岡山城

城/城址

名園のすぐ近くにある漆黒の「烏城(うじょう)」

「日本三名園」のひとつとされる「岡山後楽園」のすぐ近くにある「岡山城」は、今も岡山のシンボルとして親しまれている。2022年(令和4)にリニューアルし、歴史学者磯田道史氏が監修して展示も刷新し、さらに魅力的に。

岡山後楽園側から見た岡山城天守。右に見えるのは、空襲による焼失を免れた月見櫓(国指定重要文化財)、手前は旭川だ 岡山後楽園側から見た岡山城天守。右に見えるのは、空襲による焼失を免れた月見櫓(国指定重要文化財)、手前は旭川だ

岡山のシンボルとして親しまれる

城下町岡山のシンボルとして今も親しまれている岡山城は、旭川のほとり、かつて「岡山」と呼ばれた丘に立っている。これが岡山という地名の起こりとされる。堀に囲まれた現在の岡山城は本丸であり、藩主の住まいである御殿があった本段、その西側の、政治の場だった表書院があった中の段、それを取り囲む下の段の3段構造となっている。入母屋造りの基部に高層を重ねた望楼型の天守は3層。外壁が真黒のため、烏(からす)の城と書いて「烏城(うじょう)」と呼ばれ、瓦や装飾に金箔が使われたため「金烏城(きんうじょう)」とも呼ばれる。天守台は、高さ14.9mの石垣で平面が不等辺五角形になっているのも、ほかに例のない大きな特徴だ。本段南東にある自然石をそのまま積み上げた野面積(のづらづみ)の高石垣、加工した石を隙間なく組み上げた月見櫓の石垣など、歴代城主によって整備されたさまざまな積み方の石垣を見ることができるのもお城ファンに人気となっている。「本丸跡」は国史跡、「月見櫓」は国の重要文化財に指定されている。

石垣と外壁の一部の形を見ると、天守の建物が不等辺五角形をしているのがわかる 石垣と外壁の一部の形を見ると、天守の建物が不等辺五角形をしているのがわかる

自然石をそのまま利用した「野面(のづら)積み」の石垣 自然石をそのまま利用した「野面(のづら)積み」の石垣

奇跡的に戦災を免れた月見櫓は国の重要文化財。石垣は「打ち込みはぎ」で池田家の時代に築いたもの 奇跡的に戦災を免れた月見櫓は国の重要文化財。石垣は「打ち込みはぎ」で池田家の時代に築いたもの

令和の大改修でさらに興味深い展示に

岡山城は、戦国大名・宇喜多直家(うきたなおいえ)の嫡男で、豊臣秀吉の重臣だった宇喜多秀家(うきたひでいえ)が8年の歳月を費やして1597年(慶長2)に築いた。秀家は、旭川を城の背後を流れるようにし、山陽道を城下に引き込み、商人や職人を集めるなど城下町づくりを進め、それが現在の岡山の礎となっている。1600年(慶長5)の関ヶ原の合戦で西軍の主力となった秀家は敗れ、八丈島へ配流。そののちに小早川秀秋(こばやかわひであき)、次いで池田忠継(いけだただつぐ)が城主になり、代々の池田家の藩主が整備していった。明治になると天守閣と月見櫓を残して建物は取り壊され、岡山県立岡山第一中学校(現県立岡山朝日高)が建てられたが、1945年(昭和20)6月の空襲により天守、校舎とも焼失。天守は1966年(昭和41)に鉄筋コンクリート製で生まれ変わったが、耐震強化などのため「令和の大改修」を行い、2022年(令和4)に再オープンした。「令和の大改修」の監修は、岡山市出身の歴史学者磯田道史氏が務め、展示も全面一新している。

令和の大改修を監修した歴史学者磯田道史氏の岡山城愛が熱い!ミニ解説の掲示もある 令和の大改修を監修した歴史学者磯田道史氏の岡山城愛が熱い!ミニ解説の掲示もある

天守から南側を望む。左手前は「金烏城」の名前の由来になった金色に輝く鯱(しゃちほこ)、右奥に見えるのは岡山県庁 天守から南側を望む。左手前は「金烏城」の名前の由来になった金色に輝く鯱(しゃちほこ)、右奥に見えるのは岡山県庁

