長栄山 池上本門寺

寺院

日蓮宗大本山のひとつ、池上本門寺は日蓮聖人入滅の霊場

今をイキイキと生きることが大切であると説いた日蓮宗の開祖、日蓮聖人。その入滅の場に立つ寺院が池上本門寺(いけがみほんもんじ)だ。時代を超えて老若男女無数の参拝者を迎え入れ、徳川将軍家をはじめ多くの信徒が眠る墓所でもある。

創建から740年以上の歴史をもつ池上本門寺。日蓮宗の大本山のひとつで、大田区を代表する観光スポットだ。写真は大堂} 創建から740年以上の歴史をもつ池上本門寺。日蓮宗の大本山のひとつで、大田区を代表する観光スポットだ。写真は大堂

湯治に向かう途中の武蔵国千束郷池上で入滅

鎌倉仏教のひとつである日蓮宗。仏教は栄えているのに天災や飢饉が続いて世は乱れ、民は苦しんでいることに疑念をもった日蓮聖人は、今の仏教の教えが間違っているのではないかと考えて、すべてのお経を学んだうえで「法華経」こそが釈迦の真の教えと確信し、ときには流罪となり、政府や他宗派の弾圧を受けながらも布教活動を続けた。晩年の9年間は山梨県の身延山に隠棲するが、やがて体調を崩し、常陸国へ湯治に向かう旅の途中で容態が悪化、武蔵国池上の領主・池上宗仲の館で亡くなった。時に1282年(弘安5)10月13日のこと。日蓮聖人の死を悼み、帰依していた宗仲が約23万平方メートル(7万坪)の寺域を寄進して建立されたのが池上本門寺である。日蓮宗の総本山である身延山久遠寺に次ぐ大寺院で、山号の「長栄山」は「法華経の道場として長く栄えるように」と日蓮聖人自らが付けたもの。毎年10月11日から13日までの3日間にわたり日蓮聖人をしのんで執り行われる「お会式」は全国最大規模だ。

お会式の12日夜には万灯練供養(まんどうねりくよう)が営まれ、江戸の火消しの象徴である纏(まとい)や日蓮聖人入滅の際に時ならぬ桜が咲いたという故事からしだれ桜を型どった万灯が練り歩く。毎年30万もの人が訪れる} お会式の12日夜には万灯練供養(まんどうねりくよう)が営まれ、江戸の火消しの象徴である纏(まとい)や日蓮聖人入滅の際に時ならぬ桜が咲いたという故事からしだれ桜を型どった万灯が練り歩く。毎年30万もの人が訪れる

本門寺境内散策(1)―池上駅から仁王門へ

本門寺へは都営地下鉄浅草線西馬込駅からアクセスするのもいいが、東急池上線の池上駅から行くのがおすすめ。旧参道の本門寺通りには名物のくず餅屋をはじめ、池上の個性的な店が並んでいる。7分ほど歩き呑川(のみがわ)を越えると、総門とその奥に階段が見えてくる。階段は此経難持坂(しきょうなんじざか)と呼ばれる石段で、戦国時代の武将であり日蓮宗に信仰のあつかった加藤清正が寄進したもの。法華経の一節の文字数と同じ96段あり、一気に登るのはちょっとつらいかも。石段を登り切ると二重の屋根をもつ仁王門(三門)が現れる。1945年(昭和20)4月の空襲で消失したが、1977年(昭和52)に復元された。旧三門は徳川2代将軍秀忠が五重塔とともに寄進建立したもので、かつては国宝に指定されていた。五重塔は仁王門の右手50mほど行ったところにあり、こちらは幸い戦火を免れた。

総門と此経難持坂。門に掲げられた「本門寺」の筆は書家としても知られた本阿弥光悦によるもので、門は2018年(平成30)に元禄の建立時の姿に復元された} 総門と此経難持坂。門に掲げられた「本門寺」の筆は書家としても知られた本阿弥光悦によるもので、門は2018年(平成30)に元禄の建立時の姿に復元された

関東地方に現存する最古の五重塔として国の重要文化財の指定を受けている。毎年4月第一土・日曜に特別開帳が行われる} 関東地方に現存する最古の五重塔として国の重要文化財の指定を受けている。毎年4月第一土・日曜に特別開帳が行われる

