鎮西大社諏訪神社

390年を超える長崎随一のパワースポット

諏訪・森崎・住吉の三社を祀る長崎の総氏神様。秋の例大祭「長崎くんち」の舞台であり、長崎市民が愛する神社。英語のおみくじもあるほど、外国人にも人気のパワースポット。

立派な大楠が背後にそびえる荘厳な雰囲気の拝殿

1625年(寛永2)に創建され、地元では「おすわさん」の愛称で親しまれている諏訪神社。大きな鳥居をくぐり、境内に向かう階段「長坂」を登りきると、山肌に立ち並ぶ家々の広がる長崎らしい景観を望むことができる。諏訪神社の起源は古く、戦国時代までさかのぼる。イエズス会の教会領となっていた長崎は、全国に先駆けてキリスト教が広まり、他教が排除されていた時代があった。対抗するように、かつて長崎に祀られていた「諏訪」「森崎」「住吉」の三社を、初代宮司となる青木賢清(かたきよ)が長崎奉行に願い出て、再興させたのが諏訪神社の始まりといわれている。幕末の1857年(安政4)には火災に見舞われたものの、その後再建され現在の美しい社殿を完成させた。

参道から数えて194段の階段を登ると、格別の景色を見ることができる「大門」にたどり着く

1634年(寛永11)から続く「長崎くんち」は、毎年10月7日から3日間、長崎市内の町を挙げて催される秋の例大祭。江戸時代、2人の遊女が諏訪神社神前において、謡曲「小舞」を奉納したことが長崎くんちの始まりといわれている。代表的な演し物は、龍踊(じゃおどり)、御朱印船、川船、本踊(ほんおどり)、鯨の潮吹き、コッコデショ、唐人船、阿蘭陀万歳など。7年に一度のサイクルで担当する踊町の順番がめぐってくるため、各年違った演し物が披露される。豪華絢爛な衣裳や心ひかれる音にも注目しながら、長い歴史のなかではぐくまれてきた国際色豊かな演し物を楽しみたい。

長崎くんちでは、この「長坂」の階段が観客席となり、たくさんの人で賑わう

境内にはさまざまなご利益のある狛犬が6体ほどあるので、ぜひ足を延ばしてもらいたい。まず、拝殿の左手にある「止め事成就の狛犬」は止め事にご利益があるとか。備え付けのコヨリを狛犬の脚に結び、禁酒・禁煙・受験のすべり止め等の祈願を。拝殿の右手には「願掛け狛犬」があり、狛犬をぐるりと回し祈願をする。これは、江戸時代、船の船員に惚れ込んでいた長崎の遊女が、海が荒れてもう1泊してほしいと願い狛犬をぐるりと回したのが始まりだそう。そのほか、心のトゲを抜いてくれる「トゲ抜き狛犬」、お金が倍になるという「高麗犬(こまいぬ)の井戸」など、ユニークな狛犬が境内に点在するので、ぜひ探してほしい。

「止め事成就の狛犬」の足にはびっしりとコヨリが結ばれている

高麗犬の井戸は、狛犬の口から湧き出る水でお金を洗うと倍になり、水を飲むと安産のご利益があるとされている

諏訪神社内はもちろん、参道から境内周辺にパワースポットや見どころが多いのも特徴だ。参道には「男石」と呼ばれる丸い形をした石や、「女石」と呼ばれる六角形をした石が埋め込まれており、これらの石を踏み、本殿正面にある「陰陽石」を踏んで参拝すると、縁結びの願い事が叶うとされている。また諏訪神社の奥には、緑豊かな玉園稲荷神社があり、災難除けとして信仰されている巨大な「かえる岩」や樹齢800年以上の楠の木「抱き大楠」が。ぜひ訪れたいパワースポットとなっている。さらに、大正時代にできた日本初の「英文みくじ」や明治時代の情緒豊かな表現で書かれた「和文みくじ」などがあるので、旅の思い出にしてもらいたい。

1982年(昭和57)に長崎が水害に見舞われた際、本殿の裏山の土砂崩れをくい止めた「かえる岩」