磯田氏によるミニ解説のパネルも

天守の内部は展示室となっている。まず、最上階6階を訪れ、階下に降りていくのがおすすめだ。窓から眼下に緑豊かな岡山後楽園や旭川のゆったりとした流れ、広がる街並みを眺めて殿様気分を満喫しよう。四隅に設けられた釣り鐘型をした窓は、天守建築では格式が高いといわれる「華頭窓(かとうまど)」の再現。5階からは、専門的な知識がなくとも大人から子どもまで岡山城の歴史と魅力をわかりやすく楽しく学べるように工夫を凝らした展示が続く。歴代城主の妻たちの視線で構成、城下町の形成過程を映像で表現したユニークなプロジェクションマッピング(5階)や、宇喜多秀家、池田輝政(いけだてるまさ)、小早川秀秋に焦点を当てたドラマ仕立ての「戦国合戦シアター」(3階)といった映像設備、1階には、刀や火縄銃の重さを実感でき、江戸時代の駕籠に乗って写真撮影もできる体験型展示が充実。随所に磯田氏によるミニ解説のパネルがあり、おもしろい。もちろん池田家関連の文化財の展示も(2階)。一部を除いて撮影可能で、撮影スポットがいくつも設けてある。

リニューアルでより興味深い展示になっている リニューアルでより興味深い展示になっている

お城の周辺の散策プランを立てよう

天守の周りは「烏城公園」となっていて、石垣が続く遊歩道も整備され、ぐるりと散策できるのでゆっくり歩いてみよう。また、周辺は「岡山後楽園」をはじめ、「林原美術館」「岡山県立図書館」「岡山シンフォニーホール」「岡山市立オリエント美術館」「岡山県立美術館」「夢二郷土美術館」などの文化施設が集中するカルチャーゾーンになっているので、それらもあわせてプランを立てるといい。

平成の発掘調査で発見された中の段北東部の石垣。宇喜多家の築城当時のもの 平成の発掘調査で発見された中の段北東部の石垣。宇喜多家の築城当時のもの

スポット詳細

住所
岡山県岡山市北区丸の内2-3-1 map map 地図
電話番号
0862252096
時間
9:00-17:30(最終入館17:00)
休業日
12/29-12/31
料金
【常設展】
[大人]320円
[小中学生]130円
駐車場
なし(烏城公園駐車場40台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、銀聯、DISCOVER、Diners Club)
電子マネー/スマートフォン決済
可(Suica、PASMO、QUICPay、iD、nanaco、WAON、楽天Edy、PayPay、ALIPAY)
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可
ベジタリアンセレクション
あり
英語メニュー
あり
平均予算
【昼】1-1,000円
滞在目安時間
30-60分
乳幼児の入店
備考
※岡山城天守閣は大規模改修工事のため、令和3年6月1日より休館中です。また令和3年7月30日から令和4年11月(リニューアルオープン予定日)までは岡山城(烏城公園)が通行禁止です。

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 再建だが、まずまずの美しさ
    3.0 投稿日 : 2022.01.29
    後楽園を出て県庁方面に向かうと濠の向こうに「烏城」が全貌を現します。烏、というと濡羽色を思い浮かべますが濃灰色、という方が近いかもしれません。天守自体は空襲で焼け落ちたものの再建ですが、50年以上経過しているわりには外観はきれいです。
  • 今は改修中で覆われています
    3.0 投稿日 : 2021.11.15
    岡山に行ったついでに見に行って見ましたが、タイミング悪く現在は改修中で覆われていて外観も見ることも出来ない状態でした。ただ、周囲はいい感じの雰囲気でありぶらぶら歩くだけでも気持ちよく行って良かったです。改修が終わったらまた行きたいと思います。
  • 豊臣時代の歴史を伝える漆黒の天守が美しいお城
    4.0 投稿日 : 2021.08.01
    豊臣時代の築城らしさを伝える漆黒の天守閣が美しく、旭川の川面に映えるお城でした。現存する月見櫓を除く、天守や2つの城門ともに再建ですが、大手門から本段に至る道筋の広さを含めて、備前の国の主城としての風格が伝わってきました。現在は内堀と烏城公園として残されているエリア以外は、堀は埋められて残っていませんが、旧二の丸あたりには、石垣などの遺構や景色が感じられる場所があり、駅への散策を楽しみながら帰路に...

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アクセス

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