ミラクルエッシャー展で不思議を堪能!あべのハルカス美術館


2018.11.28

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だまし絵で有名なエッシャーの150点以上もの作品を集めた「ミラクル エッシャー展」が大阪のあべのハルカス美術館で開催中。90度ずつ折れ曲って上と下が繋がった階段や、滝口と滝つぼが川でつながっている滝など、1度は美術の教科書で見た作品が実際に見られるチャンス!
トロンプ・ルイユと呼ばれるだまし絵以外に、肉筆画や初期の木版画などの作品も来日。大阪でエッシャーが描く奇妙な世界を堪能しましょう。
あべのハルカス美術館で「ミラクル エッシャー展」開催中!
マウリッツ・コルネリス・エッシャーは1898年、イスラエル生まれ。2018年は、エッシャーの生誕120周年にあたり、あべのハルカス美術館では「ミラクル エッシャー展」を開催。故郷のイスラエル博物館からエッシャーの作品が150点以上もの作品が来日しています。
誰もが美術の教科書で1度は見たことのあるエッシャーのだまし絵。ワクワクしながら展示会場に入ると、いきなり謎の生物のお出迎え。
この奇妙な生き物の名前は「でんぐりでんぐり」。何ともふざけた名前の生物ですが、彼は後でも登場するので、ぜひ顔と名前をお忘れなく。
入場後、いきなり謎の生物との邂逅で幕を開けるエッシャー展。少し進むとすぐに、いわゆるエッシャーっぽい作品に出合えます。中央が丸く膨らんで見える「バルコニー」という作品は、エッシャーが住んでいたマルタ島の街の風景。
現在の技術の感覚ではCGによる画像加工のように見えますが、この絵が描かれたのは1945年。エッシャーは図面上に計算を行い、習作を作成して、この作品を完成させました。
だまし絵ばかりがエッシャー作品ではない
エッシャーと言えばトロンプ・ルイユと呼ばれる手法のだまし絵が特に有名。「だまし絵しか書いてない」と思われがちです。しかし実はだまし絵以外にも、さまざまな作品を残しています。エッシャーが生まれたイスラエルはユダヤ教とキリスト教とイスラム教の聖地であるエルサレムのある国であり、キリスト教が主題の作品も多く描かれています。
その代表例が聖書にも登場するバベルの塔。だまし絵的な要素はありませんが、緻密な遠近法によって描かれた塔は、ものすごい高さが表現されています。
今回集められたエッシャーの作品は、多種多彩そのもの。さまざま物を作品の対象としています。旅行先の風景、昆虫、静物、映画館の中などを作品として残しています。
少し意外ですが広告用に注文作成も行っています。また浮世絵に影響を受けたであろう作品や、漢字が使用された作品などがあり、日本人ならビックリするはずです。
さまざまな作品を残したエッシャーの転機となったのは、旅行で訪れたスペインのアルハンブラ宮殿。宮殿の壁や天井に緻密に描かれた幾何学的な装飾模様に影響を受け、後の作品に登場するパターンの中でモティーフが徐々に変化する作品などが誕生したといわれています。
緻密な絵やだまし絵が得意なエッシャー。ちょっと気になるのがエッシャー本人。エッシャー自身の写真を知っている人は少ないと思います。
しかしエッシャーは人物画も多く手掛け、自画像もバッチリ残されています。上の写真の少し気難しそうなおじさまがエッシャー本人。画家エッシャーの人物像を知るうえでこれ以上ない資料であると言えるのではないでしょうか?
エッシャーと言えばだまし絵!
「ミラクル エッシャー展」では多彩な作品が展示されていて、それぞれに緻密な書き込みで、見る者をうならせますが、エッシャーといえば、やっぱりだまし絵の数々。
代表作は何といっても「滝」。滝口から滝つぼに流れ落ちた水は、川を伝い何度か折れ曲がるうち、いつの間にか高さを増し、気が付くと、また滝口へと水が戻ってきています。
この不思議な作品。高尚な見方をするのも良いですが、指で水の流れを追ってみて「スゴーい!」とか「おーっ!」と言って素直にビックリしながら鑑賞するのがオススメ。
上の作品「ベルヴェデーレ(物見の塔)」もエッシャーの代表作。一見すると何の変哲の無い監視塔の絵画だけど、よく見ると建物の外側に掛けたはしごが、建物の内側に掛かっています。
