鳥取砂丘「砂の美術館」第11期展示“北欧編”で砂の造形美を満喫!


2018.05.31

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鳥取県・鳥取砂丘にある「砂の美術館」は、世界のトップレベルの砂像を、毎年、テーマを変えて展示する、世界初の砂像専用屋内施設です。第11期展示となる今回のテーマは“砂で世界旅行・北欧編~美しい大自然と幻想的な物語の世界へ~”です。鳥取砂丘「砂の美術館」で、世界トップクラスの砂像彫刻家が制作した、砂の造形美が生み出す圧倒的な存在感と感動を体験してみませんか?
鳥取砂丘「砂の美術館」とは
鳥取県・鳥取砂丘で“砂像”の展示が始まったのは、2006年のイタリアをテーマにした第1期展示から。このときの作品の展示はすべて屋外での展示でした。その後、2008年の第2期展示から、2010年までの第4期展示までは、屋外に大型仮設テントを設置し、その中での展示となりました。
しかし、糊などの接着剤を一切使用せず、砂と水だけで固めた彫刻である“砂像”は、風雨に弱く、維持管理の苦労は並大抵のものではありませんでした。
そこで、展示・観覧環境の改善と、より大規模の展示を実施するため、2012年に世界初の全天候型砂像展示施設として、現在の砂の美術館が誕生しました。このときのテーマはイギリスで、壮大で美しい歴史的建造物や大英帝国繁栄の足跡を砂で再現。来館者に“奇跡の造形美”と惜しみない称賛を浴びたのでした。
写真は、砂の美術館の建物です。3階建てになっていて、1階はパネル展示室、2階が砂像展示室、3階が展示の全景を見ることのできる回廊とミュージアムショップになっています。
砂の美術館の1階では、記念撮影用のパネルがあります。砂像彫刻家になった気分で写真を撮ってみましょう。
まずは3階の回廊から全景を見てみよう
砂の美術館の鑑賞方法としては、まずは、3階の回廊から全景を眺めるのがオススメです。今回の第11期展示の「北欧編」では、世界9ヶ国19名の砂像彫刻家が集い、日本の砂像彫刻家の第一人者で、砂の美術館総合プロデューサーの茶圓勝彦(ちゃえんかつひこ)氏の指揮のもとに、22作品が製作されました。
作品の中で、最も奥にある「フィヨルドの風景」は、北欧の大自然を象徴する風景です。フィヨルドとは、ノルウェー語で「入り江」という意味で、遥か何百万年前という気の遠くなる時間に、氷河が溶け出し海側に移動する際、その重さで谷底がU字型に削りとられ、そこに海水が入り込んで形成されたとされる地形です。
横幅に比べ距離が長く、海抜1000mを超える崖が連なる風景は、幻想的な雰囲気を醸し出し、北欧神話やアンデルセン童話の世界観とも深くつながっています。「フィヨルドの風景」では、大量の水が流れる仕掛けもあって、その情景を眺めるには3階の回廊が最適です。
美術の教科書でおなじみ「ムンクの叫び」
まず、北欧の美術をテーマにした作品では、美術の教科書などでおなじみのムンクの絵画『叫び』を見てみましょう。エドヴァルド・ムンクは、ノルウェーを代表する画家で、『叫び』は、ムンクの代名詞とも言える作品です。
なお、ムンクはもっとも有名な油絵のほかに、パステル画、リトグラフ、テンペラ画で、同じ題名、同じ構図による作品を描いていて、複数の『叫び』が存在しています。さらに、砂の美術館の展示作品で、砂像による『叫び』が加わったことになり、ムンクのファンには必見といえるでしょう。
デンマーク生まれのハンス・アンデルセンの代表作のひとつ『人魚姫』。コペンハーゲンの象徴にもなっている「人魚姫の像」をモデルにした砂像は、穏やかな海を見つめ、波打ち際に静かに佇んでいる様子がよく再現されています。ほかに、アンデルセン童話からは『マッチ売りの少女』の砂像もあります。
まるで、実際に空を飛んでいるような躍動感に溢れているのが、スウェーデンを代表する児童文学作品『ニルスの不思議な旅』をモデルにした砂像。1980年代に、NHKでテレビアニメとして放映されたため、日本人にはなじみ深い作品だと思います。
なお、作者のセルマ・ラーゲルレーヴは、女性初のノーベル文学賞受賞者としても知られています。
ノーベル賞やヴァイキングの活躍も
ノーベル賞といえば、スウェーデン生まれのアルフレッド・ノーベルを忘れるわけにはいきません。発明家のノーベルで、最大のものはダイナマイトの発明。鉱山の採掘や土木建築の発展に寄与しましたが、のちに戦争においては兵器として流用され、巨万の富を得たノーベルは、思わぬ世間の批判を受けて心を痛めることになりました。
科学の進歩と世界平和を祈っていたノーベルは、「人類にとって最も重要な貢献をした人物に自分の財産を分配して欲しい」という遺言を残し、1901年から始まったノーベル賞は、人類の発展と平和に大いに寄与しています。砂像は、ダイナマイトとそれによって築いた巨額の財産、思い悩むノーベルの憂鬱をよく表現しています。
北欧神話では、アイスランド女王への謁見・鍛冶職人とシグルズ・シグルズのドラゴン退治というタイトルの3つの砂像があります。怜悧な女王、寡黙な鍛冶職人たち、聖剣を携えドラゴンと闘うシグルズの英雄的な風貌がよく表現されています。
さらに、北欧の英雄といえば、ヴァイキングの活躍が挙げられます。その由来は、スカンジナビア半島の入り江(ヴィーグ)に住む人々から来ています。ヴァイキングは優れた航海術を持ち、ロングシップと呼ばれる細長い船を巧みに操り、新天地を求め、9~12世紀の西ヨーロッパ各地へ勢力を拡大していきました。 各地への移住、植民が一段落すると自然消滅していったのですが、その強者の称号ともいうべきヴァイキングの名は、今も語り継がれているのです。
展望広場からは鳥取砂丘の雄大な景観も
館内の作品鑑賞を楽しんだら屋外の展望広場に行ってみましょう。雄大な鳥取砂丘を一望できます。
砂の美術館では、総合プロデューサー茶圓勝彦氏による公開砂像制作も行われています。写真は会期中に、毎年1回だけ行われている公開砂像制作風景(2018年の様子)。砂と水だけで作られる砂像の様子をじかに観察できます。
列車で鳥取駅までやって来られた方は、鳥取駅のコンコースに作られた砂像にも注目です。タイトルは『~砂でつくった「神話・因幡の白兎」~』。関西と鳥取を結ぶ「スーパーはくと」の列車名は、この因幡の白兎の伝説に由来しています。こちらも合わせて楽しんでみましょう。
このように、鳥取砂丘「砂の美術館」は、高さ約4m~5mの圧倒的スケールの砂像の彫刻で、世界旅行を体感できる施設です。期間が終わると同じものを見ることはできませんので、一期一会の砂像の芸術を楽しんでみましょう。 

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鳥取砂丘 砂の美術館
rating

5.0

4件の口コミ
place
鳥取県鳥取市福部町湯山2083-17
phone
0857202231
opening-hour
[月-土]9:00-16:00(最終入場15…
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