伊勢神宮(外宮)

二見浦での禊のあと、外宮から内宮へ参拝するのが古くからのならわし

伊勢参りは衣食住と産業の神様が祀られた外宮から

近鉄・JR伊勢市駅から徒歩5分、伊勢自動車道伊勢西ICから車で7分。伊勢市の中心部、高倉山のふもとに鎮座する「豊受大神宮」は「外宮」と称され、「豊受大御神」を祀る。約1500年前、豊受大御神は、内宮の神・天照大御神の食事を司る「御饌都神(みけつかみ)」として「丹波国(たんばのくに)」から伊勢に迎えられた。それ以来、「御饌殿(みけでん)」では朝夕の二度、伊勢神宮の神々に食事を供える「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」が続けられている。伊勢神宮の祭典は「外宮先祭(げくうせんさい)」といい、まず外宮で祭儀が行われることから、この順序にならい、参拝も外宮から内宮の順に参拝するのが習わしだ。

防火のために造られた堀川に架かる火除橋と鳥居

まずは手水舎の流水で心身を清めてから参拝へ

一歩足を踏み入れると空気が澄み、おごそかな雰囲気。玉砂利を踏みしめて、正宮へ

外宮への参拝。神楽殿や正宮に続く表参道も楽しんで

表参道の火除橋から、樹齢約1000年の「清盛楠(きよもりぐす)」を通り、表参道を歩くと神楽殿や正宮(豊受大神宮)がたたずむ。社殿は内宮とほぼ同じ「唯一神名造(ゆいいつしんめいづくり)」。屋根の上には丸太のような「鰹木(かつおぎ)」が9本並んでいる。また斜めになっている2本の「千木(ちぎ)」は地上と垂直に切られている。内宮は鰹木が10本、千木が地上と並行なので違いを見つけるのもおもしろい。「外宮神楽殿(げぐうかぐらでん)」は鎌倉時代風の屋根が美しい建物。祈祷の「神楽(かぐら)」や「御饌(みけ)」を行う場所だ。お札やお守りも授与しており、御朱印も授与所でもらうことができる。

天照大御神の食事を司る豊受大御神が鎮座する

伊勢神宮の神楽殿は、外宮と内宮の双方にある

外宮に所属する4つの「別宮」

外宮には4つ(域内に3・域外に1)の「別宮(べつぐう)」がある。「多賀宮(たかのみや)」の神は、豊受大御神の「荒御魂(あらみたま)」。神様の御魂の穏やかな働きを「和御魂(にぎみたま)」といい、荒々しい働きを「荒御魂」という。多賀宮は外宮に所属する4つの別宮の中でも正宮に次ぐ大きさだ。
亀石を渡り、深い杉木立の中にある「土宮(つちのみや)」は、古くから「山田原(やまだのはら)」の土地の神様とされ、祭神は「大土乃御祖神(おおつちのみやのかみ)」。また、「風宮(かぜのみや)」の祭神は「級長津彦命(しなつひこのみこと)」と「級長戸辺命(しなべのみこと)」。農作物が雨風に影響を受けず順調に生育するように祈りがささげられる。ほかに、天照大御神の弟神である「月夜見尊(つきよのみこと)」を祀る「月夜見宮(つきよみのみや)」も、外宮北御門から北へ延びる通りの先にある。

98段の石段を登り別宮「多賀宮」へ

参拝のあとは名物「御饌丼」を味わう

外宮のおすすめは火除橋(表参道)→手水舎→正宮(豊受大神宮) →古殿池→三ツ石→別宮 多賀宮→別宮 土宮→別宮 風宮→外宮神楽殿の9か所を、約30分でまわるコース。より伊勢神宮を深く知るためには、「五丈殿」や「九丈殿」、神馬がいる「御厩」などをまわるのもいいだろう。北側の火除橋は、昔は表参道だったが、今は「裏参道」と呼ばれている。参拝のあとは、天照大御神の御饌(食事)を司る豊受大御神にちなんで、外宮界隈で食事をとるのもいい。三重県産の米、伊勢志摩食材、宮川・五十鈴川の水にこだわった「御饌丼」を食べられる店もある。