ちちぶ銘仙館

資料/郷土/展示/文学館

伝統の絹織物「秩父銘仙」の歴史と技を伝承する

銘仙とは平織りの絹織物の総称で、古くから知られる秩父の名産品のひとつ。昭和初期に建てられたレトロな資料館では、秩父銘仙にまつわる資料が展示され、型染めや手織りなどの体験もできる。

昭和レトロな建物も一見の価値がある} 昭和レトロな建物も一見の価値がある

秩父の風土から生まれた秩父銘仙

秩父の織物は、崇神天皇(すじんてんのう)の時代に、知々夫彦命(ちちぶひこのみこと)がこの地域に養蚕と機織りの技術を伝えたのが起源と伝えられる。山々に囲まれ、石灰質の土壌が稲作に向かない秩父では、古くから養蚕が行われてきた。江戸時代には絹織物も盛んになり、規格外の繭から作る「鬼秩父」と呼ばれる丈夫な太織りは、歌舞伎役者や粋な江戸っ子の間で評判を呼んだ。その後、太織りは「秩父銘仙」と名前を変え、大正時代から昭和初期にかけて女性の普段着やおしゃれ着として全国に広まった。

日本中で大人気となった、華やかな色柄の秩父銘仙} 日本中で大人気となった、華やかな色柄の秩父銘仙

昭和初期の面影を残すレトロな建物

ちちぶ銘仙館は、秩父市の東側に位置する羊山(ひつじやま)公園のふもとにあり、最寄りの西武秩父駅から徒歩10分ほど。建物は、秩父絹織物同業組合(現・秩父織物商工組合)が1930年(昭和5)に建築したもの。埼玉県繊維工業試験場として使われてきたが、秩父織物の貴重な資料を展示および伝統技術を伝承する施設として、2016年(平成28)にリニューアルオープン。建築家フランク・ロイド・ライトが考案した大谷石積みの外装や昭和初期の装飾を生かした建物として、国の登録有形文化財に登録されている。

西武秩父駅近くの閑静な住宅街に立つ} 西武秩父駅近くの閑静な住宅街に立つ

秩父銘仙の魅力を伝える展示ブース

どこか懐かしさを感じさせる玄関を入り、奥の展示資料室へと進もう。秩父織物の歴史や文化、秩父銘仙ができるまでの工程などを詳しく解説している。秩父銘仙の大きな特徴は、明治時代に秩父出身の坂本宗太郎によって特許が取得された「ほぐし捺染(なっせん)」と呼ばれる技法。たて糸に型紙を使って模様を染めるため、生地に表裏がなく、また大胆で華やかなデザインが生み出された。大正・昭和の女性たちが着ていた秩父銘仙は、今見ても粋でおしゃれ。着物愛好家に高い人気を誇るそうだ。さらに順路に沿って進むと、繭から糸を取る糸くり室、たて糸をそろえる機械がある整経室、型紙を彫る型彫室など、今なお実際に使われている施設も見学できる。

昭和30年代製の糸くり機も現役で使われている} 昭和30年代製の糸くり機も現役で使われている

体験教室で伝統の技に触れてみよう

ちちぶ銘仙館では、伝統技術を次世代に伝えるため、後継者育成講座を開講している。タイミングが合えば、生徒さんが作業をしている様子を見られるかもしれない。また一般の見学者向けに、手織り、型染めや藍染め、ほぐし捺染の体験教室も行っている(1週間前までに要予約)。いずれも所要30分-1時間程度と気軽に参加できるので、伝統の技を体験してみるのも楽しい。このほか、館内には展示直売所や着物を羽織って記念撮影をできるギャラリーもあり、秩父銘仙の魅力に存分に触れることができる。

手織り体験では本格的な織り機を使ってコースターを作る} 手織り体験では本格的な織り機を使ってコースターを作る

反物や小物など、秩父の織元の製品が並ぶ展示直売所} 反物や小物など、秩父の織元の製品が並ぶ展示直売所

スポット詳細

住所
埼玉県秩父市熊木町28-1 map map 地図
電話番号
0494212112
時間
9:00-16:00
休業日
無休(但し12/29-1/3は休み)
料金
【料金】
[一般]210円
[小中学生]100円
※染め織り体験(要予約)は1,000円から
駐車場
あり
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
可(楽天ペイ)
Wi-Fi
なし
コンセント口
あり
喫煙
不可
平均予算
【昼】3,001-5,000円
滞在目安時間
60-120分

情報提供: ナビタイムジャパン

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クチコミ

  • 多大な感銘を受けました
    5.0 投稿日 : 2020.09.23
    家内と秩父一泊旅行のさい、羊山公園から急坂を下りて到着しました。予備知識なしに訪れたので、銘仙の織物や和服の展示がメインかと思っていましたが、どうしてどうして、良い意味で期待が裏切られました。繭から糸を紡ぎ、糸を縒り、縦糸を1600本ならべて色図柄を捺染し、それを機織機で織り上げるという、秩父銘仙の工程の詳しい説明や、用いた装置・工具の実物がずらっと並び、私のような技術系の人間は、それだけでワクワ...
  • 体験コースが充実しています
    4.0 投稿日 : 2020.01.23
    秩父の観光時に来館しました。秩父の伝統工芸品である秩父銘仙について知れるきっかけになり、行って良かったなと思います...
  • 藍染の体験に満足
    4.0 投稿日 : 2019.10.27
    埼玉県繊維工業試験場秩父支場を体験型のアクティビティができる施設に変えたものです。繊維の博物館もありますが、じっくりと体験するのが良いです。2時間もかからないので予約して行けば思い出が作れます。場所は少しわかりにくいですが大通りに案内が出ていますので、案内に沿って行けば着けると思います。ちょうどハロウィンの展示もしていました。時間を作って行けば秩父の昔が少し分かった気がします。

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アクセス

map map 地図

最寄り

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