日本最後の秘境!飛騨・乗鞍山麓五色ヶ原はもののけの森


2020.09.26

トラベルjp 旅行ガイド

新潟、富山、岐阜、長野4県にまたがる北アルプス。その最南端に位置する乗鞍岳山麓の森林地帯が「五色ヶ原の森」です。古くは修験道などの山として信仰され、また近年では限られた地域住民だけが利用するなど長らくベールに包まれた森でした。
平成16年、ようやく一般開放が叶い、現在はガイド付ツアーで散策を楽しむことができます。「日本最後の秘境」といわれるもののけの森、ぜひ今度訪れてみませんか?
日本最後の秘境!飛騨・乗鞍山麓の「五色ヶ原の森」とは
富山、新潟、岐阜、長野4県にまたがる北アルプス。その最南端に位置する乗鞍岳の北西山麓、岐阜県高山市丹生川町(にゅうかわちょう)に広がるのが「五色ヶ原の森」です。東京ドーム600個分に相当する約3,000ヘクタールもの広大な森林帯は、約20万年から30万年前に起こった大規模な火山活動によって誕生しました。
乗鞍岳は古くから修験道など信仰の山として知られ、五色ヶ原周辺もまた近年まで限られた地域住民のみが利用する知る人ぞ知る森でした。それゆえ、手つかずの自然が長く守られ、「日本最後の中間山地地帯の貴重な自然景観」と賞されるほどにもののけの森のような雰囲気をたたえています。
五色ヶ原の森が一般開放されたのは平成16年(2004年)7月。後世に伝えるべき偉大な自然遺産をもっと世に知ってほしい、そんな地域住民の願いに応え、行政と一体となって新たなネイチャートレッキングコースが開発されます。
「自然と人間の共生ゾーン」をコンセプトに、自然環境へ最大限の配慮をしながら木道や橋、休憩・避難小屋を設置、1日の入山者数を規制し、「森の案内人」である認定ガイドの同行が義務付けられ、またツアーを有料化するなど自然環境保全に基づく徹底した管理がなされています。
2020年より、森の指定管理者が「五色ヶ原の森運営共同事業体」から「五色ヶ原の森案内人の会」へ移行し、より柔軟かつ活発な広報活動や運営管理が行われています。
その矢先の2020年7月、かつてない記録的豪雨で橋や遊歩道が崩落、水の流れも変わり大量の土砂や岩が流出、登山道も消失するなど甚大な被害が発生しました。しかし、関係者やボランティアらによる懸命な復旧活動でコースが一部再開、現在もクラウドファウンディングで出資を募りながら復旧が進められています。
五色ヶ原の森で楽しめるネイチャートレッキングコース
前述の通り、五色ヶ原の森への入山には有料のガイド付ツアーに参加することがマストです(ツアー実施期間は5月20日~10月31日)。
ツアー内容は、1日ツアーとして、滝めぐりが中心の「カモシカコース(総距離6.7km)」、池めぐりが中心の「シラビソコース(7.3km)」、原生林を満喫する「ゴスワラコース(6.4km)」の3コースと、半日ツアーとして「久手御越(くてみこし)滝コース(3.4㎞)」「シラビソショートコース(4.4㎞)」「雌池布引滝コース(2.0㎞)」の3つのショートコースの計6つが用意されています。
※2020年9月現在は「カモシカコース」以外は再開しています。
1日のロングコースの料金は大人9,000円、高校生以下5,400円(含保険料)、半日のショートコースは一人3,500~7,000円(一部子ども料金有、含保険料)となっています。Webまたは電話による事前予約を含め、詳細は本ページ末の関連MEMO「乗鞍山麓 五色ヶ原の森案内センター」のリンクをご参照ください。
参加者特典としていただけるコース別オリジナルガイドブックは専門家監修による詳細な解説付きで他では手に入らない貴重な資料です。
コース内には休憩所兼避難小屋が各所に設置され、電源供給は周辺河川を利用したマイクロ水力発電、トイレはバイオマス浄化システムを採用した温水洗浄機付き洋式トイレ、薪ストーブも用意され、山奥とは思えないほどの快適性を備えています。湧き水による水場ももちろんあります。
また、旧林道を使って山小屋まで車でのアクセスも可能。迂回路も随所に用意され、いざというときへの備えは万全です。
