長崎に残る廃虚「片島魚雷発射試験場跡」旧日本海軍の秘密施設


2018.06.24

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長崎県川棚町の片島(かたしま)公園に「片島魚雷発射試験場跡」がある。
廃虚となった近代化遺産や軍事関係の遺構が多く残る長崎県。長崎市の軍艦島(端島)や佐世保市の針尾送信所など廃虚めぐりスポットには事欠かない。
片島魚雷発射試験場跡は、観光スポットとしてはさらなる整備が期待されるが、注目を浴びている廃虚感満載の軍事遺構でもある。映画『バケモノの子』の1シーンにも使われた、廃虚マニア必見のスポットだ。
廃虚マニア必見「片島魚雷発射試験場跡」
波穏やで静かな入江に、象徴的な構造物が突き出ている。
ここ片島魚雷発射試験場跡は、まだあまり知られていないスポット。しかし、担ってきた役割と廃虚感には特筆すべきものがある。
場所は、大村湾に面した大崎半島の東にある片島。元は独立した島に1918(大正7)年、片島発射試験場が完成した。太平洋戦争中の1942(昭和17)年には埋め立てられ地続きとなり、川棚海軍工廠が開設された。
役割は名前の通り。旧日本海軍が重要視していた魚雷を実際に発射して性能試験を行う場所だ。もちろん、極秘扱い。ここで試験に合格した魚雷は、佐世保鎮守府に納められていた。
遺構には「立ち入り禁止」のエリアもあるが、特別に許可をもらい関係者の立ち会いの下、撮影をした。
試験をする魚雷は運搬台車に載せられ、先端の射場にセットされた。発射方向は距離も長い大村湾の南、長崎市方向。佐世保鎮守府にも近く、湾内は波も穏やかで、長い射程がとれ、射線上に停泊船舶ないため、この地が選ばれたようである。
射場の上屋は、外からは鉄筋コンクリート造りのように見えるが、内部に入ればレンガ造りだったことが分かる。
廃虚感満載!他にはない光景はロケ地にも
片島魚雷発射試験場の遺構の中で、もっとも驚きを感じる建物が「空気圧縮喞筒(そくとう・しょくとう)所」跡だ。喞筒とは、ポンプのこと。
建物としては1917(大正6)年に完成している。ここでは、魚雷内の空気室に空気や酸素を圧縮して装気する作業をおこなっていた。
大きな建物だが内部が衝撃的だ。屋根を失った廃虚の中央にドンとムクノキとエノキが立っている。どこかで、このシーンを見たことがある人もいるだろう。
細田守監督が脚本も手掛け、2015年夏に公開された長編アニメ映画『バケモノの子』で主人公の丸太と熊徹が修行したシーンに使われている場所だ。他にも人気ロックバンドflumpool(フランプール)のミュージックビデオのロケ地にもなっている。ショートバージョンの映像は、YouTube上で公開されている。
忘れ去れたようにたたずむ廃虚に、新たに芽吹いた自然が作り出した風景の妙。青葉の季節はもちろん、落葉した風景でさえ感動を覚えるだろう。
廃虚と自然が語る戦争遺構「片島魚雷発射試験場跡」
片島の頂上には観測所があった。徒歩で10分もあれば登れる。ここで発射試験の指揮と発射された魚雷の航跡を観測していた。今は、2階への階段も床も抜け落ちている。当時の眺めは見られないものの、その雰囲気は十分に伝わってくる。
片島公園には、魚雷の一時保管所などとなっていたトンネルや発射試験の成功を祈願した神社跡など、いくつもの遺構が残されている。
戦後、試験場の建物の多くは昭和30年代に壊されてしまったが、現在残る遺構周辺は宅地開発などされておらず手つかずのまま放置されたためか、豊かな自然も残っているので、ちょっとしたハイキング気分を楽しむのにもちょうどよい。
中には崩落して危険な場所もあり、立ち入り禁止の場所がある。安全に配慮が必要な状態だが、今後は整備が進み見やすくなるだろう。
時代とともに忘れ去られようとしている軍事遺構。長崎の旅のコースに川棚町の片島公園「片島魚雷発射試験場」を加えてみてはいかがだろうか。 

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川棚町公会堂
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3.5

3件の口コミ
place
長崎県東彼杵郡川棚町中組郷1506
phone
0956822064
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