家光の家康愛が結んだ愛知岡崎「ビスタライン」と「滝山東照宮」を巡る旅


2018.06.26

トラベルjp 旅行ガイド

徳川三代将軍家光は家康を大変敬愛しました。家光が家康の遺徳をしのび岡崎の大樹寺に作った絶景が「ビスタライン」です。およそ3km南に建つ岡崎城を大樹寺三門、総門を額縁にして切り取る奇跡の風景です。更に、家光は家康を祀る久能山東照宮、日光東照宮と並ぶ三大東照宮「滝山東照宮」を岡崎に勧請しました。大樹寺からビスタライン対面に建つ岡崎城、そして清流が美しい滝山東照宮へ家光の家康愛を巡る旅をご紹介します。
「大樹寺」は徳川家菩提寺、その意味は「征夷大将軍」
大樹寺本尊は「阿弥陀如来」像(写真正面奥)。光背に千仏を宿す「一光千体仏」とも呼ばれます。本堂正面に家康の旗印「厭離穢土、欣求浄土(おんりえどごんぐじょうど)」が架けられています。
家康は桶狭間の合戦(1560年)時は織田信長と敵対する今川方、戦いに敗れ現在の名古屋南部の大高城から岡崎の大樹寺に逃れ、先祖の墓前で自害を決意します。「厭離穢土、欣求浄土」の言葉を与え、諌めたのが時の住職登誉上人でした。「戦国乱世を住みよい浄土にするのがお前の役目」だと教えました。生かされた家康は僧侶と共に戦い生き延びます。以来家康はこの八文字を馬印にし終生座右の銘としました。
有料(400円)ですがおススメは、本堂右手から、大方丈、収蔵庫、宝物殿の見学。撮影禁止の為ご紹介できませんが、大方丈には将軍御成りの間があり、控えの大名用の三部屋とともに見学できます。御成りの間のオリジナル襖絵が展示されているのが収蔵庫。又、家康が桶狭間の戦いの後、僧侶と共に戦った際に開けた門のカンヌキは現在、開運「貫木神(かんきじん)」として祀られています。
宝物殿には家康遺訓により、徳川代々将軍の(等身大)位牌は大樹寺に安置とされ、家康以前の松平家八代の等身大位牌と共に見ることが出来ます。位牌の高さから全将軍の死亡時身長が確認できる事を歴史番組などでご覧になった方もおられるのでは。
家康と家光を結びつける人物の一人が、家光の乳母となり「春日局(かすがのつぼね)」と呼ばれた福です。家光の実弟、後の忠長が二代将軍秀忠と江に寵愛されたことにより、家光は正統性を失いかけ自害しそうになります。このとき、福が家光を諌め、家康に請願、世継ぎが確認され三代将軍になりました。本堂左手隅に「春日局念持佛地蔵菩薩」があるのでご本尊と併せてお参りしてみてはいかがでしょう。
福は明智光秀の重臣斎藤利三の娘。斎藤利三は本能寺の変(1582年)で主君光秀と行動を共にし処刑されます。一方の家康は本能寺の変に際し京都から伊賀越えし白子(四日市)から船で伊勢湾経由、岡崎に逃げ延びます。福は斎藤家から母方の実家稲葉家に預けられますが、後妻先、稲葉正成が関ケ原の戦い(1600年)で主君小早川秀秋を東軍に寝返りさせる働きをします。
家光の「家」は家康からもらい、「光」は光秀から取ったの説もあり、家康、福、家光のつながりも興味深いものがあります。
大樹寺では徳川家菩提寺で、家康が源氏の流れをくむ徳川を名乗る前の松平氏先祖八代の霊廟を静かな佇まいの中で見ることが出来ます。大樹寺は1475年松平四代の創建。「大樹」とは「征夷大将軍」の唐名。寺名に込められた松平氏の大望が伺われます。
「ビスタライン」をチェックせよ!
大樹寺三門枠内に100m程先にある総門(現在大樹寺小学校南門)が入り、総門内に点のような岡崎城天守を見ることが出来ます。
ズームアップすると総門の屋根瓦の一枚一枚がはっきりと見え、岡崎城の黒っぽい外形を明確に視認することが出来ます。岡崎城は矢作川の支流乙川沿いの小高い丘の上、大樹寺総門から先にも高い建築物や視界を遮るものがなくビスタラインが確保されているのです。
大樹寺三門は、大樹寺から毎日岡崎城を望められるように家光が寛永18年(1641年)に建立しました。
<大樹寺の基本情報>
住所:愛知県岡崎市鴨田町字広元5-1
電話番号:0564-21-3917
アクセス:名鉄「東岡崎」駅またはJR「岡崎」駅下車、駅前より「大樹寺」「奥殿陣屋」「滝団地」行きバスには「大樹寺」下車徒歩10分。愛知環状鉄道「大門」駅より徒歩15分
「滝山東照宮」前を流れる青木川の癒し
