相葉苺園

イチゴは有機農法で丹精を込めて育てられている

山武市はイチゴ生産量千葉県2位

山武市は稲作をはじめ農業の盛んな地域。市内に20軒ほどのイチゴ農園があり、関東有数のイチゴ狩りスポットになっている。市中にはイチゴをあしらったマスコットキャラクターが描かれたコミュニティバスが走り、イチゴを使用した商品の開発やイベントなども開催されている。イチゴ農園は市内南部の成東(なるとう)地区に集中していて、各園が独自の肥料や栽培方法でおいしいイチゴ作りに工夫を重ねている。相葉苺園はそのなかでも最大規模のイチゴ園だ。1975年(昭和50)にイチゴ栽培を開始し、1万1000平方メートルという広大な敷地で40棟のハウスを管理している。県道76号線から車で3分ほど走るとピンク色の看板がついたハウスが見えてくる。

駐車場の向かいにある受付棟

立ち並ぶハウス。生育具合によりイチゴ狩りを体験できるハウスに案内される

さっそくイチゴ狩りを開始

受付を済ませるとイチゴ狩りを体験するハウスへ案内される。中に入ると緑の葉と赤いイチゴが目にも鮮やかだ。イチゴを1mほどの高さで摘み取ることのできる、近年主流になりつつある高設栽培で、通路もゆったりと作られているので、ベビーカーや車いすの人も体験ができる(車いすの方は要予約)。品種名が書かれている札を確認しながら、真っ赤に熟したイチゴを選んで摘み取ろう。市場に出回らない珍しい品種を味わうことができるのも醍醐味だ。初めて食べる品種や、お目当ての品種など数種類をトレーに摘み取ったら、イートインコーナーで味わうスタイルだ。産地だからこそ味わえる、完熟になるまで実ったイチゴの格別の甘みとフレッシュな香りが口いっぱいに広がる。イチゴ狩りの時間は成東地区で共通の40分間。時間が決まっていると慌ててしまいそうだが、40分間は食べ比べをしてしっかり味わうのに十分な時間だ。

ハウスの中には緑の葉と真っ赤なイチゴ、可憐な白い花も見られる

完熟イチゴを選んで摘み取る作業も楽しい

希少な品種いろいろ

相葉苺園では年間30種ほどを栽培、イチゴ狩りでは最大15品種ほどを味わえるようにしていて、イチゴの色、味、食感など個性の違いを楽しむことができる。千葉県育成品種の「真紅の美鈴(しんくのみすず、通称くろいちご)」は実がやわらかく一般流通には難しい面があるが、やわらかさ、コクのある甘みが特徴的。また、「桜香(おうか)」という品種は花を楽しみ、実も食べられるという観賞用のイチゴ。イチゴの花は通常白いが、桜香はピンクの花に加え甘く大きく育った実も味わえるという。甘み、酸味のバランスなど、好みの品種に出合えるだろう。

白い実の「桃薫(とうくん)」は、種が赤くなったら食べ頃。色、形もさまざまイチゴ

イチゴ園から車で5分の直売所にも寄ろう

イチゴ狩りを楽しんだあとは、自宅でも産地のイチゴを味わえるように国道126号線沿いにある直売所にも立ち寄ろう。イチゴ狩りで味わっていない品種があったらぜひお土産にしたい。発送はもちろん可能だが、持ち帰る場合は繊細なイチゴの実をつぶしてしまわないように慎重に運ぶことが必須だ。相葉苺園ではネット予約もできるが、予約なしでも直接行って体験できるのも気軽でうれしい。その場合、9:30に開園だがイチゴがなくなり次第終了するので、早めに到着しておくのがおすすめだ。

多くの人で賑わう直売所。産地ならではの完熟イチゴを自宅でも楽しみたい

栽培する品種は年ごとに違う。希少な品種を買うことができるのは産地ならでは