山伏たちの生駒越え・鳴川峠(奈良県境)の見どころ


2015.01.05

LINEトラベルjp 旅行ガイド

いにしえの都・大和と難波を結ぶ峠の山~生駒山地。
ここには幾多の峠道が走っています。
その中でも行者たちが修行のために足しげく通い詰めた鳴川峠は変化に富んで面白いところ。この峠へ至る鳴川道の見どころをご紹介します。
寺院の岩肌に刻まれた磨崖仏の見事な金勝寺
近鉄生駒線・元山上駅前の国道168号線を北へ300mほどのところ歩いた処にある金勝寺は、竜田川を見下ろす静かな山ぎわの寺。
天平18(746)年行基の草創と伝えられ、当時は七堂伽藍と30余りの子院をもつ大寺でしたが、今はその面影はありません。
本堂には藤原時代の薬師三尊を祀っていますが、本尊は行基が当地に自生する椣(しで)の霊木を用いて作ったとされ、地名の椣原(しではら)の由来とされています。
この本堂奥の弁天池に面した岩壁には像高1.5mの不動明王のほか、阿彌陀如来、地蔵菩薩などの磨崖仏が14体彫られています。15~16世紀半ばのもので風化がすすみ、像面の薄いものもありますが、見事なものばかりです。
金勝寺
生駒郡平群町椣原53
電話0745-45-0110
境内参拝自由
金勝寺「茶々逆修」磨崖仏。
ここの磨崖仏の中でも阿彌陀像や「茶々逆修」と呼ばれる地蔵石仏(写真右下)は、比較的像がすっきりと残っており見事です。
逆修(ぎゃくしゅう)とは生前にあらかじめ仏事を修して死後の冥福を祈る意味で、この地の武将・島左近の妻、茶々の供養仏と思われ天正14(1586)年4月24日の銘が刻まれています。
磨崖仏で満たされた鳴川集落
ここからはもとの国道に出て更に北へ行くと道は二手に分かれ、左手へ千光寺への道が伸びています。
ここから西方向へ約3km、木洩れ日を楽しみながら高度をあげていき、谷川に流れる鳴川のせせらぎが聞こえてくると鳴川の集落に差し掛かります。
この集落の駐車場から左の遊歩道を行くと、清滝八尺地蔵磨崖仏(鎌倉中期)が滝の脇の巨岩に浮彫りにされており、巨岩の重なり合う谷川の向こうの岩壁には五尊磨崖仏(鎌倉後期)。少し登ったところには貝吹地蔵と呼ばれる阿彌陀・地蔵磨崖仏(室町時代)があります。
磨崖仏で満たされた鳴川集落
鳴川千光寺(真言宗醍醐寺派)は、役行者が吉野大峰山を開く前の16歳の時、この山で修行して寺を開いたことから元山上。また、女人禁制の大峰に対して女人の入山を許したことから女人山上とも言われています。
本堂の後ろには高さ133cmの鎌倉初期の珍しい宝塔と十三重石塔があり、境内には行場めぐりの道もつけられており、大峰山登拝する修験者はここで前行を行なったと言われています。
千光寺
奈良県生駒郡鳴川188
電話0745-45-0652
(千光寺ユースホステル)
境内参拝自由
健脚向きには楽しい鳴川峠越え
千光寺からさらに奥へ峠を越え、東大阪の瓢箪山駅に降りるコースは鳴川街道とよばれ峠直前まで渓流に沿う1本道でなかなか険しいが、爽やかな山旅。天候に恵まれたなら是非トライしてみましょう。
千光寺から約1時間~2時間で近鉄奈良線瓢箪山駅へ着きます。
おわりに
生駒山の奈良県側の竜田川に沿う近鉄生駒線と国道168号線の谷間の地が今の生駒郡平群町。
武内宿禰(たけのうちのすくね)の子、平群木菟宿禰(へぐりのつくのすくね)を祖とする古代の豪族平群氏が拠点とした地。
生駒山でもこのあたりはどこを歩いてもまず役行者、ついで行基の痕跡が見え隠れします。時代が下り、修験道が体系化されると、この高僧を慕う半僧半俗の山伏たちの根拠地となって栄えます。交通の便も比較的便利ですので是非足しげく訪ねてください。 

鳴川峠
place
奈良県生駒郡平群町櫟原
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