家光の家康愛のスポットとしておススメするのが、滝山東照宮です。大樹寺から4kmほど東、車なら15分程度です。参道を上る前に青木川の癒しの景色が待っています。
この辺りは、明治初期に導入が始まった搾油用と紡績用水車が昭和初期には27基設置されていた産業遺跡としても貴重な場所です。残念ながら現在、水車は全て消滅しています。
三河の深い森からの豊かな清流が三段に流れ落ちます。日陰橋からの眺めが最高ですよ(写真)。
三大東照宮の「滝山東照宮」
滝山東照宮(写真右手奥)は、滝山寺内に建っています。滝山寺は来歴によれば奈良時代に、ご紹介した青木川で「薬師如来」像が見つかり創建された由緒ある古刹です。家康は滝山寺に412石を与え庇護しました。
家光は、久能山東照宮と日光東照宮の大改装を行いましたが、同時期に岡崎城の鬼門にあたる滝山寺境内に滝山東照宮を建立(1646年)しました。浄土宗に帰依する家康は、晩年天台宗の天海を重用します。
天海は方広寺の鐘銘事件(「国家安康」、「君臣豊楽」)で豊臣家滅亡のきっかけを作った人物として有名です。天海は100歳以上の長命で家光も天海を重用しました。滝山寺は天海の弟子、亮盛が住職を兼ねており、家康、天海、家光へとつながっていきます。
三大東照宮に数えられる滝山東照宮の極彩色を堪能してみて下さい。
<滝山寺・滝山東照宮の基本情報>
住所:愛知県岡崎市滝町山籠107
電話番号:0564-46-2296
アクセス:名鉄「東岡崎駅」より名鉄バス大沼行他「滝山寺下」下車徒歩10分
「ビスタライン」を逆方向からチェックしよう!
ビスタラインが眺めるのが岡崎城天守閣。反対側から大樹寺を眺めてみてはいかがでしょう。
岡崎城天守閣入り口脇に、家康の有名な遺訓「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず・・・」を刻んだ石碑を背負った亀の像があります。
代々の岡崎城主は毎日、天守閣から大樹寺に向かって拝んだと伝わっています。岡崎城天守閣から、大樹寺三門(写真中央)の手前に総門が見えます。総門は三門の中心から少しずれているのが分かります。天気が良いと陽炎のようににじむ距離です。
<岡崎城の基本情報>
住所:愛知県岡崎市康生町561-1
電話番号:0564-22-2122
アクセス:名鉄「東岡崎駅」より徒歩15分。愛知環状鉄道「中岡崎駅」より徒歩15分。名鉄東岡崎駅よりバス「大樹寺行き」乗車→「康生町」下車→徒歩5分。JR岡崎駅よりバス「康生町方面行き」乗車→「康生町」下車→徒歩5分 

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滝山寺
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愛知県岡崎市滝町字山籠107
phone
0564462296
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岡崎城
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4.0

344件の口コミ
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愛知県岡崎市康生町561-1
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0564222122
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[岡崎城]9:00-17:00(最終入館1…
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大樹寺
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愛知県岡崎市鴨田町字広元5-1
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0564213917
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9:00-16:00(最終受付15:30)
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