川床料理も!鞍馬寺~貴船散策で楽しむ京都の清流と緑


2018.06.21

トラベルjp 旅行ガイド

京都の中心部より5~10度も気温が低いといわれる洛北・貴船は、水と緑が調和する京の奥座敷です。9月下旬まで貴船川に夏の風物詩「川床」が登場し、ますます涼が感じられます。清々しい空気に満ちた鞍馬寺と貴船神社を結ぶ参道を森林浴散策をしながら、自然からたっぷりエネルギーをもらい、マイナスイオンを浴びながら涼感あふれる川床料理を味わう。街なかの暑さから逃れて、“京都の涼”を見つけに出かけてみませんか。
展望電車で緑のトンネルを走り抜け夏の鞍馬・貴船へ
京の奥座敷、鞍馬・貴船へは、叡山電車を利用して、渋滞や駐車場をきにせずに出かけましょう。「えいでん」の名で親しまれ、出町柳駅から貴船口駅まで28分、鞍馬駅までを31分で結んでいます。
住宅地を抜けると、窓の向こうはだんだん緑のグラデーションに染まっていきます。秋は紅葉スポットのそばを車内照明を落としてゆっくり運行することで知られていますが、緑が窓ガラスいっぱいに迫ってくる夏もいいんです。市原駅~二ノ瀬駅間の250mは「もみじのトンネル」と呼ばれ、窓の向こうを緑がぐんぐん流れていきます。車窓の緑を楽しみながら、終点の鞍馬駅まで乗車しましょう。
叡山電車の鞍馬線に乗るなら、展望列車「きらら」の運行時間を事前にチェックです。毎日運転される観光電車の人気車両で、大きな窓ガラスと窓側に向けて設置した座席が人気です。2列席と1列席に分かれ、そのうち2列席の中程8席が特大の窓の方、すなわち外向きになっているのでぜひ座ってみたいものです。別料金は必要なく、早い者勝ちですよ!
例年6月1日~9月30日まで「悠久の風~南部風鈴によせて~」というイベントが開催されます。このイベントは、鞍馬と岩手県の2つの場所が、源義経ゆかりの地であることから、源義経が生きた地域の風を感じてほしいと2013年から開催されています。
期間中には、岩手県名産の南部風鈴が鞍馬駅のホームと待合室に飾られる他、南部風鈴を車内に吊るした風鈴電車「悠久の風号」が運転されます。うちわ型の1日乗車券「悠久の風きっぷ(大人1000円)」も枚数限定ですが発売されますよ。
牛若丸(義経)伝説が残る鞍馬寺から山を越えて貴船へ
「鞍馬寺」は宝亀元年(770)、鑑真和上の高弟・鑑禎上人が毘沙門天を本尊として創建し、延暦15年(796)藤原伊勢人が塔堂伽藍を整え千手観世音も合わせ祀り誕生したとされる古刹です。『源氏物語』や『枕草子』などに登場し、牛若丸ゆかりの史跡も多く残ります。
鞍馬寺へは若狭へと続く鞍馬街道から少し入った場所に立ち、湛慶作の仁王尊像を祀る仁王門からスタートします。門前には鑑禎が鬼から毘沙門天に助けられた時が寅の月、寅の日、寅の刻であったことから狛犬ならぬ阿吽の虎が。この山門は俗界と浄界の結界の役目を果たしていると言われています。
愛山費300円を納めて、神秘のパワーを持つ鞍馬の尊天様に包まれた聖なる地へと、ゆっくり進んでいきましょう。
広い境内には手つかずの自然が残り、昼間でも少し暗くて神秘的です。山門より160m標高が高い「本殿金堂」へは鞍馬の火祭の舞台となる由岐神社を経由し、『枕草子』にも記されたくねくね曲がる「九十九折り参道」を30分ほど歩きます。金堂内には鞍馬信仰の中心である三尊尊天が奉安されています。
本殿金堂正面の石畳にある「金剛床」の中心は、人間の内なる宇宙と、宇宙そのものが一体化するともいわれるパワースポット。人気の撮影スポットですよ。
本殿から貴船神社へと抜ける道は、電車に乗ればわずか一駅ですが、ご存知牛若丸が修行に通った道と聞けばなおさら歩いてみたくなるものです。牛若丸がのどを潤したと伝わる「息つぎの水」、鞍馬寺を出る時に名残を惜しんだ「義経公背比石」、岩盤が固く地下に根を張れない杉の根が地表を這うようになり見事なアラベスク模様を描く「木の根道」は、牛若丸が兵法の稽古をした所といわれています。
<鞍馬寺の基本情報>
住所:京都市左京区鞍馬本町1074
電話番号:075-741-2003
水源の神を祀り縁結びで有名な「貴船神社」
「貴船神社」は鴨川の水源に位置し、反正天皇(390年頃)の時代の創建とされています。神武天皇の母、玉依姫命が黄船に乗って浪速から淀川・鴨川・貴船川を遡り、水が湧き出す奥宮の地に上陸し、水神を奉り祠を建てたのが始まりです。牛若丸が平家討伐を祈願するために参詣したとも言われています。
二の鳥居をくぐって本宮へ。約80段の石段の両脇の朱塗りの春日灯籠が並ぶ参道は、したたるように広がるご神木カツラの緑に美しく映えて艶やかです。
貴船神社は全国450社ある貴船神社の総本社で、太古の昔より人間の生活に欠かすことのできない「水」を司る高オカミ神(※)を祀る神聖な場所であり、京都にとって貴重な水源を守る神様として崇敬されています。
例年7月1日~8月15日までの日没から20時まで「七夕笹飾りライトアップ」が行われます。本宮の社殿とその前に飾りつけられた笹飾りが美しく照らされ、神秘的な空間に変わります。
※文中の「オカミ」は、雨冠に口3つに龍
本宮では、貴船山から湧き出すおいしい御神水が喉を潤してくれます。その近くでは、白い紙をご神水に浸すことによって運勢が書かれた文字がみるみる現れてくる「水占みくじ」をする人が列をつくっています。一枚200円でスマホをかざすと英語や中国語などに翻訳されるQRコードつきですよ。
