毘沙門堂

寺院

山科の森閑とした山腹にたたずむ格式高き門跡寺院

天台宗五箇室門跡の高い格式と、山寺の風情を合わせもつ古刹の毘沙門堂。後西天皇から賜った宸殿、116面にも及ぶ障壁画の数々、天井の龍や庭園など見どころもたっぷり。紅葉の景観は多くの人を魅了する。

阿吽の二天像が守護する仁王門} 阿吽の二天像が守護する仁王門

ゆるやかな坂道をたどり山腹の古刹へ

JR琵琶湖線や湖西線の山科駅、京阪電鉄京津線の京阪山科駅、そして地下鉄東西線の山科駅がほぼ同じ場所にあり、そこから山手の方向へ約20分、ゆるやかな坂道をたどってゆく。道の途中では琵琶湖疏水が流れ、水と自然が織りなす景色が美しい。山腹にあるお寺への道はまっすぐで、極楽橋を渡れば毘沙門堂の境内だ。橋から左へと進むと、急峻な石段の先に表門の仁王門がそびえ立つ。ここをくぐれば本堂のすぐ前に出られるが、もう少し歩いた先、勅使門へと延びる石段を上がるルートもある。幅の広い石段の両側にはカエデが生い茂り、門の美しさと相まって秋には紅葉の絶景となることで知られている場所だ。

極楽橋のかたわらに立つ、門跡寺院であることを示す石碑} 極楽橋のかたわらに立つ、門跡寺院であることを示す石碑

勅使門へと続く石段。晩秋には散った紅葉が、赤の絨毯のように広がる光景が美しい} 勅使門へと続く石段。晩秋には散った紅葉が、赤の絨毯のように広がる光景が美しい

飛鳥時代に毘沙門天を祀ったことに始まる

勅使門の左手の門から入り、シダレザクラの大木を通り過ぎて唐門をくぐったところに拝観受付がある。お寺の始まりは飛鳥時代までさかのぼり、703年(大宝3)に第42代・文武天皇の命により行基(ぎょうき)が創建したという。当初は京都御所の北方の出雲路にあり、繰り返される戦乱を経て、1665年(寛文5)、現在地に再建された。第111代・後西天皇の皇子・公弁(こうべん)法親王以来、皇室から住職を迎える「門跡寺院(もんぜきじいん)」となり、特に格式の高い天台宗五箇室門跡のひとつに数えられてきた。正式名称は出雲寺といい、本尊・毘沙門天像を祀ることから毘沙門堂と称されるようになった。この本尊は、天台宗の宗祖で比叡山延暦寺を開いた最澄の自作と伝わる秘仏だ。

優美な唐破風屋根を構える門をくぐって本堂へ} 優美な唐破風屋根を構える門をくぐって本堂へ

「天井龍」と逆遠近法の「動く襖絵」

拝観受付を済ませたら、正面の本殿に上がりお参りしよう。秘仏の本尊の代わりとなる御前立(おまえだち)が厨子の前に安置されている。次の霊殿では、狩野主信(かのうもりのぶ)が描いた天井の「八方睨みの龍」が必見だ。どこから見ても目が合い、天井が低いため細部まで楽しめる。さらに次の宸殿は後西天皇の旧殿であった建物で、見どころは116面にも及ぶ障壁画。見る位置によって絵が変化することから「動く襖絵」と呼ばれ、すべて狩野益信(かのうますのぶ)によるもの。たとえば「九老乃間」では、視線を右から左へ移すと絵の中の机の長さが変わってゆく。「とりあわずの間」では、門主とは会えないと言葉ではなく襖絵で伝えているのがおもしろい。

御所から移築した宸殿。宮中の雅を感じることができる} 御所から移築した宸殿。宮中の雅を感じることができる

四季折々の風景を楽しむ晩翠園

宸殿の北と東に広がるのは晩翠園(ばんすいえん)と名づけられた庭園だ。山腹の境内に谷川の水を引いて滝と池を設けた江戸時代初期の作庭という。宸殿内から眺めると、まるで自然がつくり出した一幅の絵画を見るようで、特に錦秋のころの景観はすばらしい。渡り廊下をたどり、位置を変えながら庭園鑑賞を楽しんでゆくと、本殿の前に戻ってくることができる。唐門を出て左手に回りこめば、豊臣秀吉の母が大坂城内に祀り、のちに秀吉の正室・ねねが高台寺に移したという高台弁財天にお参りできる。また西に隣接する双林院(山科聖天)は毘沙門堂の塔頭(たっちゅう)寺院で、深山幽谷の雰囲気に満ちている。

晩翠園の一角には、公弁親王が好まれた鞍馬の自然石の手水鉢がすえられている} 晩翠園の一角には、公弁親王が好まれた鞍馬の自然石の手水鉢がすえられている

人びとに福徳を与えてくれる高台弁財天} 人びとに福徳を与えてくれる高台弁財天

スポット詳細

住所
京都府京都市山科区安朱稲荷山町18 map map 地図
電話番号
0755810328
時間
[拝観受付]9:00-17:00(受付終了16:30)
[冬季(12月-2月末)]閉門16:00
休業日
無休
料金
【入山拝観料(本堂・宸殿・霊殿)】
[一般]500円
[高校生]400円
[小学生]300円
駐車場
あり(10台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-120分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • ★金髪の 碧き目も見る 桜かな
    5.0 投稿日 : 2023.04.03
    2023年3月31日に山科疏水の花見後、毘沙門堂を訪れました。有名な枝垂れ桜が丁度満開でした。枝を潜って中から見た桜も趣がありました。生憎曇り空でしたが、もし青空が見えたら風生の俳句そのままだったでしょう。★まさをなる 空よりしだれ ざくらかな境内には紫色の躑躅も咲いていました。
  • 天台宗の名刹
    4.0 投稿日 : 2023.03.08
    春の枝垂れ桜、秋の紅葉の美しさで知られる天台宗の名刹です。上京区の相国寺の傍に創建された出雲寺が始まりとされ、最澄が自ら作った毘沙門天を安置したことから、毘沙門堂と呼ばれるようになったことや、戦乱や焼失による荒廃の歴史を辿り、江戸時代、山科の現在地に再建され、皇族や摂関家の子弟が門主を務める門跡寺院になったこと等が境内の説明版に記されています。本尊の毘沙門天は毘沙門さんの通称で篤く信仰されると...
  • 勅使門の散紅葉を撮るのは難しい
    5.0 投稿日 : 2023.02.22
    山科の奥にある天台宗の門跡寺院です。山科駅を降りて坂をずっと上って行った突き当りにあります。清水寺と違って何もない坂道をずっと上っていかなければなりませんが、不思議と何度も足を向けてしまう魅力を持った寺院です。こちらの見どころは勅使門に続く石段を真っ赤に染める散紅葉でしょう。JR東海のCMで使われたこともあるので、ご存じの方も多いと思います。ですが、この景色を撮るのは難しく、何度か訪れていますが...

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アクセス

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