瀬戸内の自然と歴史!四国遍路で歩きたい「伊予遍路道」5選


2018.05.04

LINEトラベルjp 旅行ガイド

平安時代にまで遡る歴史を持ち、現在も数多くの人々が歩いている四国遍路。弘法大師空海にゆかりの深い八十八箇所の霊場を巡って四国を一周する、世界的にも類を見ない環状巡礼路です。
その道のりは全長1400kmにも及ぶ長大なものですが、今回は愛媛県内を通る「伊予遍路道」のうち、特に昔ながらの風情を色濃く残す5つの古道を紹介します。
豊富な伝承&由良半島を一望できる「柏坂」
高知県最後の札所である第39番札所延光寺からの遍路道は、宿毛市の松尾峠を越えて愛媛県愛南町へと入ります。愛媛県南部の海岸線は複雑に入り組んだリアス式海岸となっており、海沿いを避けて山を越える古道がいくつか残されています。その中でも特に歩いていて楽しいのが、柏集落から始まる「柏坂」の遍路道です。
そこそこ険しい山道ではあるのですが、連なる石畳や石垣、炭焼き窯の跡などに歴史が感じられる古道です。途中には「柳水」と呼ばれる湧き水があるのですが、これには弘法大師空海が旅人の渇きを癒す為に柳の杖を突いて水を湧き出させたという伝説が語られています。
峠を越えるとなだらかな尾根道となり、さらに進んでいくと展望台に差し掛かります。ここからの眺めが非常に素晴らしく、青々とした海に木々の茂った由良半島が浮かんでおり、まるで絵画のよう。山道を登ってきた甲斐があるというものです。
また足が不自由な人が倒木から逃げるはずみで足の病が治ったという「接待松」などの伝承や、イノシシが体を洗う「ヌタ場」などを解説した立札が数多く設けられており、飽きることなく歩くことができるようになっています。
<「柏坂」の基本情報>
所在地:愛媛県南宇和郡愛南町柏
アクセス:宇和島バス柏バス停から徒歩約5分
太陽と月の神様が鎮座する藩境の峠道「鳥坂峠」
宇和島からの遍路道は海沿いから離れて内陸へと入り、三間盆地を経て宇和盆地から大洲盆地へと至ります。「鳥坂峠」はその境に位置する峠道であり、江戸時代には宇和島藩と大洲藩の藩境であったことから、入口にはかつての番所跡が残ります。
上りは傾斜がややキツ目ではあるものの、道幅が広めで歩きやすい山道です。宇和盆地の標高は200mであるのに対し鳥坂峠は標高が470mと高低差が少なく、一方で大洲盆地の標高はわずか16mと二倍近い高低差なので、上りよりも下りの方が長いのが特徴です。
峠から少し下ったところには小さな祠が鎮座しており、その中には「日天月天(にってんがってん)様」と呼ばれている円盤状の御神体が祀られています。その名の通り太陽と月の神様で、梵字と共に太陽と月の図が線で刻まれています。
太陽は農耕をはじめ人が生きていく上で不可欠な存在であり、また月は夜にほのかな明かりをもたらす存在です。この地の主要街道として昼夜を問わず歩く人がいた、まさに道に相応しい神様だといえるでしょう。
<「鳥坂峠」の基本情報>
所在地:愛媛県西予市宇和町久保
アクセス:宇和島バス久保バス停から徒歩約5分
秘境の札所へ続く修行の山道「八丁坂」
久万高原の奥地に位置する第45番札所の岩屋寺へは、主に二通りのルートが存在します。ひとつは古岩屋と呼ばれる景勝地を経由する川沿いのルート、もうひとつは「八丁坂」を登って尾根道を辿るルートです。川沿いは比較的平坦な道が続くので楽なのですが、往路はあえて険しい「八丁坂」を登り、復路で川沿いルートを歩くことをオススメします。
まさに秘境と言うべき山の中腹に位置する岩屋寺は、古くより修行の場として知られていました。そこへと赴く参拝もまた修行であり、キツい「八丁坂」を乗り越えて岩屋寺に向かうことで古くよりの遍路を追体験できることでしょう。川沿いのルートよりも古道の状態が良いという点も見逃せません。
八丁坂を歩くメリットはもう一つあります。最後は尾根から岩屋寺へと下ることになるのですが、その途中には巨大な岩が二つに割れたような不思議な光景を目にすることができるのです。これは「逼割(せりわり)禅定」と呼ばれる昔ながらの行場で、眼前に迫る巨岩の亀裂は迫力満点です。