ほかにも「ミラクルエッシャー展」では、一つの絵の中に別々の世界と重力が3つも存在している「相対性」など、有名な作品がたっぷり鑑賞できちゃいます。
「滝」や「物見の塔」、「相対性」と並んでエッシャー作品として有名なのが、90度ずつ折れ曲って上と下が四角く繋がったつながった階段が登場する「上昇と下降」。
壁一面にエッシャーのだまし絵作品が並ぶ様子は贅沢な空間。どれだけ見ても飽きることない作品ばかりで、鑑賞時間はおそらくかなり長くなるのでは?
「学校の美術の時間や教科書が退屈だったけど、エッシャーだけは好きだった」という人も多いはず。つまりエッシャー展は、美術館に普段行かない人にとって美術館デビューに最適の展示となっています。
意外とユルいぞ!エッシャーの世界
「ミラクル エッシャー展」ではだまし絵以外にも魅力的な作品がいろいろ。まず紹介したいのが彼、展示会場入口でいきなり遭遇した謎の生物「でんぐりでんぐり」。彼もエッシャーが描いた作品。
また一つ隣の作品の「階段の家」には、「でんぐりでんぐり」がいっぱい登場。エッシャー自身もお気に入りのキャラだったことがうかがえます。
ほかにも「トカゲモティーフの平面正則分割」にはユルめのトカゲが登場します。また「扁形動物」という作品では、デフォルメされ実物よりもさらに可愛さがアップした扁形動物であるプラナリアが描かれています。
「発展II」は六角形のタイルがトカゲへと変化する作品となっています。ほかにも展示会場全体で見れば、けっこう緩いキャラも多くみられます。
魚が鳥に噛みついている「宿命(逆さまの世界)」に登場する魚などもかなりデフォルメが効いていてカワイく、自画像は少し気難しそうな顔をしていましたが、こんな不思議カワイイキャラも創造できるたエッシャー。ちょっとギャップ萌えですね(笑)。
展示作品以外にもお楽しみはいろいろ
不思議な定番だまし絵作品から思わぬゆるキャラにまで出会える「ミラクル エッシャー展」ですが、展示作品以外にも、まだまだお楽しみがあります。
必見はこちらの図録。通常の製本方法と違い、コデックス装と呼ばれる180度開く豪華製本。これによって図録を手で押さえなくても、好きなだけエッシャーの不思議な世界に没入できます。また、「メタモルフォーゼII」という超横長の大作作品も収録されています。
またミュージアムショップで見逃せないのが、日本のエッシャーともいうべき若きトリックアート作家、Mozu氏の作品集の錯視トリックノート「NOUTO」。ノートを開けば、落書き風の作品が満載。
ノートの中に階段があったり、ノート全体の厚み以上の深さの穴や、飛び出すあみだくじなどがあり、ビックリ間違いなしなのでお見逃しなく。
また「ミラクル エッシャー展」では、体験型映像コンテンツとして、「ミラクル デジタル フュージョン」のコーナーを用意。CG合成によってエッシャーの代表作、「相対性」の中に入り込むことも可能。
合成した動画データは持ち帰ることも可能なので、ぜひSNSに投稿しちゃいましょう! 

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あべのハルカス美術館
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4.0

105件の口コミ
place
大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16F
phone
0643999050
opening-hour
[火-金]10:00-20:00(最終入館1…
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あべのハルカス美術館「コシノジュンコ 原点から現点」当日券

¥1,700

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更新日:2024/03/29

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