味わったら虜になる逸品がある!大人の胃袋を掴む、都内屈指の名店3選


2023.05.13

東京カレンダー

良心的でカジュアルな店が多いイメージがある目黒だが、都内にその名を轟かせる実力店も点在している。この街に足を運ぶきっかけを生む、“磁力”となる3軒の名店の魅力を、改めて紐解いた!1.目黒の路地裏から世界に羽ばたく、焼き鳥界のレジェンドの凄み『鳥しき』焼き鳥界のレジェンド、池川義輝さん。現在51歳。日本を代表する食文化“焼き鳥”を世界に広げるべく切磋琢磨。若手育成にも力を注ぐ。時代をつくってきた焼き鳥の名手と向き合える幸せがここに目黒の地で16年。日本どころか、世界中のフーディ達がこぞって訪れる焼き鳥界のレジェンドたる存在、それがここ『鳥しき』だ。鶏への理解、串打ち、焼き。すべてにおいて現状に満足せず、高みを目指す「膝まわり」。もも肉の膝軟骨の回りの部位で、『鳥しき』では軟骨を取り除いて提供。筋肉質な身質の肉は、串には刺さず塊で焼くことで、弾力のある食感を引き出している。骨回りならではのゼラチン質の旨みも魅力。コース(目安は10,000円~)よりカリッと焦げた焼き目も香ばしいかしわ(もも肉)から始まるおまかせストップ制のコースでは、同店発祥の「膝まわり」やクリスピーな皮の食感と芳醇な身のコントラストに思わずうなる「手羽先」など、珠玉の串が次々繰り出される。かぶりつけば、口中に滴り落ちる肉汁に思わず法悦に浸る。「手羽先」は鶏脂を塗って焼いており、皮目のバリッとした食感が新鮮「ジューシーで熱のこもった焼き鳥が理想の味です」とは池川さん。均一に火を入れるためには、ムラなく中心に串を打つことが重要。手早く正確にが必須ゆえ、時計を置き時間を計りながら仕込む。場所により強弱のある炭火に寄り添うように、時折逆にしながら焼き上げる。こちらは「手羽先」。この手法である意味、肉を休ませつつ焼くことになる近火の強火で手早く返しながら焼く独自のスタイルも、全てはそのためだ。が、その焼き方も日々研さんを怠らない。「いかに均等に火を入れ、肉汁を閉じ込めるかを常に念頭に入れて焼く」と言い、結果辿りついたのが、串を逆に置いたり、片側を持ちあげるといった立体的に焼く手法。それも炭火の強さや輻射熱の動き、炭の隙間を抜ける空気の流れ等々を的確に把握していればこそだろう。ミシュランの星を取り続けて11年余り。それにおごることなく、焼き鳥に敬意を払い、さらなる美味を追求する。その真摯な姿勢が、世界をもとりこにする唯一無二の焼き鳥を生み出している。【名店たちの新たな展望とは?】定休日には若手が串を焼く『鳥かど』が行われる現在、『鳥しき』の定休日を使って、若手が焼き台に立つ『鳥かど』もオープン。写真はそのひとり、狩野汰成さん。比較的予約が取りやすい。「おまかせコース」(8,900円)より。■店舗概要店名:鳥しき住所:品川区上大崎2-14-12TEL:03-3440-7656営業時間:17:00~(L.O.21:00)定休日:日曜、月曜、火曜席数:カウンター12席2.サロンのような密やかな空気の中、タイ料理の新しい一面に出合う『タイ料理 みもっと』目黒川の手前を入ったタワマンの横にセンス溢れる空間が広がる。ガラス張りの店内は個人宅のダイニングキッチンに招かれたような居心地の良さ。前職が広告代理店という店主のセンスも生かされる権之助坂も目黒川まで下ると人通りは減るが、この店があるのはもっと静かな住宅街の路地。まさに隠れ家で、オーナーシェフのみもっと先生(料理教室をしていたため、この呼び名に)が腕をふるう。「タイの地方料理を日本の旬食材で作り、おまかせで提供しています。どんな組み合わせがベストか10年かけて研究しています」バンコクの料理教室には週6で通い詰めたという没頭型のみもっと先生。ナチュラルワインもそろうが、きっかけは恵比寿『Winestand Waltz』の大山恭弘さん。巻き込み力と突き詰める力で華開いた。なじみのある料理は旬の食材を絡めて極上の料理に「ゲーンキァオ ワーン ホイタラップ」。グリーンカレーにハマグリは本国にない取り合わせ。まろやかな旨みが生きていてクセになる。菜花など旬の春野菜も添えた。料理はすべておまかせ(13,200円)の例。タイ料理の伝統を重んじ独自の進化を施す。初めてだけど落ち着く味「トムカーガイ ボーラン」。日本ではスープのイメージが強いが、いにしえのトムカーガイは肉を美味しく食べるための料理。唐辛子やパームシュガーで甘辛く作るチリジャムを添えて古典レシピを完全踏襲。「ヤムタワイ」。ココナッツで煮た野菜を、彩り良く盛り付けた古典料理で、タイでも「若い人はほとんど知らない」ほどレア。多様な食感が楽しく、燻製した魚の干物をほぐして作るカレーソースも独特先生がタイ料理の奥深さに気づいたのはバンコクにて。現地で名門ホテルのプロ向け料理教室に通い詰め、数百のレシピを習得。以来、研究を重ねている。その向上心は本物。古典料理を教える師がいると聞けばタイの奥地でも厭わず足を運ぶ。