鎌倉文学館

博物館/科学館

洋館を活用した鎌倉ゆかりの文学者たちの博物館

鎌倉市長谷にある文学館は、加賀百万石藩主前田利家の系譜である旧前田侯爵家の別邸だった建物を利用して開館した。夏目漱石、芥川龍之介、川端康成ら300人以上の鎌倉ゆかりの文学者たちの直筆原稿や手紙、愛用品などを収集保存し、幅広く展示している。

本館は2000年(平成12)に国の登録有形文化財に登録された} 本館は2000年(平成12)に国の登録有形文化財に登録された

近代、鎌倉に造られた洋風建築の別邸

江ノ島電鉄「由比ヶ浜」駅から海とは逆の山に向かって徒歩約7分。海水浴場の喧騒とは打って変わって、瀟洒な家々の先に緑が生い茂る鎌倉文学館の入り口が現れる。なだらかな登坂を歩いていくとトンネルがあり、坂はその先にも続いている。上り切ってやっと左に見えてきた建物が文学館だ。クリーム色の壁に梁が通った洋館には和の要素がプラスされ、いかにも昭和のお屋敷といった風情が感じられる。第二次世界大戦後に佐藤栄作元首相が別荘として使用し、三島由紀夫が小説『春の雪』内でこの別邸をモデルに執筆するなど、当時から魅力的な建物だったが、今も「旧華頂宮邸」「旧古我邸」と合わせて鎌倉三大洋館と呼ばれ多くの人に親しまれている。1983年(昭和58)に鎌倉市に寄贈、その後改築され2年後に文学館としてスタートした。

古くからある敷地内のトンネルは、源頼朝が鶴を放ったといわれる故事から招鶴洞(しょうかくどう)と呼ばれる} 古くからある敷地内のトンネルは、源頼朝が鶴を放ったといわれる故事から招鶴洞(しょうかくどう)と呼ばれる

美しいバラ園がある庭園も見ごたえあり

鎌倉文学館は背後と左右を山で囲まれた鎌倉の特徴的な地形の「谷戸(やと)」と呼ばれる場所にある。本館前には緑の芝生が広がり、その先の庭園の南側には600平方メートルの美しいバラ園が広がる。約200種250株のバラが咲き誇る様は圧巻で、「鎌倉」「実朝」「静の舞」など鎌倉にちなんだ名前をもつバラもある。5~6月、10~11月のバラの見頃以外にも、本館のテラスからは絶景が望め、天気のいい日は遠く伊豆大島まで見渡せる。芝生横にはスダシイの巨木があり、暑い盛りにこの日陰のベンチで風を受ければ、至福のときを過ごすことができる。

黄色いバラ「鎌倉」の向こうに本館がのぞく} 黄色いバラ「鎌倉」の向こうに本館がのぞく

本館のテラスからは由比ガ浜の海も見渡せる。ここで読書をしたら最高} 本館のテラスからは由比ガ浜の海も見渡せる。ここで読書をしたら最高

建築当時のままの意匠を凝らした洋館

梁や柱をむき出しにしたハーフティンバー様式を取り入れた洋風の外観も魅力的だが、館内の随所に見られるアールヌーボーやアールデコのしつらえもすばらしい。入ってすぐ、昔は応接室として使われていた常設展示室1の壁に飾られた丸いステンドグラスは建築当時のまま。よく見ると照明には装飾が施され、床には寄木細工が使われていた。重厚な大理石の玄関にも、邸宅としての趣を感じられる。

文学館の入り口は、しゃれたお屋敷のたたずまい} 文学館の入り口は、しゃれたお屋敷のたたずまい

和洋折衷の独特な意匠。洋風の鏡やステンドグラスと同じ空間に袋戸棚がある} 和洋折衷の独特な意匠。洋風の鏡やステンドグラスと同じ空間に袋戸棚がある

多くの著名人が鎌倉に魅了されていた

展示室では鎌倉ゆかりの文学がいろいろな形で紹介されている。昭和10年代のジオラマを見ると鎌倉が山に囲まれた町だということがわかる。また、ガラスケースに入った作家の直筆原稿も興味深く「こんなに個性的な字を書くのか」と思いながらも、活字でしか読んだことのない一文が癖のある直筆の文字として目の前に現れると、その言葉たちが生きいきと感じられてくるから不思議だ。常設展示室1の壁に貼られた「文学都市鎌倉100人」は、さまざまな時代で活躍した文学者たちのゆかりの地、居住地などが示された壮大な鎌倉地図。各展示室には古代・中世・近世、と分けて「歴史を知ることができる鎌倉文学年表」も展示されている。鎌倉という土地がこんなにも多くの文学者たちを魅了してきたのか、と改めて驚かされる。本館裏にある大きな収蔵庫には300人以上もいる鎌倉ゆかりの文学者たちの直筆原稿や手紙、愛用品が保管されており、特別展示室では随時アプローチを替えながら彼らの足跡を紹介している。

常設展示室2は昔、食堂として使われていた} 常設展示室2は昔、食堂として使われていた

スポット詳細

住所
神奈川県鎌倉市長谷1-5-3 map map 地図
エリア
鎌倉エリア
電話番号
0467233911
時間
[3月-9月]9:00-17:00(入館は16:30まで)
[10月-2月]9:00-16:30(入館は16:00まで)
休業日
月(祝日の場合は開館)、年末年始(12/29-1/3)、展示替え期間、特別整理期間
※5-6月、10-11月は月1回の休館日を除き開館
料金
[入館料]300-500円(展覧会により異なる)
駐車場
なし
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
なし
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい
備考
※大規模改修のため2027年3月まで休館しています。

情報提供: ナビタイムジャパン

アニメスポット情報

アニメ・青い花の第1話・第3話等に登場する『藤が谷女学院』のモデルであると言われている。

※ナビタイム調べ

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クチコミ

  • 文学館だからしょうがないか
    3.0 投稿日 : 2022.05.30
    5月の最後の週末に訪問。オープンすぐだったので、あまり人もおらずよかったです。文学館なので、館内は日本を代表する文豪の生原稿等が展示されてありそれはそれでよかったのですが、文学に関する展示は1Fのみ。地下は鎌倉の歴史の展示でした。2階は法律上見学不可とのこと。館内は撮影不可。私としては前田家別宅ということにそそられて行ったので、そりゃそうだという感触でした。個人的には、全てのフロアが見学でき...
  • 街の喧騒から離れて静かに過ごせる館
    5.0 投稿日 : 2021.06.25
    鎌倉ゆかりの文学者の展示があります。素晴らしい洋館の別荘に招かれたような気分にさせてくれます。何度も鎌倉を訪れたことはありましたがこんな場所があるとは知らず。。洋館前の庭園もきれいなのでまた季節を変えて訪れてみたいと思います。
  • 2021年6月17日[ハラ園]の《ハラ》は完全に見頃が過ぎており、7月4日迄《特別展:作家のきもち》が開催されています
    4.0 投稿日 : 2021.06.18
    2021年5月11日-6月13日 《ハラまつり(約200種 250株)》となっていましたが 6月17日訪問時 受付で もう見頃は過ぎ 30%程度と言われるも とにかく入場しました。前日 訪問した[大船フラワーセンター]のハラ園では それなりにハラの花が咲き残っていたので こちらもそれなりに咲き残っているのではと 期待したものです。 しかし ハラの花はほぼ終了しており ハラの花を期待して訪...

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