寂光院
『平家物語』にも描かれる建礼門院ゆかりの古刹
日本の原風景のような山里をたどって
寂光院はバス停・大原から西へ徒歩約15分。のどかな田園風景のなかの小路を歩いてしばらくすると、路は山あいの地へと延びてゆく。途中にある「朧(おぼろ)の清水」は、平安時代末期、寂光院に向かう建礼門院が、月明かりの下で水面に姿を映したとされる小さな泉だ。このあとさらに緑が濃くなる山間部へと進んだ先に、静かにたたずむのが寂光院。入り口の拝観受付からは石段に誘われるように上がり、山門をくぐってまずは本堂にお参りしよう。本尊は鎌倉時代に刻まれた六万体地蔵尊だが、2000年(平成12)の火災によって損傷したため、現在は復元された彩色の美しい本尊が本堂に安置されている。
我が子を亡くした建礼門院が隠棲した地
寂光院は594年(推古2)、聖徳太子が父・用明天皇を供養するために創建したと伝わり、現在は天台宗の尼寺である。平安時代末期、平家滅亡の壇ノ浦の戦いで、息子の安徳天皇とともに入水し、ひとり助け出された平清盛の息女・徳子。のちに東山の長楽寺で出家し、建礼門院となって1185年(文治元)に寂光院に入り、平家一門や我が子、そして夫・高倉天皇の冥福を祈って終生過ごしたという。また、宮中の時代から建礼門院に仕えた阿波内侍(あわのないし)も出家し、大原での生活を支えたが、柴刈りに出たその姿が大原で働く女性「大原女(おはらめ)」のモデルになったといわれる。本堂には建礼門院と阿波内侍の各坐像も安置されている。
後白河法皇と建礼門院が再会した庭園
閑雅な趣をたたえ静かにたたずむ本堂の北側には、回遊式四方正面の庭園があり、その名のとおりどこから見ても正面となり、清浄な水が満ちる池に鯉が悠々と泳いでいる。本堂前に置かれている南部鉄の雪見燈籠は、伏見の桃山城にあったものを豊臣秀吉が寄進したのだとか。笠の形が特徴的で、よく見ると豊臣家の家紋・五三桐(ごさんのきり)の透かし彫りがあって興味深い。建礼門院がこの地に隠棲したことは『平家物語』などによって知られているが、本堂前の西側の庭園は『平家物語』に描かれた当時のままの景色とのことで、汀(みぎわ)の池や桜が、1186年(文治2)に建礼門院を訪ねた義父の後白河法皇が詠んだ歌に登場する。
境内の奥で凛とした空気に包まれる遺跡
御神木の千年姫小松のそばを通り、西門を抜けてゆくと現れるのが建礼門院が住んだとされる御庵室(ごあんしつ)遺跡だ。緑陰の下、苔むす広場にひっそりと立つ碑が、都から遠く離れた地で一族を弔い続けた建礼門院をしのばせる。宝物殿では『平家物語』ゆかりの文化財が見学できるので、平安の昔に思いを馳せてみよう。また、火災の被害に遭った旧本尊は収蔵庫にて安置されているのだが(非公開)、胎内に納められていたという3400体余りの小さな地蔵菩薩の一部も拝観できる。寂光院の近くには建礼門院が眠る大原西陵があるので、合わせてお参りしたい。
スポット詳細
- 住所
- 京都府京都市左京区大原草生町676 地図
- エリア
- 大原・鞍馬・貴船エリア
- 電話番号
- 0757443341
- 時間
-
[3/1-11/30]9:00-17:00
[12/1-12/31・1/4-2/28(2/29)]9:00-16:30
[1/1-1/3]10:00-16:00 - 料金
- [拝観志納金]大人・高校生600円、中学生350円、小学生100円
- 駐車場
-
なし
※近くに民間駐車場あり - クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- あり(一部)
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 英語メニュー
- あり(英語パンフレットあり)
- 滞在目安時間
- 0-30分
情報提供: ナビタイムジャパン
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- 聖徳太子が父帝用明天皇の菩提を弔う為に創建された。なにより壇ノ浦で助けられた建礼門院が滅亡した平家一門や安徳天皇の菩提を弔い、閑居された御所として有名。平家物語ゆかりの庭園もどこか物悲し面影が漂う。ちょうど大原ぎくと呼ばれるミヤコワスレが可憐に咲いていました。2000年の火災には驚きましたが、御本尊の六万体地蔵尊は鮮やかに復元されていました。寂光院手前の長い階段を登ると建礼門院の大原西陵があります...
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