本門寺境内散策(2)―大堂から日蓮聖人ご廟所へ

仁王門をくぐると、正面に本瓦葺きの威風堂々たる建築物がある。本門寺のシンボル、大堂だ。大堂は祖師堂の通称で、堂内には日蓮聖人の御尊像(国指定重要文化財)と第2世日朗聖人像、第3世日輪聖人像が安置されている。大堂も戦争中に消失したが、1964年(昭和39)に再建された。大堂の前には案内所があり案内地図が用意されているほか、お守りや御朱印の授与も行っている。大堂で参拝したら、さらに奥へ進んでみよう。紅葉坂の道路を挟んで、横長の建物が「法華経」の教主釈迦牟尼仏や、四菩薩、祖師像の安置されている本門寺の本堂である本殿だ。この本殿も戦災で失われたが以前の建物は徳川8代将軍吉宗からも材を得て1730年(享保15)に再建されたものであった。本殿の左手をさらに進むと、日蓮聖人の御灰骨を納めた御廟所となる。ここでは偉大な聖人に手をあわせたい。

本殿と本院寺務所(右奥)。本門寺の敷地は約9万9000平方メートル(3万坪)といわれている。寺務所には休憩スペースもあり、ひと声かければ休憩することができる} 本殿と本院寺務所(右奥)。本門寺の敷地は約9万9000平方メートル(3万坪)といわれている。寺務所には休憩スペースもあり、ひと声かければ休憩することができる

中央の八角形の御堂が日蓮聖人の御廟で、左は第2世日朗聖人、右は第3世日輪聖人の御廟となっている} 中央の八角形の御堂が日蓮聖人の御廟で、左は第2世日朗聖人、右は第3世日輪聖人の御廟となっている

歴史上の人物や著名人の墓でも知られる

大衆はもちろん、徳川将軍家もあつく信仰した日蓮宗の大本山にはさまざまな人の墓がある。狩野探幽をはじめとした狩野家の絵師たち、小説家幸田露伴と娘の文子、「栄養学の父」と呼ばれた佐伯矩(さいきただす)、歌舞伎の7代目松本幸四郎、漫画『るろうに剣心』のモデルといわれ幕末尊王攘夷派の熊本藩士河上彦斎、敗戦後の日本にプロレスブームを巻き起こし、国中を熱狂させた力道山の墓もある。力道山の墓の近くには一周忌に建立された「力道山之碑」と腕を組んだ胸像も置かれている。本殿を挟んだ逆側にも足を運んでみたい。赤い塗りが印象的な多宝塔は、日蓮聖人を荼毘に付した場所で、1828年(文政11)に建立されたもの。内部の装飾がすばらしく、御会式(おえしき)の12日および13日の午前中のみ開帳される。さらに奥には紀伊徳川家の墓所もあり、江戸で亡くなった藩主の夫人が埋葬されている。

屋外に立つ宝塔形式の塔としては日本で唯一のもの。国指定の重要文化財となっている} 屋外に立つ宝塔形式の塔としては日本で唯一のもの。国指定の重要文化財となっている

徳川家康の側室で、紀伊家初代頼宣、水戸家初代頼房の生母であるお万の方らが眠っている} 徳川家康の側室で、紀伊家初代頼宣、水戸家初代頼房の生母であるお万の方らが眠っている

スポット詳細

住所
東京都大田区池上1-1-1 map map 地図
電話番号
0337522331
時間
[祈願受付]10:00-15:00
[開堂時間]5:00-16:00
休業日
無休
料金
[拝観料]無料
駐車場
あり(100台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
可(駐車場の一角のみ)
英語メニュー
あり
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 花祭り
    4.0 投稿日 : 2023.04.24
    ちょうど花祭りの時に伺うことができました。御主題も花祭り特別記念のものを頂け、とても幸せ。時間は合わなかったけど五重塔のご開帳もあったようです。桜満開から散る時期でしたので最高の花祭りに今年はなったのではないでしょうか。甘茶を購入し家で家族と頂きました。
  • 力道山の墓があります
    4.0 投稿日 : 2023.02.09
    池上駅から徒歩10分ほど。1282年創建の日蓮宗の寺院。総門は元禄年間(1688-1704年)築で総欅素木造。総門から仁王門(三門)までは加藤清正が寄進した96段の石段「此経難持坂」が続く。仁王門の先には日蓮聖人を祀る大堂(祖師堂)がある。1964年築で鉄筋コンクリート造。堂内に入っての参拝が可能だが撮影は不可。仁王門を右手に入ったところにあるのが五重塔(国重要文化財)。江戸幕府2代将軍徳川秀...
  • 気持ちが落ち着く場所
    5.0 投稿日 : 2022.10.22
    東京に居ながら、小京都のような雰囲気を楽しめる地域です。景色の良い時は、百段階段を登った所や展望台から、富士山や丹沢山脈を眺めることが出来ます。

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アクセス

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