恐竜の背の如き大海崖~高知・柏島と大堂海岸の美しい海~


2018.08.04

トラベルjp 旅行ガイド

近年、SNSで宙に浮いて見える船の写真が話題になっている、大月町の「日本のサルデーニャ島」こと、柏島から本土側の大堂海岸にかけての海域は、生息の魚種が一千種以上と日本一多く、珊瑚礁やエンジェルフィッシュを見ることができます。大堂海岸は高さ50~120m超の海崖でウバメガシの中、遊歩道が整備されています。今回ご紹介する無名の回遊コースからは恐竜の背の如き大海崖と碧色の海が広がっているのです。
鮮やかなグリーンの海は「日本のサルデーニャ島」
柏島は高知市から最も遠い県内の地ですが、夏場は県内外から多くの海水浴客やスキューバダイビング客が訪れ、活気を呈します。その柏島に到る県道43号沿いに大堂海岸の海崖道を回遊できるコースの入口があるのですが、この往路については地元でも知る者は殆どおらず、登山口はヤブに覆われています。しかしヤブがあるのは登山口周辺だけで、山中に入ればなくなります。
その登山口はバス停「いくさ水」の南西。猿の絵が描かれた「動物注意」の道路標識に到るまでの間の山際です。ヤブをかき分けて山中を覗くと、山際に並行する段になったような箇所が見えるのですが、それがコースです。
コースは支尾根の手前で薄い三差路になるのですが、ここを左折します。道は概ね東に上がっていき、大堂山展望台の下段の駐車場に出ます。このコースが大堂山展望台の建つ篠津山(246.4m)の知られざる最短コースなのです。
篠津山が大堂海岸の最高所になります。下段の駐車場から奥には更に狭い車道が展望台へと続いていますが、徒歩時は「四国のみち」(四国自然歩道)にも指定されている丸木階段を上がった方が近道です。
二層の展望台の左には石積みがあり、その上に三角点が埋設されていますが、実はこの石積み、この山上にあった藩政期の烽火台(のろしだい)を組み直したものなのです。
大堂山展望台からの景色は高知県西部屈指の展望。写真では分かり辛いかも知れませんが、柏島(写真右側)から竜ヶ浜にかけての海岸沿いの海は、絵具を溶かし込んだような鮮やかなグリーンになっており、誰もが「まるで沖縄の海のよう」と感嘆の声を上げます。イタリア人観光客であれば「マルデ サルデーニャ島ノ海ノヨウ」と言うことでしょう。
実際に過去、イタリア人がそう語ったことから、その場にいた町内の方がサルデーニャ島と同様のずば抜けた透明度の柏島周辺の港で、船が宙に浮いたように見える写真を撮り、フェイスブックに挙げ、拡散されたのです。
まるで恐竜の背「大堂海岸」
展望台から南東の道路を下っていくと龍ノ峠に着き、その奥には「大堂お猿公園」があります。峠から再び丸木階段を擁す遊歩道になるのですが、この大堂海岸の断崖を通る四国のみちは、四国四県の四国のみちの中でも最も人気が高いコースの一つです。まるで海崖の尾根は恐竜の背のように切り立っています。右側のエメラルドグリーンになっている海が竜ヶ浜ですが、尾根の南側はそれとは対照的に断崖絶壁となっています。
大堂山展望台からの眺望を上回る景色がこの竜ヶ浜を正面に望む景色。これを見ると誰もが竜ヶ浜沖で海水浴やシュノーケリングをしたくなることでしょう。
やがて「お万の滝」という案内板が現れます。四国では「崖」のことも「滝」と言うことがあるのですが、お万の滝は高さ120mに及ぶ断崖。藩政時代、盲目の美女「お万」が愛する島守の仕事の成就を祈念して投身自殺した場所です。
究極に切り立った山と究極の透明度の海
その内、海岸随一の奇岩「観音岩」の展望所に着きます。高さ30mの岩は観音様が合掌しているような姿ですが、寛永15年(1638)、洋上で漂流していた船が、この岩の天辺が灯台のように光ったことにより、上陸することができたという逸話が伝わっています。
遊歩道はそこからほどなくして三差路に到り、右折するとすぐ「観音岩入口」バス停ですが、この先にも展望台があるので、そこに登ってから「観音岩入口」バス停に下り、車利用者はいくさ水まで引き返すといいでしょう。
大堂海岸上のタカ山(126.3m)も究極に切り立った峻険な山容をしていますが、登頂は至って簡単。観音岩バス停に下りる分岐から更に北西に上り、一旦下った所の鞍部の四差路を南に折れ、タカ山の尾根の東に並行する登山道を登るのです。但し山頂には祠があるだけで、展望はありません。
<大堂海岸回遊コースの基本情報>
登山口の所在地:高知県幡多郡大月町一切
駐車場所:バス停「いくさ水」周辺の広場
コースタイム:2時間少々(タカ山を入れた場合の回遊)
アクセス:土佐くろしお鉄道宿毛線宿毛駅から「ふれあいパーク大月」方面行の高知西南交通バスに乗車し、24分で「ふれあいパーク大月」降車、柏島行のバスに乗り換え、20数分で「いくさ水」降車
「観音岩入口」バス停のやや北西の県道からは、時期によって竜ヶ浜周辺の海を見下ろすことができます。珊瑚礁の海だけに町内随一の美しさですが、季節や時間帯によっては、渓谷のようなエメラルドグリーンになっていることがあります。ダイビングの船等が浮かんでいれば、宙に浮く船の写真が撮れます。
「竜ヶ浜キャンプ場」ではシュノーケルやキャンプ用品等の貸し出しも行っています。海水浴と駐車場は無料ですが、シャワーは有料です。
<竜ヶ浜キャンプ場の基本情報>
所在地:高知県幡多郡大月町柏島
※「柏島」は本土側の字名でもあります
キャンプ場開設期間:4~10月
電話番号: 0880-76-0607
アクセス:「いくさ水」の次のバス停「観音岩入口」から徒歩数分
海の美しさに大パニック「柏島」
タカ山の登り口(石段)の斜め向かい辺りからも、竜ヶ浜へ続く入江風の海を見下ろすことができます。写真のようにガスがかかった日でも海岸沿いの海は緑から青へとグラデーションがかかった美しさ。クリヤーカヌー(柏島等でレンタルあり)で底を覗くと、圧巻の海底が広がっていることでしょう。
タカ山登山口から柏島までは徒歩数分。柏島へは二本の橋が架けられていますが、狭い旧柏島橋は『釣りバカ日誌14 お遍路大パニック』のロケ地であり、劇場アニメ『ももへの手紙』の聖地でもあります。橋の西の船着場がSNSで話題の宙に浮く船が撮影できるスポットです。
旧柏島橋から新柏島大橋までの下辺りは柏島海水浴場跡。廃止された海水浴場でも休日には海水浴客で混雑します。それは海の美しさもさることながら、浅瀬にもエンジェルフィッシュや魚屋で見るような魚が泳いでいるからです。特に新柏島大橋の東方は「日本のサルデーニャ島」たる光景で、ボートが宙に浮いているようです。 

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竜ヶ浜キャンプ場
rating

3.0

1件の口コミ
place
高知県幡多郡大月町大字柏島1001-1
phone
0880760607
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no image
大堂海岸
place
高知県幡多郡大月町一切
phone
0880731117
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no image
柏島
place
高知県幡多郡大月町柏島
phone
0880628133
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