日本一低い山!仙台「日和山」に登ってみよう


2019.01.07

トラベルjp 旅行ガイド

東北、仙台に日本一低い山があることはご存知でしょうか?その名も「日和山」。誰でも一瞬で登頂可能という、知る人ぞ知る人気スポット!一度は日本一の座を明け渡していたものの東日本大震災がきっかけとなり、再び日本一低い山に返り咲いたという日和山をご紹介します。
全国各地にある「日和山」の正体とは?
日和(ひより)とは空模様、お天気のこと。全国各地、とくに海辺に近い場所には「日和山」と呼ばれる山が多数存在し、これらは船乗りが船を出すか否かを決める際に日和を見る(天候を予測する)ために利用されていたもの。自然の山もあれば、中には築造された山も各地に見られます。画像は宮城県名取市閖上にある日和山で、標高は6.3m。
高さ6mの山とはいえ、その上に立てば海や空が広く見渡せます。こうした日和山の存在は江戸時代から確認されており、ちょうど廻船とよばれる物資輸送専門の大型帆船が活躍した頃と重なっています。日和山は全国各地の主要な港にあり、経験豊富な日和見の専門家がここから雲行きや風向きを調べ、天気を占ったとされているのです。
そんな日和山の中でも、仙台市にある日和山は日本一低い山として知られているのです。
元祖・日本一低い「日和山」。そのかつての姿とは?
日本一低い「日和山」があるのは仙台市宮城野区蒲生地区。仙台湾に面した海沿いに広がる蒲生干潟の西側に位置しています。そのルーツは明治40年頃にまでさかのぼり、地元の漁師が漁に出る際に日和るために築山されたものとされています。
画像は東日本大震災以前の日和山の姿を写した貴重なもの。かつては標高6.05m、南北が40m、東西約20mにもおよぶ立派な山体でした。平成3年の登山雑誌に掲載された国土地理院関係者の文章で「日本一低い山」とされたのがこの姿なのです。
その後は地元住民らの手により、日本一低い山として山開きが行われるなど町おこしに一役買ってきました。しかし1996年に大阪の天保山が標高4.53mとして国土地理院の地形図に記載され、日本一の座を明け渡すことに。その後は「元祖・日本一低い山」という肩書に変わってしまいました。
そして2011年3月11日、日和山のある仙台市宮城野区は震度6強の烈震に見舞われ、一帯は大きく地盤沈下を起こしてしまいます。そしてその後、隣接する仙台港で7m以上と推定されている大津波が来襲。日和山はその直撃を受け、山体を保つことができませんでした。
東日本大震災がもたらした日本一の座
山体が大きく削り取られてしまい、面影をなくしてしまった日和山。一時は消滅したとの新聞報道もあったのですが、ここが憩いの場でもあった地元住民は、日和山のあった地点に砂利を積み上げ、かつての姿をしのんでいました。
しかしそんな日和山に思わぬ朗報が舞い込みます。2014年の国土地理院の測量調査により日和山の存在を確認、さらに標高は3mであるとされ、なんと18年ぶりに再び日本一低い山へと返り咲いたのです!
その噂を聞きつけ、ふたたび日本中から訪れる人が増えてきた日和山。今では「登山口」などの装飾も施され、訪れる人を楽しませてくれています。かつての半分の標高、登山口の看板から階段にしてわずか6段。ものの数秒で登頂可能という日本一低い山として、日和山は蘇ったのです。毎年7月1日には日本一高い富士山と同じ日に「山開き」が行われ、多くの参加者が日和山に足を運んでいます。
日和山へいたるまでの蒲生地区一帯は災害危険区域に指定されていて、現在も土地区画整理工事が続いています。登山口への遊歩道はその進捗状況により変わっていきますので注意が必要。なお現地付近では日和山への案内看板が多数設置されていますので、指示に従っ進めば迷うことはありません。
登頂証明書もゲットしよう!
さて、せっかく日本一低い山に登ったのだから、その証が欲しい!なんていう方もいらっしゃることでしょう。実は日和山にはちゃんと「登頂証明書」があるのです。ここはぜひとも日本一の山へ行った証をゲットして帰りましょう。
登頂証明書が貰えるのは日和山から車で約15分の距離にある「仙台市高砂市民センター」の窓口。デジカメやスマホなど日和山で写した写真があれば無料で発行してもらえますよ!
<仙台市高砂市民センターの基本情報>
住所:仙台市宮城野区高砂一丁目24-9
受付時間:9:00~17:00(月曜日と休日の翌日の休館日を除く)
電話番号:022-258-1010
現地を訪れることで震災復興の現状を知る
日和山のある蒲生地区では多くの家が全半壊、そして多数の犠牲者が出ていることも忘れてはなりません。すべてを流され集団移転を余儀なくされてしまった蒲生地区にとって、この日和山は心のよりどころ。そして日本一低い山というだけでなく、防災のメッセージを発信するという新たな役割も担うことになった日和山。小さくなってしまった山体と反比例して、その存在感は以前よりも増したように思えます。
着々と進む周辺の整備工事とともに、日和山を愛する住民たちにより植樹が進むなど、かつての姿を取り戻そうという動きも活発化しています。何よりもこの地を訪れ、いまだに震災からの復興に時間を要する場所があるという事実、その状況を見るということも大きな意義があると思います。震災を風化させないためにも、そして防災への意識を忘れないためにも日本一低い山「日和山」を訪れてみてはいかがでしょうか? 

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仙台市 高砂市民センター
place
宮城県仙台市宮城野区高砂1丁目24-9
phone
0222581010
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