バイタリティーが店の空気を作るのだろう。初訪問でもすぐ打ち解けられる和やかさがあり、集うゲストは皆笑顔。輪の中心で調理する先生も「タイ南部は意外と葉物のハーブを使わない」と博識を披露。食べれば研究成果は明白。体に美味しさがなじむ。「グリーンカレーに貝の旨みって、われながら大発明よね(笑)」リピーターが多いのも頷ける楽しさで、未知の味に出合い、笑うため、目黒に通い詰めたくなる。【名店たちの新たな展望とは?】5月には京都・鞍馬口に姉妹店をオープン予定!日本のタイ料理をより極めるべく、懐石仕立てで提供する『MOT』が今春、誕生。営業は日・月の夜のみで、火~土はモーニングとランチで薬膳スープを提供する『TOM』に。■店舗概要店名:タイ料理 みもっと住所:目黒区目黒1-24-7 サンライズ目黒 1FTEL:03-6426-6352営業時間:17:30~22:00定休日:日曜、月曜、火曜席数:カウンター4席、テーブル6席3.若き手腕と抜群のエンタメ感で鮨の新たなる扉を開いた『鮨 りんだ』スタッフもフレッシュ。中央にいるのが、今回話を伺った和田 翔さん。ちなみに、同店の会社名は「ショートストップ」。元球児が多く、営業中も元気ハツラツアメリカ仕込みのエンターテインメント性と江戸前の確かな仕事で、一躍人気店となった『鮨 りんだ』。ご主人・河野勇太さんの「美味しかっただけではなく楽しかったと思える鮨店を」との姿勢は、それまで清廉で実直なイメージが強かった鮨店の印象を覆したと言ってもいい。その河野さんが今、目指しているのが若手の育成だ。現在、店を任せているスタッフの平均年齢は24〜25歳、うち3人が付け場に立ち鮨を握る。そのひとり、和田 翔さん27歳はこう語る。「立ち食い鮨『ブルペン』で、しっかりと場数を踏んで握ったことがいい勉強になりました」“ゲストに楽しんでもらいたい”その一心を直球に感じるから人は何度でも通いたくなる名物「イカうにの握り」。細く切ることで、特有の甘みと粘りを引き出したイカとうにの濃密な味わいが、掛け算の旨みを生み出している握りと肴を交互に出すスタイルは以前のままで、名物「イカうにの握り」や華やかな「りんだ巻き」は、もちろん健在。特別に供される名物「りんだ巻き」は見た目も味もインパクト抜群名物のひとつ「りんだ巻き」は別注で、値段は時期やネタにより異なる。「やま幸」の本まぐろを惜しげもなく巻き込む。部位は中落ち、赤身、大トロ、蛇腹の炙りをメインに、アサツキと大葉、たくあんも入る。カットした後、溢れんばかりのうにと自家製いくらをトッピングした逸品だ。◆ハラリと解ける鮨飯も不動の美味さだ。その一方、料理を出す順序などは三人三様であり、訪れる度に新たな発見があるはず。「赤身」。取材日は和歌山県で揚がった釣りの本まぐろ。やや柔らかめを好んで使用。2種の赤酢をブレンドした鮨飯との相性も良く、レベルの高さにうならされる。コース(24,000円)よりスタッフは、週に1、2度、河野さんと豊洲に赴き、店の様子を伝えるとともにアドバイスを受けているが、基本的に、氏は現場に顔を出さない。親方不在という独特のシチュエーションが生み出す不思議な連帯感と若いエネルギー。これこそが今節の〝りんだ〞の魅力であり、新しい鮨店の在り方を標榜している。【名店たちの新たな展望とは?】目黒界隈に姉妹店やキッチンカーを展開武蔵小山『ブルペン』をはじめ、目黒界隈に3店舗を展開。さらに、前代未聞の鮨のキッチンカーを作り、不定期で「林試の森公園」他で鮨を提供中。詳しくはインスタにて。■店舗概要店名:鮨 りんだ住所:目黒区下目黒2-24-12 イメージスタジオ109 1FTEL:03-6420-3343営業時間:ランチ 11:30~14:00     ディナー 18:00~21:00定休日:日曜、月曜席数:カウンター16席◆焼き鳥、タイ料理、鮨の名店3軒。それぞれのこだわりや名物は、ゲストの心と胃袋を掴む。目黒の名店には、わざわざ訪れる魅力があった。▶このほか:田中みな実も心躍らせた、シェフの私邸のような目黒の隠れ家レストラン※コロナ禍の状況につき、来店の際には店舗へお問い合わせください。 

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鮨 りんだ
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4.5

34件の口コミ
place
東京都目黒区下目黒2-24-12 イメージスタジオ109 1F
phone
0364203343
opening-hour
18:00 - 23:00※現在、期間限…
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更新日:2024/04/25

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