徳島は阿波おどりだけじゃない!阿波十郎兵衛屋敷で人形浄瑠璃を堪能


2018.04.19

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阿波おどりで有名な徳島県ですが、実は全国有数の日本の伝統芸能“人形浄瑠璃の国”ということは、あまり知られていません。神社の境内には、人形芝居用の農村舞台が全国で最も多く残り、そこでは家族の健康や豊作を願い、鎮守の神に人形浄瑠璃が奉納されています。その阿波人形浄瑠璃を毎日見ることのできる施設が「阿波十郎兵衛屋敷」。阿波十郎兵衛屋敷で、日本人の感性が息づく芸能“阿波人形浄瑠璃”を楽しんでみませんか?
阿波人形浄瑠璃の定番外題『傾城阿波の鳴門』とは
徳島県立阿波十郎兵衛屋敷は、徳島市の吉野川河口の近く、川内町にある人形浄瑠璃『傾城阿波の鳴門』で知られる、坂東十郎兵衛の屋敷跡です。この施設では、人形浄瑠璃に使用される木偶人形や関連資料などを展示しており、毎日、阿波人形浄瑠璃の芝居も行われています。
屋敷の中庭には、江戸時代の浄瑠璃作家・近松半二ら5人の合作『傾城阿波の鳴門』に登場する、“お弓・お鶴別れの銅像”が。像の前には、日付入りのボードが置かれているので、記念撮影にピッタリです。
徳島藩のお家騒動を題材にした『傾城阿波の鳴門(けいせいあわのなると)』は、全国的にも人気が高い阿波人形浄瑠璃の定番外題です。内容は、徳島藩のお家騒動を背景に、主君の命によって奪われた藩の宝刀・国次を探すため、盗賊に身をやつして諸国を放浪する十郎兵衛夫婦の物語を中心とする、全10段で構成された作品です。主に上演されるのは、写真の銅像の、母お弓と娘お鶴の情愛を、哀切たっぷりに描いた8段目「順礼歌の段」です。
展示室で、阿波人形浄瑠璃の歴史を知ろう
阿波十郎兵衛屋敷の展示室では、阿波木偶(あわでこ)や、衣装などの資料展示、阿波人形浄瑠璃を生んだ農村舞台や、路傍で演じる大道芸「箱廻し」の紹介など、徳島の人形文化の奥行きを知ることができます。
阿波では、人形を作る人を人形師と呼び、徳島は多くの人形師を輩出しましたが、中でも最も有名なのが、初代“天狗久”こと「吉岡久吉」。舞台道具の一部であった人形頭を芸術の域まで昇華させ、明治・大正・昭和の3代に渡って、約1000個を超える頭を作りました。徳島では、今でも伝統を引き継いだ多数の人形師が活躍しています。
阿波の人形は、文楽人形に比べて種類が少なく、多くは一つの頭で飾りや衣装を替えて、幾通りもの役柄に使います。また、舞台が遠く、照明も暗い農村舞台や、小屋掛けでの公演がほとんどであったため、人形を目立たせるため大きな頭(かしら)が好んで使われるようになりました。
ちなみに、文楽では縦4寸(約12cm)、阿波では6寸(約18cm)を基準としています。また光沢のある塗りを施すとともに、目にはガラス玉をはめ込んで輝きが出るようにしました。大きく重たくなったために、材料は檜から桐に替えて軽量化が図られています。
実在の坂東十郎兵衛は、板野郡宮島浦(いまの徳島市川内町)の庄屋で、徳島藩から実直さを評価されて32歳で、密輸米の監視役を命じられました。しかし、40歳の時に既得権益として漏れ米を要求する津田浦の船頭とトラブルが生じ、幕府への対策上、トラブルの長期化を恐れた藩によって、責任を負わされて罪状も不明なまま、海賊らとともに、1698年(元禄11年)に処刑されてしまいました。
十郎兵衛処刑から、約70年後に作られた人形浄瑠璃『傾城阿波の鳴門』の作者たちは、義人説と海賊説をうまく結びつけ、藩の任務のために盗賊に身をやつした人物として、ストーリーを創作したと考えられています。
ほかに、展示室では、屋敷のスタッフによる詳しい解説を聞くこともできます。できれば阿波人形浄瑠璃の上演時間前に訪れて、予習するようにしましょう。より深く、人形浄瑠璃を楽しむことができますよ。
上演では、大夫・三味線・人形遣いの動きに注目
阿波人形浄瑠璃の定期上演は、平日・土・日・祝が、11時と14時の2回、お盆(8/11~16)の時期は、10時、11時30分、13時30分、15時の4回上演です。上演時間は、約30分です。なお、平日は人形座のみの出演。音響は録音になります。土・日・祝および、お盆の時期は、人形座のほかに音響として、大夫、三味線が出演します。座席は、全席自由席(約140席)、満席の場合は立見での鑑賞となります。
舞台に向って右側のスペースには、音響として、大夫と三味線が座ります。「大夫」は、唄・言葉・ナレーションをひとりで語り分けます。大夫は、人形に命を吹き込む重要な役目を負っているのです。人形遣いも、三味線弾きも太夫の呼吸に合わせますので、その物語の良し悪しは、大夫の力量に左右されるといっても過言ではありません。
いっぽう、「三味線弾き」は大夫の呼吸に合わせて、物語の情景や、登場人物の心情を音で表す、いわば大夫の女房役ともいえます。そのほか、構え方や座り方、バチの持ち方などに細かい決まりがあります。
人形浄瑠璃では、「人形遣い」が1体の人形を3人で操ります。3人の気持ちと呼吸を合わせて人形の動きをスムーズにすることが求められます。
舞台上演のあとでは楽しい写真撮影タイムも
繰り返し述べますが、阿波十郎兵衛で上演される演目は、『傾城阿波の鳴門』順礼歌の段です。内容は、阿波十郎兵衛夫婦が、名刀“国次”を探すために大阪、玉造に隠れ住んでいたところ、ある日、順礼姿の娘が尋ねてくるところから始まります。
やってきた娘に生国を尋ねると、我が子ということが分かり、びっくり。愛しさと懐かしさで、名乗りを上げたい胸の内、しかし悲しい隠れの身で、我が子まで罪を負わせるわけにはいかないと、立ち去る娘の後姿に、涙するという哀情切々たる物語です。
舞台では、改めて、人形遣いの人たちの様子を見てみましょう。人形の修業は「足遣い」→「左遣い」→「主遣い」となるのが順序で、昔から“足十年、左十年”といわれるほど、長い修練を必要とします。そのため、人形遣いの3人が人形と一体化し、大夫や三味線との呼吸が完全に一致したとき、観る人たちに大きな感動を与えられるのです。
約30分間の上演が終わると、人形座の人たちと一緒に記念撮影ができます。ぜひ、素晴らしい旅の思い出に、記念撮影をしましょう。このように、阿波十郎兵衛屋敷は、阿波人形浄瑠璃の真髄を、心ゆくまで堪能できる施設です。阿波おどりとともに、徳島県が誇る日本の伝統芸能を楽しんでみてはいかがでしょうか。 

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徳島県立阿波十郎兵衛屋敷
rating

4.5

60件の口コミ
place
徳島県徳島市川内町宮島本浦184
phone
0886652202
opening-hour
9:30-17:00[7-8月]9:30-18:00
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