原鉄道模型博物館

博物館/科学館

精巧に作られた世界最大級のジオラマを有する鉄道ファン、模型ファンの聖地

鉄道をこよなく愛した原信太郎(のぶたろう)氏(1919~2014年)は世界的にも有名な鉄道模型製作者であり鉄道模型収集家。信太郎氏のもつ約6000点の鉄道模型のなかから1000点ほどを展示し、実際に走らせているのがここ、原鉄道模型博物館だ。

1番ゲージ(縮尺スケール約32分の1、線路幅45mm)の室内ジオラマとしては、一般公開されているもののなかで世界最大級} 1番ゲージ(縮尺スケール約32分の1、線路幅45mm)の室内ジオラマとしては、一般公開されているもののなかで世界最大級

みなとみらいのビルの中に広がる鉄道ワールド

みなとみらい線・新高島駅から徒歩3分、JR横浜駅東口からは徒歩5分。ビルが立ち並ぶみなとみらいの一角、横浜三井ビルディングの中に入ると館内のエスカレーター下に「原鉄道模型博物館」の看板がある。2階に上がるとそこは、2012年(平成24)に開館された鉄道博物館。鉄道模型製作・収集家である原信太郎氏のコレクションから約1000点もの鉄道関係資料を展示し、床面積は1200平方メートルにも及ぶ。信太郎氏のコレクションは鉄道模型をはじめ、鉄道書籍や自身で撮影した10万点ともいわれるスチール写真、フィルム映像など多岐にわたるが、生涯を通じて作り続けた精巧な模型を走らせるジオラマは館内の目玉となっている。

エスカレーターを上がると入り口がある。現在、日時指定の予約制なので、来館前にチケット予約を} エスカレーターを上がると入り口がある。現在、日時指定の予約制なので、来館前にチケット予約を

幼少期より鉄道を愛した原信太郎

1919年(大正8)生まれの原信太郎氏は物心ついた頃から鉄道を愛し、幼い頃には自転車を走らせ鉄道と鉄道模型を扱うおもちゃ屋を見てまわるような子どもだった。小学生になると、当時の首相の月給より高価な米国製の鉄道模型(博物館に展示中)を祖母に買ってもらっている。ヨーロッパの鉄道への憧れを高めていった信太郎氏は13歳の頃には自分で模型を作るようになる。車体はトタン板、窓はタガネで開け、ハンダ付けを用いてパンタグラフも自分で作った「1号機関車」は、今も博物館展示室で見ることができる。小学生の頃から自分が作りたい列車のためには、ないパーツを自ら作ろうとするその強い執念にも驚かされた。その後、豪華客車や登山鉄道など、さまざまな模型を作るが、信太郎氏が明治時代の幻の豪華客車をイメージして作り上げた完全オリジナル模型「或る列車」は、JR九州が2015年(平成27)に運行を開始した同名の豪華列車「或る列車」のモデルになり、実際に制作された。信太郎氏のアイディアによる金の色使いや唐草模様が施された列車は、現在も多くの人に愛されている。これら初期の自作模型はすべて入り口入ってすぐの第一展示室に飾られ、制作秘話や部品の解説まで細かく説明がされていた。

第一展示室に展示されている信太郎氏が制作した模型「或る列車」} 第一展示室に展示されている信太郎氏が制作した模型「或る列車」

第二展示室には信太郎が集めた膨大な収集品から模型列車がテーマ別に並べられ、鉄道の歴史や技術もひと目でわかるようになっていた。また第三展示室ではビンテージの鉄道模型や希少な鉄道玩具の展示を見ることもできる。信太郎氏が集めた「一番切符」のなかには1964年(昭和39)10月1日「ひかり1号列車出発式」のもので「ひかり1号、1号車、1番座席」とかなりレアなものもあった。そのあとに続く展示プロムナードでは信太郎氏が見てきた鉄道や彼自身の生きてきた道のりを年表や写真で詳しく解説。海外の鉄道を知るために小学生の頃から英語を習い、最終的にはドイツ語やロシア語など7か国の言葉をしゃべれるようになったことなど、エピソード満載の展示は見ていて飽きることがなかった。

