
南会津郡下郷町は、福島県南部の内陸部にあり、山や川などの豊かな自然に恵まれた風光明媚なエリア。大内宿や搭のへつりなどの人気観光スポットでも知られています。そんな人気スポットが一段と輝くのが、秋! 紅葉が彩る古い茅葺屋根や断崖絶壁、そして水面に映る紅葉は、秋だけの貴重な眺め。
南会津でも人気が高く、そしてそれぞれ違った魅力のある3つの紅葉スポット、大内宿と塔のへつり、そして観音沼をご紹介します。
人気観光スポット「大内宿」の秋は格別!
会津と日光を結ぶ街道の宿場町として江戸時代に栄えた大内宿(おおうちじゅく)は、整然と並ぶ茅葺屋根の民家が美しく、南会津を代表する観光スポットです。映画のセットか、はたまた江戸時代にタイムスリップしたかと思うような風景ですが、ここは現在も人が住む集落。貴重な街並みは重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
季節ごとに風情ある眺めが見られますが、特に秋は一番の人気。周囲の山々が紅葉に染まり、街道の赤や黄色の木々が渋い茅葺屋根の家並みを鮮やかに彩ります。
集落の北の奥の高台には家並みを見下ろせるスポットがあり、よくポスターや観光パンフレットで見られる、茅葺屋根の建物を俯瞰した景色が眺められます。通り沿いに整然と並ぶ重厚な茅葺屋根が壮観!
大内宿は、450mほどの長さの街道を中心にたくさんのお店や宿、神社や本陣(特に身分の高い人々が宿泊した宿)跡を転用した展示館などが立ち並びます。さっと歩けば10分程度の距離ですが、ぜひ一軒一軒ゆっくり眺めて、立ち寄ってみてください。今ではほとんど見ることができなくなった、古き良き日本の原風景がここにはあります。
そして、一本のネギで食べるねぎそばや、川魚の塩焼き、醤油の香りが香ばしい焼き立てのせんべいなどのグルメもぜひ味わってみてくださいね。
<大内宿の基本情報>
住所:福島県南会津郡下郷町大字大内
電話番号:0241-68-3611(大内宿観光協会)
アクセス:
〔車〕東北自動車道 白河ICから約60分
〔バス〕会津鉄道湯野上温泉駅から乗り合いバス「猿游号」にて約20分
断崖が錦に染まる「塔のへつり」
南会津を代表する絶景スポットである「塔のへつり」は、100万年もの歳月をかけて生まれたという、阿賀川沿いの断崖絶壁が織りなす名勝。国の天然記念物にも指定されています。
変わった名称にも思われますが、「へつり」というのは会津の方言で「断崖」を指す言葉。塔のようにそびえたつ断崖、と考えれば、なるほどと思う雄大な眺めです。
緑の時期も美しいですが、秋になると断崖が黄色や赤で彩られ、渓谷美にさらに紅葉の美しさが加わります。
川にかかる吊橋は「藤見橋」。この橋を渡れば断崖の下に行くことができます。定員30名となっている吊橋は、しっかりしているとわかっていても、やっぱりちょっとスリリング。橋を渡った先には、巨大な岩の間に空洞があり、虚空蔵菩薩の祠が設えられています。その由緒書きには、平安時代の武人・坂上田村麻呂の名前も見られ、古くから信仰の地でもあったことがうかがえます。
駐車場には飲食店やお土産物屋が並んでいます。飲食店は、小腹を満たす焼き団子やソフトクリームから、麺類や定食などのしっかりした食事まで豊富なメニューが揃い、お土産物屋は地元の野菜を使った総菜や、新鮮な野菜や果物、工芸品のお店など多彩。買い物や飲食で駐車料金が無料になることもあるので、上手に利用してくださいね。
実は駅近!塔のへつり駅周辺も見どころです
「塔のへつり」は、秘境の雰囲気をたたえつつも、国道121号線からすぐで、また、会津鉄道の「塔のへつり」駅から徒歩約5分という、実はアクセスのいいスポット。
「塔のへつり」駅の入口はこんな素朴な木のゲート。林の中に入っていく小道はホームへと続きます。どこからか可愛い動物や妖精が顔を出しそうな、童話的なムードが漂う素敵な駅です。
ホーム周辺の木立にも紅葉がみられますが、このあたりは塔のへつり周辺とはまた違って、高原の紅葉の雰囲気。
なお、大内宿から塔のへつりまでは約10キロ、車なら15分ほどの距離です。
<塔のへつりの基本情報>
住所:福島県南会津郡下郷町弥五島下タ林
電話番号:0241-69-1144(下郷町観光協会)
アクセス:
〔車〕東北自動車道 白河ICから約60分(駐車場有・有料)
〔電車〕会津鉄道 塔のへつり駅から徒歩約5分
リフレクションも美しい観音沼
観音沼も秋の眺めが息を飲むほど美しいスポット。沼を取り囲む山、そして沼のほとりの木々が赤や黄色に染まり、一年でも最も華やかな見頃を迎えます。
観音沼一帯は観音沼森林公園になっています。風光明媚な公園であり、野鳥スポットとしても知られています。自然に包まれてゆっくり過ごしたい方には特におすすめです。
観音沼は周囲約1.2km。ぐるりと一周散策することができます。アップダウンもほとんどないので、景色を楽しみながらゆっくり散策するにちょうどいい大きさ。景色を堪能しながら、写真を撮りながら歩いても、1時間あれば回れます。
沼の西~北にかけては、木立の美しい遊歩道が続きます。木々の間から除く観音沼は、場所ごとにいろんな表情がみられ、絵画のようにドラマチックな美しさ。
東~南側は開けていて沼全体が良く見えるので、対岸の木々が水面に映るリフレクションもよく見えます。ベストショットを待って三脚を構えるカメラマンもたくさん。水面が凪いでリフレクションが見られる瞬間を待つなら、慌てず時間をかけてゆっくりタイミングを狙ってくださいね。
駐車場までも絶景スポット
森林公園内には、沼のほとりに佇む観音堂や、森林を散策できる遊歩道、沼が見渡せる展望台などがあります。公園全体では、沼の周辺の散策路も含めて全部で9つの散策コースがあり、その総延長は約3.2km。ちょっとしたウォーキングにもぴったりです。
観音沼周辺も見飽きない美しさですが、実は観音沼駐車場からの景色も素晴らしい眺め。なだらかな斜面が秋の色に染まり、遠くには雄大な山並み。観音沼にお越しの際は、こちらの景色もお忘れなく。
観音沼へは、塔のへつりからは約15km、車で約20分ほどの距離です。大内宿からは約24km、車で約30分。残念ながら公共交通機関の便はないので、会津下郷駅からタクシーの利用がおすすめです(所要時間約20分)。
<観音沼森林公園の基本情報>
住所:福島県南会津郡下郷町南倉沢
電話番号:0241-69-1144(下郷町観光協会)
アクセス:東北自動車道 白河ICから車で約40分(駐車場有・無料)
