紫陽花が彩る石段も!奈良・長谷寺「大和三大観音あぢさゐ回廊」


2023.06.09

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奈良県桜井市にある真言宗豊山派の長谷寺(はせでら)は、花の御寺(みてら)とも言われており、その名の通り春夏秋冬に四季折々の花が咲きます。また長谷寺は、日本最古の観音霊場、西国三十三所観音巡礼(日本遺産)の奈良県霊場でもあります。
その長谷寺と、県内の岡寺、壷阪寺の3ヶ寺の紫陽花を巡るイベントが「大和三大観音あぢさゐ回廊」です。長谷寺の初夏を彩る花、紫陽花を美しい景色とともに楽しんでみませんか?
長谷寺「大和三大観音あぢさゐ回廊」の見どころは
奈良県桜井市にある長谷寺は、686年(朱鳥元年)、道明上人が『銅板法華説相図(どうばんほっけせっそうず)』(国宝)を、初瀬山西の岡に安置したことに始まります。
のちに徳道上人が、727年(神亀4年)、御本尊の十一面観世音菩薩を東の岡に祀りました。徳道上人は観音信仰に篤く、西国三十三所観音霊場を開いた方です。そのため長谷寺は、西国三十三所の根本道場と呼ばれ、全国に長谷詣、長谷信仰が広がりました。
写真の仁王門(重文)は、長谷寺の総門で、1894年(明治27年)に再建されたものです。入母屋造本瓦葺の楼門で、門の両脇には仁王像、楼上には釈迦三尊十六羅漢像を安置しています。
初夏の長谷寺は、境内に約3000株の紫陽花が咲き誇ります。「大和三大観音あぢさゐ回廊」では、“嵐の坂”に色とりどりの紫陽花、約200鉢が並べられ、最大の見どころとなっています。
嵐の坂は、下登廊と中登廊の接続部である繋屋の前にある石段で、坂の両側にも地植えの紫陽花があり、両方、咲き揃うとさらに見事な眺めになります。
嵐の坂のあじさい園は、ただ眺めるだけでなく、鉢の間を縫ってジグザグに歩くことができます。坂を上がりきったところには、長谷寺を開山した徳道上人を祀る開山堂があります。
3ヶ寺の切絵を納める特製台紙と紫陽花切絵朱印もおすすめ
地植えの紫陽花の見どころとしては、長谷寺を象徴する屋根付きの399段の石段、登廊(のぼりろう)沿いに咲く紫陽花が挙げられます。
次におすすめなのが、開山堂から本堂へと続く石段沿いに咲く紫陽花です。この風景は、嵐の坂のあじさい園が始まるまで、長谷寺の紫陽花を紹介するポスターやパンフレットに長く使われました。
「大和三大観音あぢさゐ回廊」期間中には、各寺で枚数限定の特別切絵朱印(1部1000円)、並びに3ヶ寺のご朱印を納める特製台紙(300円)が授与されます。長谷寺の特別切絵朱印には「嵐の坂のあじさい園」と長谷寺のシンボル「長谷型灯籠」がデザインされています。
本尊大観音特別拝観で観音様とのご縁を結ぼう
長谷寺の本堂は、御本尊を安置する正堂(内陣)、相の間(拝所)、礼堂(外陣)からなる双堂(ならびどう)形式の建物で、国宝に指定されています。境内の西の岡からは、緑に包まれた本堂を見ることができます。
長谷寺では春と秋の年2回、期間限定で特別拝観を開催しています。普段は関係者以外、立ち入ることができない国宝の本堂の内陣に入り、御本尊である10mを超える大きな十一面観世音菩薩像(重文)のお御足に直接触ることができます。
特別拝観中は、本堂の脇に御本尊大観音特別拝観の看板が立っています。写真の中央、記念撮影用のパネルは、長谷寺に牡丹を贈った馬頭夫人(めずぶにん)をモデルにしたものです。
馬頭夫人は、中国・唐の僖宗(きそう)皇帝の妃で、長谷観音の霊験で容姿端麗となったお礼として“花の王”と呼ばれていた牡丹を贈りました。毎年、4月の中旬から下旬にかけて行われる長谷寺の「ぼたん献花会」はこの故事に由来します。
御本尊大観音特別拝観では、仁王門前の拝観受付で入山共通券(1300円)の購入がお得です。記念品として頂戴する「結縁の五色線」は、観音様との結縁(けちえん)の証です。
仏の5つの知恵を表す白・赤・黄・青・黒の5色の糸をより合わせた腕輪で、参詣後もストラップとして身に着けておくと災いから守っていただけます。
<本尊大観音特別拝観の基本情報>
期間:2023年3月1日(水)~7月9日(日)
時間:9:00~16:00
料金:1000円(入山料500円別途)
礼堂の床に映える新緑が美しい「床みどり」
礼堂(らいどう)は、毎朝、数十名の僧侶がお経を読む「朝の勤行」が行われる場所で、ピカピカに磨き上げられた床の光景が心に響きます。
また、床に萌える新緑が映り込んだ「床みどり」が美しく、インスタ映えすると人気の撮影スポットでもあります。賓頭盧(びんずる)像のシルエットも印象的です。
礼堂のもう一つのインスタ映えスポットが、相の間からの大香炉です。江戸時代、伊勢松坂の紙問屋、小津清左衛門家の6代目・道慧が寄進したもので、頂点で獅子が咆哮しています。建物の柱が額縁となった構図はまるで一幅の絵画のようです。
本堂は断崖絶壁に建てられており、京都の清水寺と同じ懸造(かけづくり)で、「長谷の舞台」と呼ばれています。舞台からは、目の前に愛宕山を望み、右手には五重寶塔がそびえたち、長谷寺で人気のスポットになっています。
本坊のインスタ映えスポット「猩々野村」
長谷寺の西のエリアに佇む御影堂は、宗祖弘法大師空海の入定1500年を記念して、1984年(昭和59年)に建立されたお堂です。そして2023年(令和5年)は、弘法大師御生誕1250年の記念すべき年です。
長谷寺には、道明上人や徳道上人のほかに、専誉僧正(せんよそうじょう)という有名な方がおられます。専誉僧正は、和歌山県の根來寺の学頭でしたが、豊臣秀吉の弟、秀長が大和を治めた際に招聘されて長谷寺に入山、真言宗豊山派の第一祖となりました。
弘法大師御生誕1250年を記念した回向柱が建つ本坊前からは、谷を挟んで対峙する本堂の眺めが見事です。また、本坊の中雀門から玄関までは、皇族方のお手植えの松が並んでいますので興味のある方はご覧ください。
本坊のインスタ映えスポットとして人気なのが、大玄関からの「猩々野村(しょうじょうのむら)」と呼ばれるオオモミジです。
礼堂の床もみじは有名ですが、こちらの春に赤く色づく床もみじもまた有名です。秋には再び染まり、春よりも深い赤色になります。
美しい紫陽花とともに、礼堂の床みどりや本坊の床もみじも楽しんでください。 

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総本山 長谷寺
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4.5

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奈良県桜井市初瀬731-1
phone
0744477001
opening-hour
[4月-9月]8:30-17:00[10月・11…
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