平和の祈りを込めたバラ園も!奈良・霊山寺はバラ尽くしの寺


2023.05.06

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奈良県奈良市にある霊山寺(りょうせんじ)は、聖武天皇の勅命で行基が建立した古刹です。世界平和を願って作られた近代洋風バラ庭園では、春と秋に約2000株ものバラの花を観賞できます。また境内にある八体仏霊場では、十二支と星座を組み合わせたお守り霊場として八体の仏様が祀られています。
レトロとモダンが交わる霊山寺で、美しいバラの花に癒され、様々なご利益を授かってみませんか?
バラ庭園で有名な「霊山寺」の縁起とは
「霊山寺」の所在する富雄の里は、かつて小野家の領有でした。その後、遣隋使で有名な小野妹子の息子で右大臣・小野富人(おののとびと)が、壬申の乱に関与したため官を辞し、登美山に蟄居しました。
富人は修行中に薬師如来を感得、登美山に薬草湯屋を建て薬師三尊仏を祀り「鼻高仙人」と称しました。後年、聖武天皇の皇女(のちの考謙天皇)が病に伏せた際に、天皇の夢枕に鼻高仙人が現れ、湯屋の薬師如来に祈念すれば良いとのお告げがあり、皇女の病が全快しました。
聖武天皇は行基に大堂の建立を勅命、736年(天平8年)、インド僧の菩提僊那(ぼだいせんな)が来日し、登美山の地相が釈迦の聖地、霊鷲山(りょうじゅせん)に似ているということから、寺名を「登美山鼻高 霊山寺」として落慶しました。
霊山寺の本堂(国宝)は、鎌倉時代の1283年の創建。本堂の手前には、室町時代に再建された鐘楼(重文)があります。本堂内陣にはご本尊の薬師如来像(重文)、脇侍の日光・月光菩薩立(重文)が同じ厨子に入っており、ともに秘仏となっています。
本堂前の香炉台には山号の「鼻高山(びこうさん)」の文字が入っています。
本堂の近くの小高い丘の上には、小ぶりな三重塔(重文)が建っています。高さ17m、鎌倉時代中期の建立で、初層内部全面には平安時代前期の宮廷画家、巨勢金岡(こせのかなおか)筆と伝わる極彩色の壁画が、阿弥陀如来像を囲んでいます。毎年11月3日のみ内部が公開されます。
世界平和を願って作られた近代洋風「バラ庭園」
また霊山寺で有名なのが「バラ庭園」です。面積4000平方メートル(1200坪)の近代的洋風庭園で、約200種類2000株のバラが咲き誇り、県内の寺院のバラ園では最大規模の大きさです。
バラ園の見頃は、5月上旬から6月中旬と10月中旬から11月上旬の年2回で、最盛期にはまさに“バラ尽くし”とも言える圧巻の光景を見ることができます。
霊山寺バラ庭園は、第二次世界大戦でシベリアに抑留された当時の住職が、お寺を訪れる人々が花を見て平和の大切さを知ってほしいと考え、1957年(昭和32年)に開園されました。
バラ園は、2つのエリアに分かれていて、入ってすぐのエリアは母子像を中心にした「子供の世界」。奥には、サンサーラ(輪廻)と名付けられた十三佛噴水を有する「成人の世界」があり、それぞれのエリアで色とりどりのバラの花が楽しめるようになっています。
ティーテラス「プリエール」でバラを眺めて至福のひと時を
バラ園で、バラの見ごろだけオープンするティーテラスが「プリエール」です。バラにちなんだお土産や喫茶メニューが用意されています。
プリエールの喫茶メニューで、イチ押しなのが数量限定の「ローズドーム」。爽やかなサイダー味のゼリーに、杏仁豆腐で作った大輪のバラを包んだものです。ほかにビスキュイが付いています。
ほかにバラを使った「ローズティー」もおすすめです。バラの花びらやハーブをブレンドしたオリジナルティーで、バラの花を模したケーキが付いています。プリエールで満開のバラを眺めながら至福のひとときを楽しんでください。
<プリエールの基本情報>
営業時間:10:00~16:00
営業日:バラ庭園の開園期間のみ営業
「八体仏霊場」は十二支と星座を組み合わせたお守り霊場
辨天堂の鳥居の近くにある真新しい鋳造仏が並ぶ「八体仏霊場」は、十二支と星座を組み合わせて、生まれ年干支と生まれ日星座のお守り本尊霊場として、1991年(平成3年)に完成したものです。
干支それぞれに守護していただける仏様というのは、ほかのお寺でもよく見かけたりしますが、ここにロマンチックな星座の要素を取り入れるというのはとても斬新で革新的と言えます。
八体の仏様は、左から、阿弥陀如来・不動明王・大日如来・勢至菩薩・普賢菩薩・文殊菩薩・虚空蔵菩薩・千手観世音菩薩の順です。八体仏霊場で、一人ひとりの守護仏に幸運招来を祈願してください。
霊山寺は平安時代、弘法大師がこの寺を訪れた際に、龍神様が棲んでいることに気づき、大辨財天(弁天さん)として祀りました。「辨天堂」は、大辨財天の本地仏聖観音をご本尊とし、毘沙門天・不動明王を祀っています。
その辨天堂の背後には、近代的な「白金殿」と「黄金殿」が並んで建っています。白金殿は、1977年(昭和52年)に建立され、大龍神を祀り、世界でも珍しいプラチナ箔押のお堂です。
片や、黄金殿は、1961年(昭和36年)に建立された総漆塗り金箔押のお堂で、大辨財天を祀っています。辨天堂のお参りの際には、貴重な2つのお堂もじっくりと拝見してください。
約1300年の歴史を誇る「薬師湯殿」
ほかに霊山寺には、お寺には珍しい入浴施設「薬師湯殿」があります。既述の小野富人が、薬師如来を祀って薬草風呂を施湯(せゆ)したことが始まりです。
約1300年前から富雄の里の人々を癒してきた薬湯は、聖武天皇や光明皇后も入湯されたと伝わります。歴史ある湯殿で、心身を清めてみてはいかがでしょうか。
<薬師湯殿の基本情報>
入湯料:大人500円 小人300円
営業時間:10:30~19:00(営業終了)
定休日:水曜日(行事により変動あり)
また、薬師湯殿の隣にある「霊山寺 仙人亭」には、薬膳料理がいただけるお休み処「薬膳カフェ花美津姫(はなみずき)」があります。参道の北山杉、四季折々の花を眺めながらランチを楽しめます。
<薬膳カフェ花美津姫の基本情報>
営業時間:11:00~16:00(料理L.O.14:00 ドリンクL.O.15:30)
定休日:なし
霊山寺の御朱印はいろいろありますが、バラシーズンには「薬師三尊とバラ」がデザインされた期間限定御朱印がいただけます。参拝の記念にぜひ授かってみてはいかがでしょうか。 

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霊山寺
rating

4.0

21件の口コミ
place
奈良県奈良市中町3879
phone
0742450081
opening-hour
[本堂拝観]10:00-16:00[バラ園…
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