温泉六変化! 別府鉄輪温泉「地熱観光ラボ縁間」で次世代温泉体験


2018.05.08

トラベルjp 旅行ガイド

温泉好きなら誰もが一度は訪れたい別府温泉郷。その魅力は多種多様な泉質、そして1分間に83,058リットルという驚異的な湧出量でしょう。その恩恵により、多くの個性的な温泉施設が人気を博し、観光客を呼んでいます。別府温泉郷の一つ、鉄輪温泉にある「地熱観光ラボ縁間」は、飲む、浸かる、生み出す、調理することで、温泉を100%使い切っている施設です。創意工夫で生み出した次世代の温泉を体験しましょう!
地獄と温泉街が共存する鉄輪温泉
別府温泉郷は別府八湯とも言われ、8つの色合い異なる温泉地が共存しています。公共交通機関でアクセスする場合、まず訪れるのは日豊本線が通る別府駅。「ゆふ」や「ソニック」といった特急列車がすべて停車するターミナル駅です。駅前の広場では、別府の開発に尽力した油屋熊八の銅像が観光客を出迎えます。
別府市街からバスに乗りこみ約25分、別府の観光名所「地獄めぐり」を体験できる別府八湯の一つ、鉄輪温泉があります。写真は7つある地獄の一つ、「白池地獄」。白い温泉を湛えた池から湯気がもうもうと立ち上ります。猛々しい温泉の姿を見たい! と、国内外から大勢の観光客が訪れます。
鉄輪温泉には地獄が点在する賑やかなエリアと、湯治向けの長期滞在ができる貸し間旅館が並ぶ、閑静なエリアに分かれています。写真は旅館エリアの「湯けむり通り」。道の中央から湯けむりが立ち昇り、地獄とは対照的な、穏やかな風景が広がります。温泉とともに生活がある鉄輪温泉、今回はこのまちを代表するグルメをご紹介します!
テーブルの下に温泉!?
鉄輪温泉の名物料理、それは温泉の蒸気を使って食材を蒸しあげる「地獄蒸し」。鉄輪温泉で湯治滞在するお客さんに親しまれた、伝統ある調理法です。そんな地獄蒸しを味わえるのが地熱観光ラボ縁間。鉄輪のバスターミナルから徒歩5分、先ほどの湯けむり通りの先にあります。
まず目に入ってくるのは屋根付きの屋外席。これらのテーブルの下は足湯になっており、食事をしながら温泉に浸かれます。この温泉はナトリウム-塩化物泉という塩気のある泉質。浴後も肌に塩の成分が残り、温まりが持続します。そして美肌によいと言われる「メタケイ酸」の成分が400mg/lも含まれており、足だけなんてもったいない温泉です。全身浸かりたい……そう思ったかたは貸切風呂(60分2,500円)で入浴することもできます。
飲む、育てる、生み出す! 浸からない温泉の利用法
足湯に利用している源泉と同じものを、飲泉所で飲むこともできます。ほんのり塩気を感じる優しい味わいです。飲泉所の隣には薬師如来像。鉄輪温泉の共同浴場には必ず置かれており、入浴後に拝んでいく地元の方の姿を見ることができます。温泉を管理しているのは人間ですが、鉄輪温泉に暮らす人々のお湯への感謝が、今日の別府の発展につながっているように見えます。
地熱観光ラボ縁間が持つ源泉の温度は98度。そのまま足湯や飲泉所に源泉を送り込んでも熱すぎて利用できません。水を足せば簡単に温度調整できますが、本来持つ温泉の力が弱まってしまう。それを解消するために開発されたのがこの「湯雨竹(ゆめたけ)」です。笹帚のように木の枝を並べて3m程の高さから温泉を流すと、下に到着する頃には触れるほどの温度まで冷却されます。このお湯が足湯、飲泉所へと供給されているのです。
温泉の活用はそれだけではありません。釜場の隣にあるビニールハウスではなんと、桃薫というブランドのいちごを栽培しています。冬は温泉の熱を、夏は気化熱を利用して冷風を送り、ハウス内の温度を15度に保っているのだそう。さらに建物の裏手では温泉の蒸気でタービンを回し、店内の電気の一部を温泉でまかなっているというから驚きです。
超簡単。地獄蒸しをつくる
こちらが釜場。釜の下についている栓を開けると蓋から蒸気が溢れだします。源泉の温度は98度ですが、この温度では料理を蒸しあげるまでに時間がかかりすぎてしまいます。お客さんをお待たせすることのないよう、圧力をかけた温泉の温度は113度。この瞬間加熱によって時間短縮、さらに食材の水分をぎゅっと封じこめ、本来の味を引き出すことも可能となっています。
一人でいただくにはぴったりの「地獄こ盛(1,500円)」は、キャベツ、ブロッコリー、カボチャ、ニンジン、サツマイモ、トウモロコシ、しいたけの6種の野菜(季節よって変わります)、エビ、ホタテ、サザエ、その日のお魚といった海産物、そして卵を蒸しあげます。ほかにも地熱観光ラボ縁間では普通は蒸さない人気メニュー「蒸しピザ」、4~5人で牛肉、鶏肉、海鮮をいただくパーティーメニュー「地獄だいおう盛」もおすすめです。食材の料金に加えて釜使用量が別途500円必要になります。
食材を窯に入れて蒸気の栓を開ける。調理行程はこれだけ! あとは地獄こ盛の蒸時間、8分間を足湯に浸かって待つだけです(食材によって蒸時間は変わります)。食器や調味料は自分自身で棚から持ち出すセルフサービスなので、この間に用意しましょう。取り出すときは手袋をするのを忘れずに。
蒸しただけなのに…なんでこんなにおいしくなる!?
8分後の様子がこちら。汁っ気が出てしまうことはなく、表面はさっぱりと仕上がっています。そしてなんとも色鮮やか! 野菜を口に入れてみると、素材の中心にぎゅっと水分が凝縮され、甘い! サツマイモやカボチャはより甘く、ニンジンに至ってはまるでグラッセ! 一切調味料を加えることなくこの味に到達できるなんて、信じられません。
一口ではほおばり切れないサイズのエビ。海産物はその日の漁獲量にもよりますが、大分県鶴見地区の豊後水道で獲れたものを使っています。野菜は甘さが際立ついっぽうで、魚介は味が濃くなっています。特にエビはちょうどいい噛み応えの柔らかさで、いくら噛んでも身の芯から味が出てくる! 単純に蒸しただけなのに、しっかりとお酒に合う料理に変化しています。
こちらの卵、見た目は普通の茹で卵ですが、白身がまるでゼリーのよう。茹で卵と温泉卵の中間、未体験の口触りを体験できます。これは吹き付ける力を弱くした温泉の蒸気で、前日から12時間かけて蒸しあげた結果、実現したもの。特別な卵を使っているわけではありません。なのにこのうまさ…地熱調理は奥深い!
地熱観光ラボ縁間の温泉6段活用、足湯、貸切風呂、飲泉所、いちごのハウス栽培、地熱発電、地獄蒸し。「温泉を100%使い切る」と言うのは簡単ですが、実現するのは簡単ではありません。様々な課題をクリアして温泉を100%満喫できる地熱観光ラボ縁間で、様々な温泉の姿を体験してみてはいかがでしょうか。 

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地熱観光ラボ縁間
rating

4.0

29件の口コミ
place
大分県別府市風呂本228-1
phone
0977759592
opening-hour
10:00-10:00(L.O.21:30)
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地熱観光ラボ縁間 温泉噴気のかまどで調理する「地獄蒸し」体験チケット

¥500

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更新日:2024/04/26

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