その外観だけでも見る価値は十分にあるのですが、体力と度胸に自信がある方は、ぜひとも逼割禅定の参拝にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。狭い亀裂を這い進み、鎖と梯子を駆使して岩山をよじ登った頂上には白山大権現が祀られています。現在は入口が施錠されていますが、岩屋寺の納経所に申し出れば鍵をお借りすることが可能です。
<「八丁坂」の基本情報>
所在地:愛媛県上浮穴郡久万高原町七鳥
アクセス:伊予鉄南予バス東狩場バス停から徒歩約30分
難所の山寺に挑む登山道と下山道「横峰寺道&香園寺道」
第60番札所の横峰寺は標高750mの山中に位置しており、愛媛県随一の難所として知られています。そこへと至る「横峰寺道」はとても険しい山道である一方、昔ながらの古道が非常に良い状態で残されています。
湯浪休憩所から始まる山道は、最初は沢に沿って進み、途中からつづら折りの急坂を登って山頂近くの横峰寺を目指します。道中には一定間隔事に苔むした地蔵丁石が鎮座しており、これぞ古道という雰囲気がたっぷりです。
非常に歩き甲斐のある遍路道なのですが、いくつか沢を越える箇所があるので注意が必要です。雨の日には増水して通れなくなる場合がありますので、そのような時は必ず車道を迂回するようにしてください。
横峰寺から第61番札所の香園寺へと下る「香園寺道」もまた丁石が連なる古道です。傾斜のキツい上りとは対照的に尾根沿いを行く緩やかな坂道で、疲れた体に優しい下山道です。
かつて茶屋が存在したという「おこや」という地点に差し掛かると、遍路道は二手に分岐します。どちらも香園寺へと続く道なのですが、現在は尾根を直進するルートが主流でほとんどの遍路がこちらを歩きます。しかしながら、実は右手に下りる遍路道の方が古く、いわばオリジナルの遍路道だったりします。
<「横峰寺道」「香園寺道」の基本情報>
所在地:愛媛県西条市小松町石鎚
アクセス:伊予鉄道バス大頭バス停から徒歩約100分
ひっそり眠る古の参詣道「三角寺奥之院道」
愛媛県最後の札所である第65番札所の三角寺は、少々特殊な経歴を持つ霊場です。四国遍路では各札所の本尊を祀る本堂と弘法大師を祀る大師堂をセットで参拝するのですが、かつて三角寺には大師堂が存在せず、代わりに弘法大師を本尊とする奥之院の仙龍寺を併せて参拝するのが通例でした。三角寺に大師堂ができた現在は仙龍寺を訪れる遍路は少なくなったものの、三角寺から仙龍寺まで、昔ながらの古道が残されています。
昔は多くの遍路が歩いていた道なだけに、その道筋はしっかりと続いており迷うことはありません。道中に鎮座する地蔵丁石も享保年間(1716~1736年)や宝暦年間(1751~1764年)のものが残っており、道の歴史を伝えています。
仙龍寺まで残り8丁の地点に鎮座する不動堂より先は急な下り坂となっており、危険な箇所も多々あるので慎重に歩みを進めましょう。右手に清滝が見えたらあともう少し。三角寺から約2時間半で三角寺奥之院の仙龍寺に到着です。
<「三角寺奥之院道」の基本情報>
所在地:愛媛県四国中央市金田町三角寺
アクセス:せとうちバス三角寺口バス停から徒歩約45分 

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鳥坂峠
place
愛媛県西予市
no image
三角寺
rating

4.0

28件の口コミ
place
愛媛県四国中央市金田町三角寺甲75
phone
0896563065
opening-hour
7:00-17:00
赤亀山延光寺
place
高知県宿毛市平田町中山390
phone
0880660225
横峰寺
place
愛媛県西条市小松町石鎚2253
phone
0897590142
opening-hour
[納経所寺務所]7:00-17:00
栴檀山香園寺
place
愛媛県西条市小松町南川甲19
phone
0898723861
opening-hour
[参拝]7:00-17:00

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