ナニコレ!?圧倒的な迫力の和歌山県串本町「橋杭岩」


2022.12.22

トラベルjp 旅行ガイド

本州の最南端に位置する和歌山県串本町を旅すると、海中から突き出した大小さまざまな岩が一直線に並ぶ不思議な光景を目にすることでしょう。その岩の列は「橋杭岩(はしぐいいわ)」の総称で呼ばれており、南紀を代表する奇景として、古来、多くの人を魅了してきました。しかし、その不思議な巨岩群は、いったいどのようにして生まれたのでしょうか。今回は串本町にある「橋杭岩」の成り立ちなどをご紹介しましょう。
南紀を代表する奇景「橋杭岩」
橋杭岩は、和歌山県東牟婁郡串本町にある奇岩群。大小40あまりの岩柱がおよそ850メートルの列を成してそそり立っています。地面から突き出すその規則的な並び方が橋を支える杭(橋脚)の列に似ていることから「橋杭岩」と呼ばれており、現在は国の名勝天然記念物に指定されています。
橋杭岩には、次のような伝説が残されています。昔、弘法大師が串本側から沖合いの島まで橋をかけることができるかどうか、天の邪鬼と賭けをおこないました。弘法大師が橋の杭の部分をほとんど作り終えたのを見て危機感を抱いた天の邪鬼は、ニワトリの鳴き声を真似て朝の到来を告げたところ、朝が来たと勘違いした弘法大師が作業をやめて、その場から立ち去りました。そのため、現在のように、橋の杭の部分だけが残る橋杭岩が生まれたのです。
弘法大師による作りかけの橋。そう思わせるほど、橋杭岩がいかに神秘的な存在として、古来、受け止められてきたか、その伝説からもうかがえますね。
写真には観光客の姿も写り込んでいますが、それと比較すると、橋杭岩がいかに巨大であるか、お分かりいただけるのではないでしょうか。
地球のダイナミックないとなみ!橋杭岩の成り立ち
では、この橋杭岩、どのようにして誕生したのでしょうか。その起源はいまから約1400万年前にさかのぼります。当時からこの地には熊野層群に属する泥岩層が存在していました。あるとき、泥岩層の下よりマグマが上昇。泥岩層に貫入したマグマはやがて冷えてかたまり、石英斑岩の岩脈を形成します。その後、付近一帯が隆起。波や雨風にさらされた泥岩層が浸食され、硬い石英斑岩の岩脈部分だけが残りました。その石英斑岩の岩脈も徐々に風化し、弱い部分が崩れ落ちた結果、現在のように大小さまざまな岩が点々と連なる不思議な光景となったのです。
地球のダイナミックないとなみを実感させられる成り立ちですね。
現在も見られる泥岩層
現地を訪れると、ついつい橋杭岩に目を奪われてしまいがちですが、ご自身の足元にも目を向けましょう。橋杭岩の周辺では、ご覧のような黒っぽい地面をご覧いただけますが、これが先に説明した泥岩層の地上部分です。1400万年前、この泥岩層にマグマが貫入したのです。
足元には、小さな破片が落ちています。これは泥岩の破片。ここからは、泥岩がほかの岩石に比べて脆く、波や雨風の影響で浸食されやすい岩石であることがうかがえますね。
大津波の影響?点在する石英斑岩の巨石群
橋杭岩の周辺では、ご覧のように、たくさんの巨岩が転がっている光景を見かけます。これらの岩石は先ほどご紹介した黒っぽい泥岩とは明らかに異なる色をしていますよね。その巨岩と似ているのは、橋杭岩そのもの。そう、これらは橋杭岩から崩落した石英斑岩の巨岩なのです。
しかし、単に崩落したというだけであれば、それらは橋杭岩のすぐ近くに散在しているはずですよね。しかし、橋杭岩からは離れたところにある巨岩も多く、崩落ということだけでは説明がつきません。
実は、これらの巨岩は過去の巨大地震(特に1707年に発生した宝永地震)によって発生した大津波の影響を受けて流されてきたものではないかと考えられているのです。自然のいとなみがいかにダイナミックであるか、あらためて思い知らされますね。
橋杭岩からの眺め
海に面した橋杭岩からの眺めも抜群。はるか遠くには「くしもと大橋」も望めます。
くしもと大橋は290メートルのアーチ橋と苗我島にかかる386メートルのループ橋とから構成されており、本土と紀伊大島とを結んでいる架橋です。
沖合を航行する船舶を目にすることもしばしばです。
干潮時には、橋杭岩のすぐ近くまで近づけるほどに潮が引くため、磯観察も楽しみましょう。
ご覧のように、ときには石化したサンゴを見つけることもあります。サンゴというと、沖縄など南方の海にしか生息していないと思っている方も多いでしょうが、橋杭岩のある串本の海にはサンゴが群生しているのです。串本の海はサンゴの生息海域の最北端に位置しており、世界的にも珍しく、貴重であるとしてラムサール条約にも登録されています。
橋杭岩がいかにして生まれたか、おわかりいただけたでしょうか。橋杭岩のすぐ横には「道の駅 くしもと橋杭岩」もあり、橋杭岩を眺めるのにうってつけのところです。駐車場も完備されているため、お車を停車させて橋杭岩をゆっくりと眺めることも可能です。橋杭岩を訪れ、地球のダイナミックないとなみに圧倒されてください。 

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橋杭岩
place
和歌山県東牟婁郡串本町橋杭
phone
0735625755
opening-hour
[道の駅くしもと橋杭岩]9:00-1…
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