備中松山城

城/城址

天守が現存する国内唯一の山城

臥牛山(がぎゅうざん)の標高430mの地点にある「備中松山城(びっちゅうまつやまじょう)」は、天守が残る「山城」。秋には雲海に浮かぶ神秘的な姿を見せるほか、猫城主の「さんじゅーろー」が人気となっている。

高梁市街地を眼下に、臥牛山に立つ「備中松山城」。堅牢な石垣が連なり、難攻の山城だったことがわかる} 高梁市街地を眼下に、臥牛山に立つ「備中松山城」。堅牢な石垣が連なり、難攻の山城だったことがわかる

鎌倉末期から争奪戦を繰り広げた山城

「備中松山城」は、国内にある「現存天守12城」のひとつに数えられる、「天守が現存する国内唯一の山城」だ。鎌倉時代、1240年(延応2)に秋庭重信(あきばしげのぶ)が大松山に砦を築いたことを起源とする。城の縄張りは変遷し、1566年(永禄9)に毛利氏の支援を受けた三村氏が城主となるが、1574年(天正2)、反旗をひるがえし織田信長側に。しかし、毛利・宇喜多両軍に攻め込まれ翌年に落城。戦国時代は、こうした争奪戦が繰り返され、城主が交替していたという。関ヶ原の合戦後、1600年(慶長5)に徳川家康は国奉公として小堀正次・政一(のちの遠州)親子を就かせた。1642年(寛永19)、水谷勝隆(みずのやかつたか)が城主になり、新田開拓や水路の開発で備中の経済基盤を整えた。2代目の勝宗(かつむね)は城の大改修を行い、このとき、現存の「天守」「二重櫓」などが大修復されている。その後も浅野氏、安藤氏、石川氏と替わったが、1744年(延享元)に板倉勝澄(いたくらかつずみ)が入城して以降は、7代続いて明治維新を迎えた。なかでも板倉勝静(かつきよ)は、儒学者の山田方谷(やまだほうこく)をブレーンに登用して藩政改革を行い、自身は江戸幕府の最後の老中首座に。司馬遼太郎著『峠』には主人公の長岡藩士河井継之助が山田方谷を慕って訪ねる場面がある。

国の重要文化財に指定されている「天守」。外から内は見えにくく、内から外は広く見える「武者窓(連子窓)」の構造がよくわかる} 国の重要文化財に指定されている「天守」。外から内は見えにくく、内から外は広く見える「武者窓(連子窓)」の構造がよくわかる

大手門脇の岩盤と石垣。自然の岩を上手く利用して石垣が造られている。ここから「天守」まで見どころが続く} 大手門脇の岩盤と石垣。自然の岩を上手く利用して石垣が造られている。ここから「天守」まで見どころが続く

「天守」「二重櫓」「三の平櫓東土塀」が国の重文

臥牛山に全域に築かれた備中松山城は、曲輪や堀切が残る中世城郭と、建物や石垣・土塁が残る近世城郭があるが、現在、一般に備中松山城として認識されているのは近世城郭部分だ。登城口となる「ふいご峠」は山の8合目。そこから天守まで山道と石段を徒歩で登っていく。最初の見どころ「大手門跡」を過ぎると見えてくる「三の平櫓東土塀」は国の重要文化財。土塀には、四角と丸の穴が空いているが、四角は弓矢用、丸は鉄砲用の「狭間」と呼ばれるものだ。さらに進み、本丸を目指す。漆喰塗りの壁と黒い腰板のコントラストが映える「天守」は、1階は16畳の大広間、その奥には囲炉裏がある。囲炉裏は籠城のときの食事・暖房に用いられたとされる。2層2階の天守の高さは11mと、現存天守のなかでは最も低い。「二重櫓」も2層2階になっている。「天守」の屋根や「大手門」の石垣や土塀などがNHK大河ドラマ『真田丸』のオープニング映像に登場し注目を集めた。また、最近は城に住み着いた猫が公式の「猫城主さんじゅーろー」として活躍。公式イラストをあしらった御城印なども人気となっている。

「三の平櫓東土塀」は手前の5つの狭間がある9.4m部分が現存で、国の重要文化財になっている。奥に続く土塀は復元したもの} 「三の平櫓東土塀」は手前の5つの狭間がある9.4m部分が現存で、国の重要文化財になっている。奥に続く土塀は復元したもの

石段で「猫城主さんじゅーろー」がお出迎え} 石段で「猫城主さんじゅーろー」がお出迎え

天守の内部の見事な梁。床には切り込みの囲炉裏が見える。天守に囲炉裏があるのは珍しいという} 天守の内部の見事な梁。床には切り込みの囲炉裏が見える。天守に囲炉裏があるのは珍しいという

天守の後方の守りを固める役割の「二重櫓」。天守同様に、基礎の部分に岩盤が生かされている} 天守の後方の守りを固める役割の「二重櫓」。天守同様に、基礎の部分に岩盤が生かされている

登城口から天守まで700mは徒歩必須

車の場合、5合目の「城見橋公園」に駐車し、登城整理バスで8合目の「ふいご峠(登城口)」まで行き、そこからは徒歩のみ。高低差100m以上、距離にして700m、約20分程度の道のりとなる。登城整理バスの運休日は「ふいご峠」まで車で行くことができる。「城見橋公園」から「天守」まで歩くと約50分。電車の場合は、JR備中高梁駅から「ふいご峠」まで予約制の乗合タクシー(約10分)が便利。登城整理バスの運休日や、乗合タクシーについては高梁市観光協会のウェブサイトをチェックのこと。

雲海に浮かぶ「天空の山城」

高梁市は盆地であり、秋から冬にかけ市街地は深い霧に覆われ、備中松山城が霧に浮かんだように見えるため、「天空の山城」ともいわれる。東向かいに「備中松山城雲海展望台」が設置されており、絶好の撮影ポイントになっている。国道180号線から賀陽IC方面へ続く国道484号線沿いの途中に「備中松山城雲海展望台」まで「ここから4km」という案内板が出ているので北に折れると、車で約10分。秋から冬にかけて前日と翌日早朝の気温差が大きいときに雲海が発生しやすいという。もし、雲海が見られなくても、側面から見る「天守」や「二重櫓」は一見の価値ありなので時間があるなら、展望台からの景色も眺めてみよう。展望台の周辺は、天然記念物のニホンザルが生息していて、遭遇する可能性があるが、近づいてきても食べ物を与えたり、にらんだり、相手にしないよう注意すること。

領民はもちろん藩士も立ち入りを制限されていたという「備中松山城」は藩の権威の象徴だった。市街地から城がある臥牛山を見上げる} 領民はもちろん藩士も立ち入りを制限されていたという「備中松山城」は藩の権威の象徴だった。市街地から城がある臥牛山を見上げる

スポット詳細

住所
岡山県高梁市内山下1 map map 地図
電話番号
0866210461
時間
[4月-9月]9:00-17:30
[10月-3月]9:00-16:30
※最終入城は閉城30分前まで
休業日
12/29-1/3
料金
【入城料】
[大人]500円
[小・中学生]200円
駐車場
あり(城見橋公園駐車場100台、ふいご峠駐車場14台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay)
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可(防火のため禁煙)
英語メニュー
あり(英語のパンフレットあり)
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
60-120分以上(登城時間含む)
乳幼児の入店
備考
※電話番号は、高梁市観光協会に繋がります。

情報提供: ナビタイムジャパン

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