仏像マニアならずとも一度は見たい!大分「真木大堂」


2018.05.30

LINEトラベルjp 旅行ガイド

仏像に興味があっても楽しみかたが分からず、他の人はどこを見ているんだろうと思ったことはありませんか?真木大堂は、そんな仏像初心者も、百戦錬磨のマニアも皆が楽しめる貴重な場所。
独自の仏像観で一躍有名になったいとうせいこう・みうらじゅん両氏共著の「見仏記」にも面白おかしく描かれています。
少し見方を変えてみるだけで、仏像鑑賞がこんなに面白いものに変わるんだということを実感できると思います。
焼け残りアーティスト9人をスポットライトが照らす
収蔵庫には約700年前の火災で奇跡的に残された9体の仏像が大切に保管されています。私が初めてここに来た時の印象は「まるでコンサート会場みたいだ」というものでした。
まずは、中央の阿弥陀如来と四天王(という名称は良く聞きますが正確にはこの仏像界の4人のことを指します)を見てみましょう。
阿弥陀様を見て最初に「なんでパンチパーマなん?」とか「メインやのに着てる服が貧乏くさいんとちゃう?」などと思われた方は、仏像鑑賞に向いていると思います。最初に自分が見たままの印象や気持ちを大事にしましょう。ちなみに、大御所みうらじゅんさんは「イイ手相してるね」と仰ったらしいです。
次に四天王。手には、普段持っているはずの武器や宝塔などの持物がないために、それがかえって違う雰囲気を醸し出しています。パンチパーマのボーカルとポーズの決まったバックダンサーユニットのように見えるのは、私だけでしょうか?
ちなみにこの4人は、東西南北でそれぞれの立ち位置が決まっており、「北の人」は別名義でソロ活動も行っています。
ステージ上手には日本一大きな木造の不動明王。
足元と背後には迦楼羅焔(かるらえん)と呼ばれる炎が立ち登っていますが、お不動様の頭の上を良く見ると炎の先端が鳥獣(ガルーダ)の顔になっています。この造形センスは他では見られない傑作というかとにかくカッコイイとしか言い様がありません。
また、炎と仏像の彩色の差がはっきりしている為、迦楼羅焔はあとから造ったのではないかと云われています。それとも、自分の炎で焼け焦げたのでしょうか?
脇に従う2人の童子は、たいてい不動明王とセットになっていて何処にもあるのですが、ここの3人はとにかく派手好き。ロック歌手とコーラスのような印象を受けます。
如来様の下手を一人でがっちり固めるのは、水牛にまたがった恐ろしげな大威徳明王(だいいとくみょうおう)。一人と言いましたが、顔も手足も6つずつあって、賑やかしさ満点!
マニアの間では良く、京都・東寺にある同じ像(像高140cm)と比較されますが、真木大堂のものは像高210cmとダントツ日本一の大きさで、一人でも充分な存在感。ファン感謝デーとかあれば、真っ先に並んで記念写真をお願いしたいところです。
といった感じで真木大堂の仏像は、アーティストのステージを見るつもりで鑑賞すると全く違う世界に見えてくるのです。
さらに楽しめる!「特別内覧」で開眼するかも
通常、収蔵庫内は湿度を一定に保つために密閉されています。鑑賞もガラス越しにしか見ることが出来ませんので、単眼鏡やオペラグラスをご持参することをお薦めします。また、音声ガイドで真木大堂の歴史や仏像の紹介をしています。
これまで一部の人しか入れなかった収蔵庫内ですが、近年、期間や曜日を限定して中に入ることのできる「特別内覧」を行っています。真木大堂観光大使の後藤裕之さんの“専門的なのに判りやすい解説”を聞くと、楽しみや見聞も大きく広がります。
但し、特別内覧の日にいつもガイドをしているわけではありませんので、事前にスケジュールなど確認しておくと良いでしょう。(末尾の窓口に電話でご確認ください)
間近で見るから分かること
仏像は、正面から見るだけでは伝わらない魅力が多々あります。全てを紹介するとネタバレになってしまうので、少しだけその魅力についてお伝えしたいと思います。
例えば、不動明王の舞台美術は横から見るとこんなに手が込んでいるんですね。ガルーダが背中から頭の前へ巻き込むように造られていて、それを正面からは見えない横柱が支えています。大道具さんにグッジョブと拍手を贈りたい。
何げに、紅白歌合戦のアノヒトの舞台裏が気になってしまいました。
不動明王のコーラス(2童子)のステージ衣装も間近で見てみると、その彩色のあとからかなりゴージャスだったことが伺えます。赤から紫、青へのグラデーション、衣には緑色の葉っぱをデザインした柄のようなものも確認できますね。目つきや表情などもガラス越しに見るのとは明らかに違って見えます。
目の肥えた鑑賞者の方々が口を揃えて仰るのは、「ココの仏像は動きがある」ということです。例えば、大威徳明王の足の指を見ると親指が上を向いて他の4本もうねっており、まるで生きているような躍動感があります。
こんな風に仏像をそばで鑑賞すると思わぬ発見があり、真木大堂では誰しもがその魅力にずるずると引き込まれていくのです。
これだけじゃない!真木大堂の境内へ
9体の仏像が収められていたという本堂には、白塗りの仁王像が安置されています。国東半島の仁王というのは、他の地域と違って、石造のものばかりですので、逆に木造が珍しく思えます。
また、右側の阿像が平安末期から鎌倉初期に造られた傑作であるのに対し、吽像は江戸時代後期に造り直されたもので評価も低いという小ネタも。(阿像のみが県指定有形文化財)お笑い芸人にありがちなパターンですね。
本堂のまわりは国東塔や庚申塔、宝塔、五輪塔、板碑、石仏などが多く配され「古代公園」として整備されており、散策をしながら石の芸術を見てまわれます。
とりわけお薦めしたいのが、庚申塔の下の方に刻まれた三猿と四夜叉。ユルユルな姿がたまりません。
かつては三十六の坊を有していたと云われる幻の寺。今も真木大堂が所有する土地はかなり広大で、その敷地内には奥の院や閻魔堂、城山四面仏など多くの史跡が残っています。
さらに、学者や研究者の中には、仏像は9体だけでなく、東寺のような立体曼荼羅があったにちがいないと唱える説もありますが、立証するだけの文献や資料はなく、全ては謎に包まれたままです。
いろんな楽しみ方のできる真木大堂。九州へ来たら、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。 

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真木大堂
place
大分県豊後高田市田染真木1796
phone
0978262075
opening-hour
8:30-17:00
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