人気のシラビソコースの見どころ
今回は6つのコースの中から苔と滝好きにオススメの「シラビソコース」をご紹介。
シラビソコースは、雌(め)池、澄(すみ)池、濁(にごり)池、雄(お)池の4つの池と、布引(ぬのびき)滝、横手滝、日雇声(ひよごえ)滝、籠尾清水、シラベ沢の主に5つの滝や沢をめぐるコース(所要時間目安8時間)です。
ちなみに、五色ヶ原の森の池は、季節によって池の水が枯渇したり突然出現したりとふしぎな現象が起こることでも有名。それは乗鞍火山がもたらした溶岩地形に起因し、岩だらけの地盤のスキマに雨水が降り注ぎ、地下水脈を通じて突然湧き出したり流れ込んだりしていると考えられています。
標高約1,360m~1,640mの間を歩くシラビソコースは、地上が35℃を超える猛暑日でも森の中は20℃前後とひんやりクール。なおかつ豪快な滝や沢からほとばしるマイナスイオンでまさに電気いらずの天然クーラーです。木漏れ日に包まれた滝や沢の姿は、身も心も浄化してくれそうです。
シラビソコースのハイライトは何といってもこの「布引滝」。高さ・幅ともにおよそ40mの滝は森の伏流水が岸壁から一気に吹き出し、緑の苔に覆われた岩肌を扇状に白糸のごとく流れ落ちています。その湧水量は毎秒1トンとも。
ちなみに、岸壁に折り重なる無数の岩が小さな石仏を並べたように見えることから、古くは「小仏滝」とも呼ばれていました。
五色ヶ原の森に生まれた大自然
「ゴスワラ」と呼ばれる溶岩の塊の上に生まれた五色ヶ原の森は、植物にとって土壌に乏しい厳しい環境でした。植物はそれらに適応するため、ブナ、ミズナラ、サワグルミなどの夏緑広葉樹からシラビソ、オオシラビソ、コメツガなどの針葉樹林まで、山地帯から亜高山帯の植生が一帯に広がっているのもこの森の特徴です。また、おびただしい苔が森を覆った太古の森の姿は苔好きにはたまりません。
もちろん、季節に応じた可憐な山の草花も楽しめます。春にはワサビ平湿原でワサビの花やニリンソウ、ラン科の花々などが、夏にはギンリョウソウやオオヤマレンゲ、ヤマトリカブトなど、秋にはカラマツの黄葉やカエデ類などが紅葉を迎え、あちこちではさまざまなキノコが顔をのぞかせます。
山の伏流水から生まれた清流には天然イワナが悠然と泳ぐ姿がたびたび目撃されます。しかし、五色ヶ原の森は禁漁区ですので遠くから眺めるだけにしましょう。
また、運が良ければニホンカモシカやホンドリス、オコジョ、ヤマネなどに遭遇できるかも。
森の熊さん出没?!熊はセンターでお出迎え
五色ヶ原の森でもっとも出没する野生動物は、実は熊。乗鞍岳の山の上には多くの熊が生息し、餌を求めて山から降りてきます。その証拠が樹幹に残された熊の爪痕。それを聞くとちょっとゾッとしますが、熊は生来臆病な生き物なので、人間の気配に気づくと熊の方から逃げていきます。ここでは熊に関する事故は起こっていないのでご安心ください。
ちなみに森のくまさんはスタート地点の五色ヶ原案内センター内でお出迎えしてくれます。見つけたらぜひ写真を撮ってあげてください。
センター内には五色ヶ原の森に生息する野生動物の剥製や写真ギャラリー、関連資料などが展示されています。トレッキングが終わったらひと休憩がてら立ち寄ってみてくださいね。
有料ガイドツアーの料金は決して安くはありませんが、その価値はある太古のもののけの森です。森の案内人が森の謎を一つ一つ紐解きながら、参加者のペースに合わせて楽しく快適に道案内してくれます。「日本最後の秘境」といわれる五色ヶ原のもののけの森、ぜひ今度訪れてみませんか? 

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乗鞍山麓 五色ヶ原の森
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4.5

3件の口コミ
place
岐阜県高山市丹生川町久手471-3
phone
0577792280
opening-hour
8:00-17:00
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