神護寺

寺院

空海が真言密教の修行に打ち込んだ、紅葉と国宝の寺

京都きっての紅葉の名所である高雄。その山中にたたずむ神護寺を拠点とし、唐から帰国した空海は真言宗の基礎を築いた。また、本尊の薬師如来像をはじめ、仏像、絵画、書など数々の国宝を有する寺としても知られる。

背の高いモミジが境内のいたるところに点在する} 背の高いモミジが境内のいたるところに点在する

平安京遷都の立役者・和気清麻呂が創建

神護寺へは、京都駅からJRバスで約50分、高雄で下車する。清滝川に架かる高雄橋を渡り、350段の石段を上ること約20分で寺の楼門に到着。

参道の石段はモミジのトンネル。とりわけ新緑と紅葉の頃が美しい} 参道の石段はモミジのトンネル。とりわけ新緑と紅葉の頃が美しい

創建は奈良時代にまでさかのぼる。称徳天皇の寵愛を受け権勢をふるっていた僧・道鏡が、宇佐八幡宮から「自分を天皇にせよ」とお告げがあったと主張する。そこで、ことの真偽を確かめるため現在の大分県にある宇佐八幡宮まで遣わされたのが貴族・和気清麻呂だ。ところが、宇佐でお告げが偽のものであることを見破り、道鏡の野望を阻止したことが原因で流罪になってしまう。のちに許され、官職に復帰した清麻呂は、桓武天皇に平安京遷都をすすめ、自身も新しい都の造営に力を尽くした。清麻呂が山中に創建した高雄山寺は、和気氏の菩提寺として守られ、さらに清麻呂の子らは最澄や空海を寺に招き、当時の仏教界に新たな風を吹き込んでいく。

楼門をくぐり、ほどなくしてある和気清麻呂公霊廟} 楼門をくぐり、ほどなくしてある和気清麻呂公霊廟

空海(弘法大師)の修行の場でもあった神護寺

平安時代になると、唐で真言密教を学んだ空海が、仏教の力で国家を護るため高雄山寺で修行を重ねる。後に嵯峨天皇から東寺を賜り、高野山を開創した空海にとって、高雄は都から近く、それでいて静かに考えをまとめられる地だったのかもしれない。寺には空海直筆の「灌頂暦名(かんじょうれきみょう)」が残されている。灌頂とは密教を学ぶ者が最初に受ける儀式で、出席者とそれぞれが縁を結んだ仏の名が書かれている。そのなかには、当時すでに平安仏教のリーダー的存在だった最澄や、清麻呂の息子の名もある。そして、824年(天長元)、空海は高雄山寺を、神護国祚真言寺(略して神護寺)に改名した。

空海が神護寺にいた頃の住まいにちなむ大師堂} 空海が神護寺にいた頃の住まいにちなむ大師堂

寺を復興した文覚と、国宝の薬師如来

空海が真言密教の大切な地とした神護寺も、貴族から武士の世に時代が移る平安後期には衰退してしまう。『平家物語』には、「扉は倒れて腐り、本尊の薬師如来も野ざらし、僧侶も住めない」とある。そこに登場したのが文覚上人。元は武士であった文覚は、持ち前の行動力で荘園を手に入れ、高野山や仁和寺から曼荼羅や仏像を返還してもらい、奇跡の再建を成し遂げた。当時、雨ざらしになっていたという薬師如来立像は、現在、金堂に安置されている。1本のカヤの木から彫り出された仏像で、奈良-平安時代の作。頼りがいのありそうな、どっしりと迫力あるお顔つきだ。内陣に入って仏像を拝することができるので、清麻呂も空海も文覚も手を合わせたであろう本尊に、ゆっくり時間をとって向き合いたい。金堂には、「灌頂暦名」や「伝源頼朝像」などの国宝(複製)も展示されている。

1935年(昭和10)築の金堂は、昭和仏堂建築の傑作とされる} 1935年(昭和10)築の金堂は、昭和仏堂建築の傑作とされる

神護寺は、国宝17点、重要文化財2800点余りを所蔵する文化財の宝庫でもある。毎年5月1-5日は寺宝虫払行事が執り行われ、数々の寺宝を間近で鑑賞することができる。

金堂から望む五大堂と毘沙門堂。桜や紅葉の頃が美しい} 金堂から望む五大堂と毘沙門堂。桜や紅葉の頃が美しい

清滝川の流れる高雄の山々で厄払い!

地蔵院のある辺りは、眺望が良く錦雲渓に広がる四季折々の景色が美しい。ここで体験したいのが「かわらけ投げ」。直径5cmほどの小さな素焼きの皿を、渓谷へ投げ飛ばして厄払いをする。さらに、願い事をしてから、上手く遠くへ飛ばすことができると願いが叶うともいわれる。投げるだけでもスッキリするので、ストレスの多い現代人にはおすすめだ。

フリスビーのように伏せて投げると、遠くまで飛ぶそう} フリスビーのように伏せて投げると、遠くまで飛ぶそう

神護寺をあとにしたら、参道の茶店でひと休み。空海が硯として使ったという伝説の硯石にちなんだ「もみじ餅」は、少し塩気が利いていて、広い境内を歩いたあとの疲れも吹き飛ぶ。時間があれば、栂尾の高山寺、槇尾の西明寺も合わせて訪れたい。

スポット詳細

住所
京都府京都市右京区梅ケ畑高雄町5 map map 地図
電話番号
0758611769
時間
9:00-16:00
休業日
無休
料金
[拝観料]大人600円、小学生300円
駐車場
なし
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
ペットの入店
可(一部のみ可)

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 紅葉の名所
    4.0 投稿日 : 2022.12.11
    紅葉と言えば高雄と言われるぐらい有名な紅葉の名所。京都駅からもJRバスが出ている。立派な山門や石段など、どこを取っても観光ポスターになりそうな光景が広がっている。谷に向かって瓦を投げる「瓦投げ」もできる。高雄から更に奥には、やはり紅葉の名所の槇尾、栂ノ尾があり、この三つを合わせて「三尾」という。
  • 参道の登りがきつい
    4.0 投稿日 : 2022.11.20
    11/19に訪問。ここに来るのはずいぶんと久しぶりのような気がします。7~8年は立っているでしょうか。ここは参道の石段が長くて、傾斜もきついんですよね。お年寄りにはきついかも。でも拝観受付が上なので、厳しいと思ったら引き返せます。そういう意味では良心的です。紅葉は本堂前の石段のところは真っ赤に色づいていてピークを迎えたようです。
  • 京都高雄の名刹
    5.0 投稿日 : 2022.08.11
    京都・高雄 三尾巡り、高雄山神護寺は高雄バス停から徒歩20分、西明寺からは徒歩25分位、最後は結構な階段を登ってようやく辿り着ける寺院です。国宝・重文が多数ある古刹で、広い境内には金堂を始め多くのお堂があり見応えあります、但し楼門は結構前から工事中との事ですが工事されている感じはありませんでした。境内には閼伽井、参道には硯石など、見どころも多くありました。参拝料は600円です。

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アクセス

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