圓光寺

寺院

悟りの境地を表す庭園で心を整え無心になる

徳川家康が開いた学問所に始まる寺院。悟りへといたる過程を表すという庭園は、山の自然と溶け合って四季折々に麗しい情景をつくり出す。日本最古の木版活字や絵画の数々など、見どころがたっぷり。

周囲の山々を取り込んだおおらかな造りの「十牛之庭」} 周囲の山々を取り込んだおおらかな造りの「十牛之庭」

始まりは徳川家康が設立した学問所

最寄りの駅となる叡山電鉄の一乗寺駅で降り、曼殊院道(まんしゅいんみち)を東へたどると、道は次第に上り坂となる。「一乗寺下(さが)り松」を越え、詩仙堂手前の交差点を北へ向かうと現れるのが圓光寺の山門。駅から歩いて約15分の道のりだ。門をくぐったすぐ右手の拝観受付の足元では、敷石に自然石でトンボなどがデザインされて遊び心を感じられる。臨済宗南禅寺派の圓光寺は、江戸時代初期に徳川家康が京都の伏見に開いた学問所に始まり、僧侶にとどまらず多くの人の学びの場となったという。現在地に移されたのは1667年(寛文7)のことだ。時代が変わり幾度かの変遷あっても、今もお寺を訪れる人を懐深く迎え入れている。

竹林を抜ける風は夏でも心地いい} 竹林を抜ける風は夏でも心地いい

天空を駆ける龍が枯山水庭園に現れる

拝観受付から続く石畳の参道を、苔と松並木が彩る様子がすがすがしい。石段を上がると広々とした枯山水庭園が現れる。2013年(平成25)に作られた「奔龍庭(ほんりゅうてい)」で、白砂を雲海に見立て、石組で天空を自在に奔(はし)る龍を表しているそう。石の柱はかつて井戸に使われていたものという。庭の南側にある瑞雲閣(ずいうんかく)には、寺院に受け継がれてきた貴重な寺宝が展示されており、なかでもまだ学問所であった頃、「圓光寺版」と呼ぶ図書の出版のときに使われた日本最古の木製活字は珍しい。また、江戸時代中期の絵師・円山応挙は圓光寺によく足を運んで竹林を描いたといい、展示の『雨竹風竹図屏風』は応挙の墨絵の世界を堪能できる。

現存する5万個の木製活字のなかから一部が展示されている} 現存する5万個の木製活字のなかから一部が展示されている

悟りの境地を表す庭園は自然の絵画

「奔龍庭」から中門をくぐると、カエデと苔の美しい「十牛之庭(じゅうぎゅうのにわ)」だ。左手が本堂となり、手前には水琴窟があるので涼やかな音色を楽しみたい。お堂では富岡鉄斎筆の襖絵『米點山水図(べいてんさんすいず)』が迎えてくれる。点描のみで風景が表現され、1885年(明治18)に描かれたという。本尊の千手観音菩薩にお参りして先へ進むと、客殿の前に庭園が広がる。牧童が禅の悟りにいたるまでの道程を表す「十牛図」を題材とし、中央には牛の姿をした自然石が配されている。梁と柱を額縁に見立てれば、まるで一幅の自然の絵画を見るかのよう。秋ともなれば大勢の拝観客で賑わうが、自然がつくり出す情景は四季を通じて趣深い。

牛は人間が生まれながらにして持っている仏心を表しているという} 牛は人間が生まれながらにして持っている仏心を表しているという

水が豊かなこの地ならではの趣を演出する水琴窟} 水が豊かなこの地ならではの趣を演出する水琴窟

苔むす庭園を巡り山上から景色を堪能

「十牛之庭」は池泉回遊式だ。洛北で最古とされる「栖龍池(せいりゅうち)」があり、小さなお地蔵さまにも出合える。円山応挙の墨絵をほうふつとさせる竹林を抜けると空が開けて墓所となる。幕末の大老・井伊直弼(いいなおすけ)に寵愛され、間者として直弼を支えたが捕らえられ、三条河原で晒されたのちに尼僧となった村山たかもこの地に眠る。また、整備された小径が山の上へと続いており、家康を祀る東照宮、さらに洛北を展望できる絶景スポットが待ち構えている。往復にさほど時間はかからないので、高みからの眺望も楽しもう。近くには、詩仙堂や八大神社、金福寺といった社寺が点在し、散策しながらお参りできる。

山上には、徳川家康の歯を埋葬した東照宮が建つ} 山上には、徳川家康の歯を埋葬した東照宮が建つ

早朝坐禅の体験もできるので、公式サイトで確認を} 早朝坐禅の体験もできるので、公式サイトで確認を

スポット詳細

住所
京都府京都市左京区一乗寺小谷町13 map map 地図
電話番号
0757818025
時間
9:00-17:00
[2023/11/11-12/3]8:00-17:00(事前予約必要)
料金
【拝観料】
[大人]500円
[高・中学生]400円
[小学生]300円

【拝観料(11/15-12/10)】
[大人]1,000円
[高・中・小学生]500円
駐車場
あり(30台)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 紅葉時期以外に訪問しても いつも感動する美しさがあります
    5.0 投稿日 : 2023.05.28
    [曼殊院門跡]での《黄不動(国宝)》の特別公開(2023年5月13日-6月30日)と合わせ 5月23日参詣しました。 こちらは紅葉時期 大変人気がありますが それ以外は 特に混雑も無く 一方で[奔龍庭][十牛之庭][応挙竹林]は 季節に関係ない美しさがあり お気に入りのスポットです。 特に[十牛之庭]の杉苔は 手入れが良いのか いつもシットリとした緑色を誇っており、 玄関の襖絵[琳派彩還 四季草...
  • 雪の十牛之庭も乙なもの
    5.0 投稿日 : 2023.03.02
    一乗寺にある寺院です。京都の寺院としては比較的新しく、江戸時代になってから徳川家康公が足利学校の教師を招いて建てたものです。十牛之庭の紅葉が有名ですね。大雪の際に訪ねたのですが、ひっそりとしていて却って新鮮でした。紅葉の時期にしか訪れたことが無かったのですが、紅葉時期は予約しないと入れないほど大混雑しており、その所為もあってゆっくりと紅葉を楽しめません。良く紹介されているような本堂や瑞雲閣からの...
  • 和室内からの紅葉の景色が素晴らしい
    5.0 投稿日 : 2022.12.15
    11月20日頃に圓光寺を訪問しました。敷地内では至る所で紅葉・黄葉が綺麗に見られました。特に和室から眺める紅葉樹林の景色は趣があって良かったです。また秋になったら訪れたいと思いました。

TripAdvisorクチコミ評価

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アクセス

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最寄り

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