日光の天然氷を珠玉のメニューで堪能!栃木「松月氷室」


2021.08.28

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100年以上も前から伝統的な方法で製造されている栃木県日光の天然氷。手間暇かけて造られた貴重な天然氷のかき氷を通年食べられる「松月氷室」は天然氷を製造している蔵元が直営しているお店。現在、天然氷の蔵元は日本にわずか7軒のみ。天然氷の産地を訪れた際には是非いただきたいものですね。今回は松月氷室の魅力溢れるフワフワのかき氷とともに、天然氷がどのように造られているかについてもご紹介します。
日光天然氷の蔵元が直営しているかき氷屋さん
天然氷を製造しているところは「蔵元」と呼ばれています。実は現在、その蔵元は全国に7軒しかありません。そしてそのうちの3軒が所在するのが栃木県の日光。暑い時期に各地で「天然氷」という暖簾や看板を見かけますが、その天然氷は数少ない蔵元のうちのどこからか遠路はるばる運ばれてきたものということになりますね。
日光市今市にある松月氷室は明治27年創業の歴史ある天然氷の蔵元。天然氷の製造はもちろん、1年を通しておいしいかき氷を食べさせてくれる直営店舗を構えています。定番のかき氷メニューはもちろん、地元のフルーツを合わせた珍しいものもあり、天然氷特有のふわふわとした食感を実にさまざまな味で楽しめるお店。店内には天然氷を製造している興味深い写真などもあり、蔵元ならではの氷の世界がそこにあります。
そもそも天然氷とは?普通の氷と何が違う?
かき氷を紹介する前に、その主役となる天然氷について触れてみましょう。どのようにして造られているかを知ることで、楽しみ方により深みが増します。
濾過した水道水を人工的に凍らせて出荷する「純氷」に対して、天然氷は屋外の池で冬の寒さを利用して製造されます。
松月氷室では、まず日光の湧水を滅菌処理し「氷池」と呼ばれる池にひきこみます。ここで使用されている氷池はもう100年以上も前のもの。そして日光の冬の寒さを利用して2週間かけて氷を厚さ15センチまで育てていきます。氷を育成している間は雪や埃などをはらい、常に綺麗な状態を保つことに専念。途中で雨が降ってしまうと質が落ちるので、氷は割って流し、また最初からやり直すことに。先の天気を見て、自然と駆け引きをしながら進める繊細な作業が繰り広げられます。
ようやく成長した氷は目印となる切り取り線をつけて、切り出し作業が行われます。1枚50~60キロのサイズに切り取られた氷のブロックは、冷凍倉庫のみならず、昔ながらの氷室でもおが屑をかけて保存され、出荷まで時を待ちます。
極寒の冬に一年分の氷を製造するので、私たちが暑い時期に口にするものは、その半年以上も前に切り出されたものだったり。日光の冬そのものを季節を超えていただく…このタイムラグがなんともドラマチックですね。
自然を相手にして作る天然氷は、手間と時間が相当かかります。しかし、それだけの作業をした先に辿り着ける「味わい」がそこにあります。自然の恵みと職人技から生まれる尊い味。自然から生まれたものは、やはり人の体へ抵抗なく馴染むような心地よさがあります。
そして何よりも、この厳しい作業を繋いでくれている職人さんがいるおかげで、天然氷を食すという文化が続けられるという事実が感慨深いですね。
定番から季節もののメニューまで!
それでは松月氷室のかき氷メニューの一部をご紹介していきましょう!
まずは多くの人に愛される味「宇治金時」。
高く盛られたふわふわの天然氷、そこに滴るほどの抹茶シロップをかけた宇治金時。抹茶と相性抜群のコンデンスミルク、白玉も添えられ、まさに理想的な一碗。中にはあんこもずっしり入っており、最後まで楽しませてくれます。頂上の雲のようなクリームと抹茶パウダーがさらに特別感もたらしてくれますね。
他のお店でもよく見られる定番メニューですが、天然氷の量、シロップの量、トッピングの内容はやはり松月氷室ならでは。最上級の宇治金時を堪能したい方におすすめです。
ちょっと変化球を試してみたい方には、こちらの「ストロベリーショコラホイップ」はいかがでしょう?
繊細なシャリシャリ感が残るかき氷と滑らかなホイップクリーム。この2つの異なる食感がかなり新鮮。イチゴの酸味がチョコの甘みをほどよく緩和するので、飽きず最後までペロリと食べることができます。斬新な組み合わせですが、そのバランスの取れようが摩訶不思議。印象に残ること間違いなしのかき氷でしょう。
子供がイメージするかき氷は、イチゴやブルーハワイなどのシロップだけがかかったものということも。松月氷室ではありがたいことに昔ながらのシロップだけをかけたシンプルなものもあります。大人はトッピングが充実したかき氷、そして子供は思い描いているシロップだけのかき氷…と家族で訪れても、全員が望み通りのメニューを食べられるというところも嬉しいですね。
馴染みのあるシロップ味でも、氷が違えばスプーンの進みも全く違います。ガリガリの硬い氷でもなく、スカスカですぐ水になってしまう氷でもない、柔らかいけど密度が感じられるように削られた天然氷はやはり格別。慣れ親しんだシロップで食べることで、普段のかき氷との違いがより感じられるかもしれません。
何度も通ってメニューを制覇する楽しみがあるお店!
今回ご紹介したメニューのほかにも、松月氷室には魅力的なメニューがたくさん。なかには季節限定で生のフルーツと合わせた時価のメニューなども。何度も訪れて、新しい味と出会う楽しみがあります。
柔らかい口溶け、やさしい味、甘み…天然氷の感じ方は人それぞれ。しかし、自然の力を多いに借りて造られている氷を、昔の人々が愛おしんだように味わえること自体がロマンチックではないでしょうか。
日光東照宮から車で約15分のところにある松月氷室。東照宮の長い階段を上り下りした後には、ぴったりな甘味となるでしょう。日光の美しい景色の余韻とともに、この土地の冬に生まれた天然氷で体と心を潤してみてはいかがですか? 

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松月氷室
place
栃木県日光市今市379
phone
0288210162
opening-hour
12:00-16:00[夏季]11:00-17:00
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