大本山 摩耶山天上寺

秘仏十一面観音像が納められている金堂(本堂)

全国から参拝者が訪れる摩耶山頂上にある歴史的寺院

まやビューライン山上駅より徒歩10分に位置する、摩耶山の名前の由来ともなった「摩耶山天上寺」は、646年(大化2)に孝徳天皇の勅願でインドの高僧法道仙人によって開創された。日本全国で唯一、釈迦の生母である摩耶夫人を本尊とする寺院であることから、女人守護や子授け、安産祈願など女性のためのパワースポットとしても有名だ。1976年(昭和51)の放火による火災で全焼し、一部を除いてほぼ焼失したが地元住民の支援もあり北方約1kmにあたる現在の場所、摩耶別山に復興再建された。観音巡礼のひとつ、「新西国三十三箇所」にも選ばれており、全国から多くの参拝者が訪れる人気の寺院だ。

西山門右手にある大木は神戸市「市民の木」に指定されている

晴天時には淡路島まで一望できる

安産祈願の腹帯文化が誕生した地

安産祈願として訪れる人も多い摩耶山天上寺は、妊婦が着用する安産腹帯発祥霊場と言われている。その昔、ご利益にあやかろうと摩耶夫人堂の前の鐘の緒に巻かれた浄布を持ち帰り、腹帯とした慣わしから現代にも受け継がれる安産腹帯の文化が誕生した。そのため、摩耶山天上寺の腹帯は「鐘緒」と書いて「はらおび」と呼ぶそうだ。摩耶夫人堂の隣、金堂(本堂)には法道仙人が自作した秘仏、十一面観音像とともに数々の仏像が祀られている。金堂正面に広がる作庭は、法道仙人が天竺より渡来し摩耶山を開創したことをモチーフに造られている。

日本で唯一摩耶夫人尊が祀られている摩耶夫人堂

現在では鐘の緒に巻かれたものではなく一般的な腹帯に御祈祷している

四季折々咲き乱れる草花に癒やされて

花の寺と称される関西2府4県の25か所の寺院が集まって結成された「関西花の寺二十五カ所霊場会」のひとつでもあり、参道や境内には四季折々さまざまな草花が景色を彩る。そのなかでも6月中旬から6月下旬頃にかけて見られるヤマボウシは、葉全体が真っ白に色づきまるで季節はずれの雪模様のような姿に。その風景はとても美しく圧巻で、毎年多くの写真家が訪れる。また、10月には参道や境内に咲くフジバカマに、長距離を移動することで知られる渡蝶アサギマダラが数百羽以上も飛来することで有名だ。天気に恵まれた日には、花の周りで乱舞する大量のアサギマダラが見られる。ひとつだけ願いを叶えてくれる一願地蔵堂の周りには、参拝後願いが叶い納められた小さなお地蔵様がたくさん並んでいる。

一面に咲き乱れるフジバカマ、晴天の日にはたくさんのアサギマダラが見られることも

一願地蔵堂に願い事をし、実際に願いが叶ったら再びお堂にお納めするお守り