泉州の和泉市久保惣記念美術館で美を体験する!


2019.01.09

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大阪府南部の和泉市に印象的な美術館があります。それが和泉市久保惣記念美術館。日本と中国の古美術を中心に約11,000点を所蔵し、所蔵品をいかした企画展や、個性的な特別展を開催しています。国宝も二点あり、宮本武蔵の作品もあることから、泉州の名物美術館と言えるでしょう。東洋美術に興味のある方は、ぜひ訪問され、奥深い美の世界を体験してください。
和泉市久保惣記念美術館の概要
泉州(現大阪府南部)の有数の企業として明治以来100年に渡り綿業を営んだ久保惣株式会社は、昭和52年の廃業を機に、和泉市に美術品、建物、敷地、基金を寄贈しました。和泉市では、昭和57年に寄贈者を顕彰する名をつけた美術館を整備し開館。その後も、久保家や久保惣関係者から建物などが追加寄贈され、約5000坪の敷地に和風の情緒あるミュージアムが完成したのです。
現在の美術館入り口は、新館にあり、道をはさんで無料の駐車場があります。新館には受付と二つの展示室、さらにティールームやミュージアムショップがあります。写真は新館を中の庭園から撮影したものです。
新館から庭園を楽しみながら奥にしばらく歩くと本館があります。本館建物は、和風のしつらえが見事で、四つの展示室とラウンジがあり、穏やかに美術品の鑑賞を楽しめます。
庭園や音楽ホールなど
本館の向かい側には、川への傾斜を利用した庭園があり、四季折々の風情を楽しめます。この庭園奥にある茶室は、惣庵と聴泉亭といい、国の登録有形文化財となっています。ただし、地震の影響から、安全性確保のため、現在、茶室は公開中止になっています。
新館と本館の中間には、和泉市久保惣市民ギャラリーと音楽ホールがあります。市民ギャラリーは市民の創作活動の発表の場として、市民作品展などに活用されています。
写真は音楽ホールで愛称「Ei(アイ)ホール」と呼ばれ、約120席ある中型の音響の良いホールです。演奏会や講演会などの会場として用いられています。
新館には二つの展示室があり、中国の工芸品と西洋美術の展示室として使われています。本美術館では東洋の美術工芸品のみならず西洋近代美術もコレクションしており、その幅の広さに驚かされます。
写真は西洋美術展示室で、印象派の絵画を中心に展示されています。著名な画家・彫刻家の作品としては、モネの「睡蓮」、 モディリアニの「イタリアの娘」、ゴッホの「紡ぎ車をくる女」、ルオーの「女ピエロ」、ロダンの「考える人」、ルノワールの「カーニュのメゾン・ド・ラ・ポスト」などがあります。
美術館が所蔵する代表作品
和泉市久保惣記念美術館で一番人気のあるのが、この宮本武蔵の作品「枯木鳴鵙図」(こぼくめいげきず、重要文化財)です。武蔵は晩年、水墨画や書、工芸品を創作していますが、この作品が特に有名です。枯木鳴鵙図が展示公開される企画展があると、この絵を見るために遠方から来られる方があり、剣豪宮本武蔵のファンが多いことがわかります。
「鵙(げき)」とは獰猛な小鳥である百舌鳥(モズ)のこと。モズの目が鋭く獲物を狙う張り詰めた空気が感じられる作品です。筆致に迷いが無く、無駄な装飾も排し、武芸者としての武蔵の真っ直ぐな気迫が表現されているようです。
写真の青磁 鳳凰耳花生 銘「万声」(ほうおうみみはないけ めい「ばんせい」 )は国宝です。中国の南宋時代に浙江省の龍泉窯で焼成された青磁花瓶で、艶のある半透明の淡い青緑色が美しく、形も堂々として風格があり見事なものです。「万声」という銘は、「千声」(京都の陽明文庫所蔵)とともに、江戸時代に後西天皇によって名付けられたもので、「擣月千声又万声」という詩句からきていると考えられます。
本美術館には国宝としてもう一点、平安時代の名品「歌仙歌合」があります。これは、柿本人麻呂や紀貫之などの著名な30人の歌人による130種の歌を書写した作品で、書写年代は11世紀中頃と推定されています。
写真は葛飾北斎の「冨嶽三十六景」の中の一図「凱風快晴」で、本美術館では人気のある所蔵品です。通称「赤富士(あかふじ)」と呼ばれる浮世絵版画で、江戸時代後期の天保年間に制作された北斎の代表作のひとつです。いわし雲がたなびく青空をバックに、赤く染まった美しい富士山が描写されています。山頂付近には雪渓が残り、夏の早朝の陽を受けた富士山本体が赤く輝き、裾野には樹海が広がっています。
なお、各掲載作品は常設展示ではありませんので、展示期間については、和泉市久保惣記念美術館まで問い合わせてください。
紅葉や花
本美術館は、建物や収蔵品のみならず、四季折々の庭園風景や花などの日本的な自然の美しさも楽しめます。東洋美術の展示を見てから、穏やかな庭園を見ると心が落ち着きます。写真は本館向かいの庭園にある橋と紅葉の景観で、松の緑にカエデの赤が映えて、秋はとても良い雰囲気になります。
新館と本館の間に黒竹のある小路があります。黒竹は常緑タケ類の一種で、幹(さお)が黒く独特の趣きがあり黒竹細工の材料になります。本美術館では庭園通路の一画を占め、白砂に映えて植えられており、実に良い風情を醸し出しています。
和の庭の花々も見どころです。芸術の秋は、シュウメイギク、ツワブキそしてホトトギスなどの花が趣を添えます。写真はホトトギスで、本美術館のあちこちにあり、特に小川のせせらぎに映えています。 

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和泉市久保惣記念美術館
rating

4.0

21件の口コミ
place
大阪府和泉市内田町3-6-12
phone
0725540001
opening-hour
10:00-17:00(入館は16:30まで)
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