国指定名勝 楽山園
織田信長の次男、信雄(のぶかつ)が築庭した県内唯一の大名庭園
織田宗家ゆかりの地を堪能しながら
鎌倉時代から戦国時代にかけて豪族・小幡(おばた)氏の根拠地として栄えた小幡は、1615年(元和元)から織田信長の流れを汲む「織田家」が統治した城下町。白壁の家並みの前には日本名水百選に名を連ねる雄川堰(おがわぜき)が小気味よい音を立てて流れ、風情ある景色が広がる。
明治期の古民家をリノベーションしたカフェや、レンガ造りの甘楽町歴史民俗資料館を眺めながら南へ約300m。「中小路(なかこうじ)・楽山園」の文字が刻まれた灯籠型の案内板が、武家時代への入り口だ。当時のままの石垣が残る中小路の道路幅は約14m、小藩としては珍しい広さという。
車で訪れるなら、中小路にある駐車場を利用しよう。楽山園へ向かう道沿いに並ぶ武家屋敷や、下級武士が上級武士と出会うのを避けるために造られたといわれる「喰い違い郭」を眺めながら歩くと、時計がゆっくりと逆回転を始める。
「拾九間長屋」で楽山園を予習
中小路の突き当たりを右へ曲がると正面に見えるのが、中門。ここをくぐるといよいよ楽山園だ。立面図があるところは復元し、平面図しかないところは地面に間取りが記されている。
門をくぐって右手に見えるのが、藩主に仕えた人たちの住まいだった拾九間長屋(じゅうきゅうけんながや)。ガイダンス施設としても活用していて、50分の1で再現された庭園のジオラマがあったり、甘楽町と楽山園の特徴を15分ほどにまとめた映像が流れていたり。これから足を踏み入れる大名庭園への期待が高まる。
拾九間長屋を出た先にあるのが御殿跡。白色で示されているのは通路、茶色は畳や居室という。床面積約900平方メートル。想像の翼を広げると巨大な陣屋が浮かび上がってくる。
豊かな空間構成と庭園美の極み、群馬の桂離宮
庭門をくぐると、目の前に大名庭園が広がる。「庭門をくぐると思わず『ワー』と声を上げる人が多いですね」と言うのは、甘楽町役場の担当者。池の周りを巡りながら庭園を鑑賞する「池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)」で、西に紅葉山(もみじやま)、南に連石山(れんせきざん)や熊倉山(くまくらやま)などを景色として取り込んだ「借景」という手法を取り入れている。
かつて藩主と位の高い一部の人しか愛でることのできなかった見事な景色。いちばんのビューポイントは昆明池(こんめいいけ)のほとりにある拝石(おがみいし)で、藩主だけが立つことを許された特別な場所だ。錦鯉が優雅に泳ぐ昆明池の中には石造りの土橋を渡って行ける中島(なかのしま)、遠くの山々とつながる庭園美は、京都の桂離宮と同じ特色を持つ。右手の築山には全国的に珍しい五角形の腰掛茶屋や、藩主が休憩をした梅の茶屋がある。ここからの眺望もまた見事。起伏に飛んだ地形だが、芝生が多く歩きやすい。
お茶室でお抹茶とお菓子でひと休み
園内では、季節の花木を楽しめる。春は、町の天然記念物に指定されている樹高10mの梅の木が、甘い香りを漂わせながら白いかわいらしい花を付ける。秋は京都から移植した紅葉を植えた紅葉山が赤く色づき、冬は時折雪景色が見られる。また、6月はホタル観賞会、9月はお月見会など風情のある催しが開かれる。
園内を存分に堪能したら、昆明池とつながる泉水(せんすい)の目の前にある凌雲亭(りょううんてい)でひと休み。ここでは、香りの高い抹茶と季節のお干菓子がいただける。庭園を眺められるように配された席に腰を下ろし、時間を気にせずゆっくりと、先人たちの豊かな心を存分に感じたい。
スポット詳細
- 住所
- 群馬県甘楽郡甘楽町小幡648-2 地図
- エリア
- 西部エリア
- 電話番号
- 0274744795
- 時間
-
[3-10月]9:00-17:00(最終入園16:30)
[11-2月]9:00-16:00(最終入園15:30) - 休業日
- 年末年始
- 料金
-
【観覧料】
[高校生以上]300円
【3館共通券】
[高校生以上]500円 - 駐車場
- あり(31台)
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 不可
- 滞在目安時間
- 30-60分
- 雨の日でも楽しめる
- はい
情報提供: ナビタイムジャパン