第二展示室。壁には収集した模型をテーマ別に陳列、正面壁の写真は信太郎氏が自宅に作った「シャングリ・ラ博物館(非公開)」} 第二展示室。壁には収集した模型をテーマ別に陳列、正面壁の写真は信太郎氏が自宅に作った「シャングリ・ラ博物館(非公開)」

信太郎氏が10代の頃に描いた鉄道車輌の図面の展示もある} 信太郎氏が10代の頃に描いた鉄道車輌の図面の展示もある

本物の車輌が本物の町を滑走しているかのようなジオラマの世界

「原鉄道模型博物館」の最大の見どころは世界最大級のジオラマ「いちばんテツモパーク」。ジオラマの1周は70m、線路は6本あり、ヨーロッパ風のジオラマのなかに1番ゲージの蒸気・電気・トロリーの線路が走る。レールと車輪を本物同様に鉄で作ることで、レールのつなぎ目を列車が通過したときの「ゴトンゴトン」という車輌音も本物と変わらないリアルさで表現。また、列車の上の架線から集電しているのも本物と同じだ。パンタグラフも機能し、ときどき伸縮する様子を見ることができる。列車が通ったあとジオラマ内の信号が自動で青から赤に変わる工夫を施し、ブレーキがかかると車輪が削られ鉄のカスで錆びる様子も、線路下の石を赤く塗って再現した。走る車輌もさることながら、ジオラマそのもののこだわりにも目を見張るものがある。世界でも有数の大きさを誇るジオラマでありながら、細部まで、細かくていねいに作り込む。ジオラマの手前真ん中に立つ駅は信太郎氏のお気に入りのパリのリヨン駅がイメージだ。よく見ると時計もきちんと動いている。そこに集まる人たちもまるでそれぞれの生きざまが目に見えるようにリアルだ。列車のなかに信太郎氏自身がいたり、自然のなかにネッシーや雪男が隠れていたり、ジオラマは遊び心にあふれていた。

本物の運転台。車載カメラからモニターに映し出される映像は臨場感たっぷり} 本物の運転台。車載カメラからモニターに映し出される映像は臨場感たっぷり

上/かわいく並んだジオラマの住人たち 下/駅に入ってきた列車。実は列車の中に信太郎氏の姿が} 上/かわいく並んだジオラマの住人たち 下/駅に入ってきた列車。実は列車の中に信太郎氏の姿が

横浜も忠実に再現したジオラマ

ジオラマは時間の経過をもうまく表現し、辺りが暗くなると列車にライトが灯り、昼間だけでなく夜の様子も楽しめる工夫がされていた。また、ジオラマの奥の部屋は信太郎氏の自宅にある工房を再現し、修理などの様子をガラス窓から見ることができる。巨大ジオラマの部屋を出ると、隣の部屋には横浜の今昔を再現したジオラマ展示がある。巨大ジオラマは1番ゲージで線路幅が45mmだったが、こちらはHOゲージで16.5mmと少し小さい。現在のJR桜木町駅を中心に馬車道や中華街を再現。こちらも昼から夜、そして朝へと時間が経過し、朝のラッシュ時の喧騒などもリアルに表現されていた。ジオラマの世界に浸っているとあっというまに時間が過ぎていったが、もともと日本で初めて鉄道が通った発祥の地である港町・横浜に、このような立派な鉄道博物館があるのは必然なのかもしれない。横浜観光にぜひおすすめしたいスポットだ。

だんだん日が昇ってくる。観覧車の左にはランドマークも見えていた} だんだん日が昇ってくる。観覧車の左にはランドマークも見えていた

スポット詳細

住所
神奈川県横浜市西区高島1-1-2 横浜三井ビルディング2F map map 地図
電話番号
0456406699
時間
10:00-17:00(最終入館16:30)
※要予約
休業日
火、水(祝の場合は翌平日)
※詳細は博物館WEBサイトを参照
https://www.hara-mrm.com/
料金
【入館料】
[平日]大人1,200円、中学・高校生900円、小人(4歳以上)600円
[土日祝・ハイシーズン]大人1,300円、中学・高校生1,000円、小人(4歳以上)700円
※博物館web経由・チケット販売サービスeplusで、もしくはファミリーマートのマルチコピー機からチケットは購入可能
駐車場
あり(横浜三井ビルディング駐車場150台)
※有料
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】3,001-5,000円
【夜】3,001-5,000円
滞在目安時間
60-120分
車椅子での入店
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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最寄り

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