼ばれるもので、国内ではほかに類を見ない。中国でも珍しいものだという。極彩色で入念に描かれたさまざまな文様は「吉祥模様」で、瑞雲(ずいうん)、霊芝(れいし)などがモチーフになっている。門をくぐり、裏から眺めると、扉に大きくデザインされているのは青いコウモリとピンク色の牡丹(ぼたん)の花。どちらも中国では縁起物だ。見過ごしがちだが、屋根の破風板部分にある懸魚(げぎょ)という妻飾りにもコウモリが描かれているので注目してほしい。じっくり細部まで眺めてみると、日本の寺院との違いが見えてきて大変興味深い。

唐門や赤門、海天門とも呼ばれる「第一峰門」} 唐門や赤門、海天門とも呼ばれる「第一峰門」

堂々とした「第一峰」との扁額(へんがく)の筆跡は即非如一(そくひにょいち)によるもの} 堂々とした「第一峰」との扁額(へんがく)の筆跡は即非如一(そくひにょいち)によるもの

コウモリ(蝙蝠)は中国語で「ビェンフー」。「蝠」が「福」の発音と同じであるため縁起がいいとされる} コウモリ(蝙蝠)は中国語で「ビェンフー」。「蝠」が「福」の発音と同じであるため縁起がいいとされる

製作者の技術の高さを知る大雄宝殿

もう1つの国宝は1646年(正保3)に創建された本堂の「大雄宝殿」。当初は黄檗(おうばく)天井などを特徴とする、中国建築様式に則った単層の屋根が造られた。その35年ほどのちに和式の重層屋根に改築し、現在の姿になっている。和と中国の様式が違和感なく調和した姿は見事である。御本尊は坐像の釈迦如来。目視することはできないが、仏像の中は空洞になっていて、金属製の五臓(ごぞう)、布製の六腑(ろっぷ)が納められているという。国内で仏像の中に布製の内臓が見つかった事例はほかにもあるが、金属製のものは大変珍しい。周りに配されているのは、表情豊かな十八羅漢像。その楽しげな様子は見ているこちらの笑顔を誘う。どの仏像も中国人仏師の作で、高い技術がうかがえる。ほかにも観音堂や関帝堂などが納められた護法堂に媽祖堂(まそどう)、鐘鼓楼、大釜など、見どころがたくさん。時間をかけてじっくりとまわりたい寺院である。

御本尊の釈迦如来像は県指定有形文化財だ} 御本尊の釈迦如来像は県指定有形文化財だ

釈迦如来は麻布や和紙を漆で張り合わせるなどして作った乾漆像。十八羅漢像は寄木造り} 釈迦如来は麻布や和紙を漆で張り合わせるなどして作った乾漆像。十八羅漢像は寄木造り

大雄宝殿と庫裡(くり)とをつなぐ渡り廊下を兼ねた媽祖門。国指定重要文化財} 大雄宝殿と庫裡(くり)とをつなぐ渡り廊下を兼ねた媽祖門。国指定重要文化財

スポット詳細

住所
長崎県長崎市鍛冶屋町7-5 map map 地図
エリア
長崎エリア
電話番号
0958232645
時間
8:00-17:00(都合により閉門時間が変わる場合あり)
休業日
年中無休
料金
[拝観料]大人300円、高校生以下無料
※障害者手帳の提示で本人および介助者無料

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 長崎を代表する中華寺院は見どころ満載でした
    5.0 投稿日 : 2023.06.07
    長崎の路面電車の1系統の終点は、「崇福寺」駅でした。そこから数分、竜宮城を思わせるような、赤くて特徴的な形を持つ三門をくぐりぬけると、崇福寺の境内です。 この崇福寺は、福州地方の唐人たちの希望で、1629年に渡来した唐僧超然により創建されました。三門から境内に入ると、複雑な装飾が施された第一峰門があります。さらに大雄宝殿などのお堂が建ち並んでいて、コウモリや牡丹、桃の花など中国で縁起物とされる...
  • ユニークなお寺
    4.0 投稿日 : 2023.05.12
    長崎市にあります、中国の福州地方の唐人たちの希望で1629年に渡来した唐僧超然により創建されたけいふく寺福州とも呼ばれて龍宮門を思わせる山門もあります日本ではユニークなお寺です。
  • 関帝聖君にお参り出来ず
    3.0 投稿日 : 2022.05.15
    横浜中華街の関帝廟のように関帝聖君が鎮座されていてお詣りしたかつたのですが出来ませんでした。関係者でないとお参りできないようです。大切にされている印象がなく残念な感じでした。

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アクセス

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