<貴船神社の基本情報>
住所:京都市左京区鞍馬貴船町180
電話番号:075-741-2016
貴船神社の三社詣は、本宮⇒奥宮⇒結社という順に参拝
貴船という地名は玉依姫命が黄色い船でこられたことから「黄船」が転じたという由来がありますが、「気生根」と書かれることもあり、大地の「気」の生じる場所とされています。
本宮から貴船川上流に向かって参道を進むと、鬱蒼と茂る木々に包まれるように「奥宮」はあります。本殿真下には神聖な龍穴と呼ばれる井戸があり、地のエネルギーが噴出しているところです。
元はここが貴船神社本宮で、境内に足を踏み入れたとたんに凛とした空気が広がり、創建の地が持つ力強いエネルギーにふれた気がします。そして境内には玉依姫命の黄船を小石で覆い隠したと伝えられている、船形石が鎮座しています。
本宮と奥宮の間にある中宮(結社)の御祭神は磐長姫命といいます。瓊々杵尊が、大山祇命の娘で美人だった木花開耶姫だけを召され、大そう器量が悪いと言われた姉の磐長姫命は帰されてしまったというエピソードがあります。このことを大いに恥じて、「吾ここに留まりて 人々に良縁を授けよう」と御鎮座した縁結びの神様と知られ、歌人・和泉式部が詣でて、心が離れた夫とよりを戻したことで有名です。
願い事を叶えるためにはまず、本宮で購入した細長い緑紙の「結び文」の裏に願い事を書き綴って、結社の「結び処」に結び納めると生涯の幸福を得られるといわれ、若い女性が数多く訪れます。
中宮から奥宮への道が「和泉式部 恋の道」といわれており、途中に「思ひ川」と呼ばれている小川があります。この小川は禊ぎの川、物忌みの川だったのですが、和泉式部の恋の話と重なり、いつからか「思ひ川」といわれるようになりました。
“貴船の夏”涼感あふれる川床料理を「ひろ文」で味わう
貴船でぜひ楽しみたいのが川床料理です。5月から9月下旬まで鴨川に流れ込む支流の一つ、貴船川に夏の風物詩「川床」が登場し、涼を感じられるようになります。料理旅館や食事処が、貴船川の真上に座敷を設け、それぞれに手がける料理を提供しています。
鴨川の川床<ゆか>に対して貴船では川床<どこ>と呼び、貴船神社に向かう道は川床で華やかに彩られます。おすすめは、貴船神社結社参道手前にある「ひろ文」です。
京都の川床のイメージ写真はほとんどが「ひろ文」のもの。お店前の貴船川の幅が広く視界が開けるような開放感が特徴です。渓流をまたぐように張った床の緋もうせん、よしずがかけられた天井にともる提灯、真っ白な滝しぶきが緑をいっそう輝かせています。
座敷に座ると川面すれすれに張った床から、ひんやりと立ち上がる水の冷気とともに風が吹き込み、まさしく天然のクーラー。せせらぎの音、真っ白な滝のしぶき、見上げれば木々の緑に小鳥のさえずりとまるで掛け軸の絵のような風景です。手をのばせば川の清水に触れられ、蒸し暑さとは無縁の別天地に頬は緩みっぱなしですよ。
この素晴らしいロケーションのなか、川音を聞きながら夏の川床料理の味を満喫しましょう。鮎など新鮮な川の幸もふんだんに使い、塩焼きや天ぷらなど、できたてを一品ずついただける京会席(要予約)や、滝をながめながら味わう野趣あふれる流しそうめん(お昼のみ)も楽しめます。
<ひろ文の基本情報>
住所:京都市左京区鞍馬貴船町87
電話番号:075-741-2147 

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ひろ文
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京都府京都市左京区鞍馬貴船町87
phone
0757412147
opening-hour
11:30-15:30/17:00-21:00(最終…
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貴船神社
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4.5

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京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
phone
0757412016
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【授与所受付時間】9:00-17:00…
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鞍馬寺
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4.5

402件の口コミ
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京都府京都市左京区鞍馬本町1074
phone
0757412003
opening-hour
[参拝時間]9:00-16:15
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