和歌山「粉河寺」は名勝の枯山水庭園と本堂の調和がスゴい!


2020.09.08

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和歌山県紀の川市にある「粉河寺」は、奈良時代の創建といわれる古刹。鎌倉時代には境内に伽藍が建ち並び栄えましたが、豊臣秀吉の紀州攻めによってほとんどが焼失しました。その後、江戸時代中期に、紀州徳川家の外護や信徒の寄進などによって大門や本堂、千手堂などの諸堂が再建され現在に至っています。西国三十三ヶ所の中では最大級の本堂と、国指定名勝の枯山水庭園との調和が見事な粉河寺をお参りしてみませんか?
粉河観音宗の総本山で西国三十三ヶ所第三番札所の「粉河寺」
粉河寺(こかわでら)は、粉河観音宗の総本山で西国三十三ヶ所第三番札所です。伝承によると創建は、奈良時代の770年(宝亀元年)、大伴孔子古(おおとものくじこ)によるとされています。本尊は、秘仏の千手千眼観世音菩薩(せんじゅせんげんかんぜおんぼさつ)です。
『粉河寺縁起絵巻』(国宝)によると、紀伊国の猟師だった大伴孔子古は、ある日、山中に不思議な光を発する場所を見つけ、そこに小さな庵を営みました。これが粉河寺の始まりです。そこにひとりの童子(童男大士)がやってきて、宿を借りたお礼にといって金色に輝く千手観音像を刻みました。感銘を受けた孔子古は殺生を止め、観音像を信仰するようになったとのことです。
写真の朱色が鮮やかな大門(重要文化財)は、総欅造りの三間楼門。和歌山県の大門では、高野山・根来寺に次ぐ偉容を誇っています。大門は、江戸時代の1706年(宝永4年)の建立で、仏師春日作と伝わる金剛力士像を安置しています。
大門をくぐると、本堂まで粉河寺の名前の由来となった長屋川に沿って、約200mの石畳の参道が続きます。参道沿いには、堂塔伽藍が建ち並び、その中のひとつ童男堂(県指定文化財)は、粉河寺の創建にかかわる重要な建物です。
1679年(延宝7年)の建立で、粉河寺の本尊の千手観音の化身、童男(どうなん)大士を祀っています。建物は、正堂と礼堂からなり、三間四方の正堂の前方に五間二間の礼堂を設け、奥行一間の合の間を挟んで建てられています。
童男堂の隣にある出現池は、本尊千手観音の化身、童男大士(童男行者)が、柳の枝を手に、白馬に乗ってこの池より出現したと伝わります。童男大士は、現世利益の佛として病気平癒に霊験あらたかで、祈願が成就した場合、この池に鯉を放生する風習があります。
なお、出現池は土塀に囲われているので、土塀にとり付けられた格子を通して拝むことになります。出現池では、右手に馬蹄岩、正面に童男大士石像、左手に三角堂(千手観音を安置)を見ることができます。
四天王像を安置する重厚感あふれる「中門」
さらに出現池の前には、釈迦の足跡を石に刻み信仰の対象とした仏足石(ぶっそくせき)があります。1863年(文久3年)の作で、紋様は、釈迦の三十二好相のひとつ千輻輪相(せんぷくりんそう)を表し、その大きさは人徳の偉大さを象徴しています。後方の石碑に刻まれている文字は、江戸時代の傑僧・願海上人の筆によるものです。
なお、本堂では、足腰健全に御利益のある仏足石御守(500円)を受けることができます。
仏足石を過ぎて、参道を本堂の方へ進むと、さらに巨大な楼門が建っています。中門(重要文化財)で、江戸時代の1832年(天保3年)の建立で四天王像を安置しています。
中門にかかる粉河寺の山号「風猛山(ふうもうざん)」の扁額は、紀州徳川家十代藩主、治宝(はるとみ)候の直筆です。
巨石のみで構成された枯山水 国指定名勝の「粉河寺庭園」
中門をくぐると、右手にお食事処「あこ茶家」があります。名物は、風猛そば(680円)。ほかに、草もちセット(550円)もおすすめ。
なお、あこ茶家の入口には、テレビ大阪の紀行旅番組「おとな旅あるき旅」、毎日放送の大型情報番組「ちちんぷいぷい」のコーナー“昔の人は偉かった”のロケ風景の写真が飾られていますので、こちらもお見逃しなく。
あこ茶家の前には、安土桃山時代の石庭、粉河寺庭園(国指定名勝)が広がっています。崖地を巧みに利用して造られた枯山水観賞式蓬莱庭園で、背後にたたずむ本堂との調和は圧巻のひとこと。
粉河寺庭園は、本堂前の左右の崖地に築庭され、日本の庭園の中でも前例のない様式です。巨石を自由自在に扱いこなし、豪快な造形美は、見る人の目を奪います。
用いられている紀州石は、雑賀崎の青石(緑泥片岩)、琴浦の紫石(紅簾片岩)、竜門山の竜門石(蛇紋岩)と多岐にわたっています。
西国三十三ヶ所の中では最大級の大きさを誇る「粉河寺本堂」
粉河寺の本堂(重要文化財)は、創建以来、幾度の造営と改造を繰り返し、現在の建物は、1720年(享保5年)に再建されたもの。江戸時代中期の欅材を用いた代表的建築で、西国三十三ヶ所の中では最大級の大きさです。
本堂は、他に類例を見ない特異な形態で、一重屋根の礼堂と、二重屋根の正堂とが結合した構成の複合仏堂の形式です。
なお、本堂内陣には『粉河寺縁起絵巻』の模本と、左甚五郎作の「野荒しの虎」が祀られています。名前の由来は、夜な夜な寺を抜け出して田畑を荒らしたからで、動けないように目に釘が打たれています。冥加料(400円)を納経所の受付に納めて参拝できます。
また、御本尊の千手千眼観世音菩薩は、本堂下の地中に埋められていて秘仏となっています。
本堂の左に建つ宝形造りの千手堂(重要文化財)は、1760年(宝暦10年)の建立。正面に千手観音菩薩、両側の脇壇には、紀州歴代藩主とそのゆかりの人々の位牌を祀っています。
こちらの千手観音立像も秘仏ですが、2017年(平成29年)に「西国三十三所草創1300年」記念事業の一環として、9年ぶりに御開帳されました。
「たのもしのみや」と呼ばれる粉河産土神社もお参りしたい
本堂と千手堂にお参りしたら、本堂の奥にある粉河産土神社へ行ってみましょう。粉河寺境内に鎮座する旧粉河村の総鎮守で、粉河寺内の鎮守でもあります。
地元では昔から「たのもしのみや」と呼ばれ人々に親しまれています。粉河産土神社の祭礼で、紀州三大祭のひとつに数えられる毎年7月の「粉河祭」では、古式に従い渡御式が境内で行われます。粉河寺を訪れたら、あわせてお参りしてみてはいかがでしょうか。
<粉河産土神社の基本情報>
住所:和歌山県紀の川市粉河2788
電話番号:0736-73-2415 

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粉河寺
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和歌山県紀の川市粉河2787
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