本当に東海自然歩道!?愛知・奥三河「岩古谷山」ハイキング


2020.05.15

トラベルjp 旅行ガイド

奥深い自然が根付く愛知県奥三河エリア。観光資源に乏しく、あまり焦点が当たらないのですが、実はハイキングや登山といった観点から見れば、魅力的な山々の宝庫で、特に東海圏のハイカーの間では高い人気を誇っています。その中で、最も簡単に登頂でき、かつ面白いとして話題なのが「岩古谷山」。山頂まで1時間弱という短時間ながら、この道が本当に東海自然歩道!?と言いたくなるようなアドベンチャーなコースが楽しめます。
愛知における登山の代名詞「東海自然歩道」
愛知県・登山と調べれば、必ずと言って良いほど導き出されるキーワードが「東海自然歩道」。元々は東京と大阪を結ぶ長距離遊歩道なのですが、特に愛知県においては県内の主要な山々を繋いでいるため、東海自然歩道=愛知というイメージが定着しています。
新百名山の「鳳来寺山」や愛知県で一番人気の「猿投山」、その他に「宇連山」など新城・設楽の山々が代表例です。特徴としては、標高が低く、基本的に樹林帯を歩く穏やかなハイキングコースだということ。
しかしながら一部、そうした遊歩道という雰囲気を脱し、本格的な登山道の様相を見せるコースがあります。それこそ今回紹介する「岩古谷山(いわこやさん)」付近。所々現れる岩場・そこに設けられた階段や鎖場など、これが東海自然歩道なのか!?というアドベンチャーな登山が楽しめます。
堤石トンネルから登山開始!立ちはだかる火山地形
それでは登山コースを紹介していきましょう!まず登山口となるのは、奥三河設楽町の中心部から車で10分ほど東へ走った場所にある和市地区。「和市 登山者駐車場」に車を止めたらスタートです。
今回紹介する「岩古谷山」には二つの登山道があり、往路と復路を変えることで一周することができます。そしてなんと、このうち堤石トンネルから上がるルートは片道1時間弱!この手軽さがハイカーから人気を博している第一の理由です。
堤石トンネルの右手にある階段から入山すれば、まず現れるのは断崖絶壁と散在する奇岩!実はこの山は、約二千万年前、設楽火山から流出した溶岩によって形成され、それゆえに圧倒されるほどの険しい山容を誇っています。
巨岩の下をくぐったり、断崖絶壁を見上げながら、谷合いに敷設された歩道を進み、標高を上げていきます。よくこんな場所に道を作ったなぁ、と感心するレベルの険しい導線です。
そして道を上がり終わり一息ついたら、今度は岩場に隣り合うように急勾配の階段(通称・猿すべり)へ変化!この道の取り回し方が、岩古谷山の厳しい地形を物語っています。なお、階段の一段一段の幅が少し狭いので、手すりを持ち、注意しながら登るようにしてくださいね!
樹林帯から鎖場!短いながら変化に富んだコースを満喫
そして「猿すべり」を登り終えると、愛知の里山らしい樹林帯を歩くルートです。勾配は落ち、ハイキングといった様相に!そして緑に包まれて心地よい山歩きが楽しめます。標高が上がり、木々の間を流れる風が爽快!
そして樹林帯を歩くこと10分で、このルートの核心部となる鎖場へ到着。急勾配を十数メートルに渡って、鎖を頼りに登っていきます。一見怖そうに見えるものの、写真ほどではなく、慣れてる人であれば鎖なしで登れるほど。しかしながら無茶はせず、手と足で確実に身体を固定しながら登りましょう!
その一方、それでも鎖は怖いという方には、迂回路も設けられているので安心を。こちらは先ほどと同様、樹林帯を歩くルートで注意するポイントはありません。鎖場は登りより下りが怖いことも多いので、初心者の方には、行きは鎖で帰りは迂回路を選択することをオススメします。
山頂に広がる大展望!「岩古谷山」登山の醍醐味
短時間で面白いため、ハイキングに人気の「岩古谷山」。奇岩群・樹林帯・鎖場という変化に富んだコースを経て、1時間にも満たず山頂へ辿り着くことが可能です。そしてこのラストの山頂においても、岩古谷山がハイカーから支持される理由がわかるはず!
なんと山頂の向こうには、設楽の町と奥三河の雄大なパノラマが広がるのです。左手には山麓に千枚田が発達していることで有名な「鞍掛山」や、その反対側には迫力抜群の「三ッ瀬明神山」の山容が!また遠くには南アルプスまで望むことができます。
5月に入ると新緑が芽吹き、秋に至るまで、緑あふれる山々の絶景を味わえます。またツツジやヤマザクラといった花々も彩りを添えてくれるのもポイントです。
標高は799mと奥三河の山の中では高いとは言えないものの、この美しいパノラマと高度感。これが「岩古谷山」ハイキングの一番の醍醐味と言えるでしょう。
なお下山では駐車場へと違うルートで降りる「和市ルート」がオススメ!こちらも、岩場を梯子で降りる区間や、高度感のある木道など、東海自然歩道の難所と呼ばれるアドベンチャーな道が続きます。
しかし、行きの堤石トンネルからのルートに比べて、少し注意が必要になるため、行きの鎖場がヒヤヒヤしたという方は、行きのルートを戻って迂回路を使って下山した方がベターです。
自分のレベルに合わせて柔軟にルートを選択してくださいね!
これが東海自然歩道!?アドベンチャーな「岩古谷山」ハイク
山頂までのコースタイムが最も短いながらも、奥三河の山の中で有数のコース変化を誇る「岩古谷山」。所々、本当に東海自然歩道の一部なのか!?と疑いたくなるアドベンチャーなポイントが現れます。
実は、今回紹介しませんでしたが、この岩古谷山と北隣の平山明神山を結ぶ区間は、東海自然歩道の最難所と言われています。実はこの区間の一部に今回の登山ルートが被っているのです。
最短ながら、面白く、そして実は最難所。そんな奥三河「岩古谷山」一度ハイキングへ訪れてみてはいかがでしょうか? 

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岩古谷山
place
愛知県北設楽郡設楽町
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