角館樺細工伝承館

資料/郷土/展示/文学館

ヤマザクラの樹皮を使う伝統的工芸・樺細工の展示&実演を鑑賞

藩政時代に武士の手仕事として伝承されてきた国の伝統的工芸品「樺細工」。その工芸技術や歴史文化にまつわる展示を閲覧できる施設で、なかには本物の職人による実演コーナーやレトロな喫茶室、ショップも併設。

デザインや用途もさまざまな樺細工を実際に購入できる「物産展示室」(角館町物産協会)} デザインや用途もさまざまな樺細工を実際に購入できる「物産展示室」(角館町物産協会)

名匠の逸品に出合える文化継承&観光の拠点

JR角館駅から徒歩15分、最寄りの仙北市桜並木駐車場からは徒歩5分ほど。上級武士の屋敷が並ぶ表町通りに面して立つモダン建築。1978年(昭和53)に樺細工の振興と観光の拠点として誕生した展示施設だ。館内には1階と2階をあわせて4つの展示室があり、230年以上の歴史のなかで作られてきた名匠たちの逸品の数々を鑑賞できる。ほかにも角館の歴史文化に関わる特別展示、佐竹北家(さたけきたけ)に伝承された鎧や甲冑などの武具の展示、樺細工以外の角館の伝統工芸品である白岩焼(しらいわやき)、ヒバ材を使用した塗りものの角館春慶(かくのだてしゅんけい)、イタヤ細工など、バリエーション豊かな展示で観光客を魅了している。設計は日本を代表する建築家の大江宏(おおえひろし)であり、伝統とモダニズムが見事に融合した意匠は現代建築としての評価も高い。館内には実演室が設けられており、現役の樺細工職人たちの手仕事を間近で眺めたり、声をかけたりすることもできる。ヨーロッパの教会のような喫茶室でのんびりコーヒーをいただくのもおすすめだ。

外は武家屋敷になじみながらも、中に入ると明治や大正時代のレトロな雰囲気がある伝承館} 外は武家屋敷になじみながらも、中に入ると明治や大正時代のレトロな雰囲気がある伝承館

樺細工には3つの工法がありデザインや用途も多種多様} 樺細工には3つの工法がありデザインや用途も多種多様

角館の当主であった佐竹北家ゆかりの武具や甲冑、古文書なども鑑賞できる展示室} 角館の当主であった佐竹北家ゆかりの武具や甲冑、古文書なども鑑賞できる展示室

武家屋敷になじむモダン建築にも注目

伝承館は武家屋敷が集中している重要伝統的建造物群保存地区内にありながら、上級武家の薬医門(やくいもん)をモチーフにした入り口の門、茅葺き屋根のようなシルエットの屋根など、見事に街並みに溶け込んでいる。館内は中世ヨーロッパのパティオを思わせる中庭があり、展示室や物産展示室がぐるりと囲む造りになっている。そもそも樺細工とはヤマザクラの樹皮を使った工芸品のことで、特有の光沢や奥深い色合いなどの美しさだけではなく、抗菌・防湿効果も兼ね備えた実用性の高い工芸品だ。古くは18世紀後半にあたる天明年間に佐竹北家(さたけきたけ)に伝わり、印籠(いんろう)や根付等の飾り付けなど、下級武士の手仕事として定着。明治時代には木地ものという技法を確立しつつ地域の産業に発展。昭和に入ると民芸運動の祖である柳宗悦(やなぎそうえつ)の指導を受けながら、実用美を追求する工芸品として価値を高めてきた。館内の展示パネルでは、樺細工の歴史的な背景もわかりやすく解説されている。

アーチをあわせた小屋組み設計が印象的な吹き抜けの観光案内ホール} アーチをあわせた小屋組み設計が印象的な吹き抜けの観光案内ホール

現代の名工に認定された職人たちの逸品も展示されている} 現代の名工に認定された職人たちの逸品も展示されている

3つの伝統的な技法で作られる美しさ

角館の樺細工には3つの技法がある。1つ目が木型の上に樺を貼り付けて筒状の造形を作り上げる「型もの」。2つ目が下地に木地を使ったもので、硯箱やテーブルなどにも使われる「木地もの」。3つ目が「たたみもの」という技法で、磨いた樹皮を数十枚も重ね貼りしながら成形した下地を彫刻するというもの。たたみものはオリジナルの形や細かな細工がしやすいため、最近ではブローチやペンダントなどのファッションアイテムにも取り入れられている。この3つの技法を知ったうえで、現代の名工にも選ばれた職人たちの展示品を眺めると、細かな技術や細工の美しさに感動を覚える。館内には江戸発祥で青白い釉薬が特徴の「白岩焼」、ヒバの根を下地に使った「角館春慶」、農家の手仕事としても伝承された「イタヤ細工」の名品も企画展示。物産展示室では樺細工をはじめ、これら角館の伝統工芸の数々を見て触れて購入も可能だ。

開放感あふれる吹き抜けホールの2階が喫茶スペースになっている} 開放感あふれる吹き抜けホールの2階が喫茶スペースになっている

物産展示室(角館町物産協会)ではイタヤ細工や白岩焼など、角館を代表する工芸品の品々も購入可能} 物産展示室(角館町物産協会)ではイタヤ細工や白岩焼など、角館を代表する工芸品の品々も購入可能

スポット詳細

住所
秋田県仙北市角館町表町下丁10-1 map map 地図
電話番号
0187541700
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
[12-3月]9:00-16:30(最終入館16:00)
休業日
年末年始(12/28-1/4)
料金
[観覧料]大人(高校生以上)300円、小中学生150円、6歳未満無料
[平福記念美術館または新潮社記念文学館との2館共通券]大人520円、小中学生260円
[3館共通券]大人750円、小中学生360円
駐車場
なし(有料市営駐車場利用)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり
コンセント口
なし
喫煙
不可(敷地内全面喫煙不可)
英語メニュー
あり(展示室一部英語説明表記、QRコード読取り対応有)
車椅子での入店
乳幼児の入店
ペットの入店
可(抱きかかえるなど、自由に歩行させない小型のペット限定)
雨の日でも楽しめる
はい
備考
※新型コロナウイルス感染症経済対策による入館料免除措置は令和3年3月31日で終了
※新型コロナウイルスの影響により、臨時休館となる場合もある。

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • 地域に息づく伝統が感じられます
    4.0 投稿日 : 2023.04.26
    仙北市角館町の「角館樺細工伝承館」についての情報を発信していきます。「角館樺細工伝承館」を訪れたのは2023年4月23日です。「角館樺細工伝承館」へのアクセスですが、JR「角館駅」出口から徒歩16分のところにあります。まず、出口を出ると「駅前通り」(県道250号)を280mほど道なりに直進すると突き当りに郵便局があります。そこを右折し700mほど直進し、「マス形地形」になっている突き当りを左折し...
  • 伝統工芸品のミュージアム
    4.0 投稿日 : 2022.09.02
    仙北地域の特産品である樺細工のミュージアムです。樺細工以外にも鎧などの展示もあり、なかなかに見応えがありました。
  • 門の近くの桜が素晴らしい
    4.0 投稿日 : 2022.07.18
    角館武家屋敷通りの一角にある観光施設の一つです。この辺りが樺細工が盛んだったことを知らなかったので、とても勉強になりました。また、門の近くにある桜がちょうど良く満開で、多くの観光客が撮影していて、順番待ちとなっていました。

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アクセス

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