別府地獄めぐりじゃない方の「天然坊主地獄」は泥湯にも入れて地味にスゴイ


2018.04.25

トラベルjp 旅行ガイド

別府観光といえば「地獄めぐり」。別府市内に点在する7つの源泉をめぐる定番観光コースで、お得な共通観覧券が販売されていたり、地獄を循環する路線バスなども運行されています。しかし別府には、地獄めぐりに参加していない地獄もあることをご存知でしょうか。今回ご紹介するのは、そんな独立型の地獄の1つで、何と平成に入って爆発し、今も活発に活動している「天然坊主地獄」です。
鬼石坊主地獄とは違う「天然坊主地獄」
別府の中でも、特に源泉が多く集中する鉄輪地区。鉄輪のバス待合所のあたりから、温泉街のメインストリートを進むと、数十メートル間隔で様々な地獄が現れます。
ここで言う地獄とは、特徴的な温泉の源泉の周りを公園のように整備した、いわば温泉テーマパークのこと。日帰り温泉やホテルを併設する地獄もあります。
地獄めぐりは、鉄輪温泉の白池地獄・かまど地獄・鬼山地獄・海地獄・鬼石坊主地獄と、亀川の柴石温泉にある血の池地獄・龍巻地獄の7つの地獄が、2,000円の共通券で観覧できるお得な観光コース。これらの地獄を循環する路線バスが運行している他、スタンプラリーが開催されていたりと、観光客にうれしいサービスもたくさん用意されています。
しかし、別府には地獄めぐりに参加していない地獄も若干ながら存在します。今回ご紹介する「天然坊主地獄」もその1つ。
と書くと「あれ?」と思う方もおられるかもしれません。先述した7つの地獄の中にある、「鬼石坊主地獄」とは違うの?と。
そう!今回ご紹介する坊主地獄は、鬼石坊主地獄とは別物なのです。
天然坊主地獄の起源は室町時代にまで遡り、血の池地獄・龍巻地獄と並んで別府三大地獄の1つにも数えられています。鬼石坊主地獄は、733(天平5)年の豊後風土記にその存在が記されてはいますが、地獄として人を集めるようになったのは明治以降。
そのため、2つの坊主地獄を区別するにあたり、後から地獄として整備された鬼石坊主地獄を「新坊主」、古くからある方を「本坊主」と呼んだり、また本坊主は天然記念物に指定されていることから「天然坊主地獄」と呼ぶようになりました。
天然坊主地獄は、鉄輪温泉の温泉街から九州横断道路を500メートルほど上った場所にあり、循環バスも停車しないので、公共機関でのアクセスには少し不便な立地です。
明礬温泉方面への分岐に、木製の大きな看板を出しているのが、「天然坊主地獄」です。地獄めぐりの共通観覧券は使えませんので、ご注意下さい。
入場料は400円、子供は200円。観光化された他の地獄とは違い、土産物屋や食堂などの施設は一切ナシ。
ドロドロの熱泥は噴火口の跡!
園内は植物がたくさん植えられ、大きな日本庭園のようになっています。しかし、情緒あふれる手水鉢からは、うっすらと立ち上る湯気が。別府では普通の光景ですが、注がれているのはそう!温泉です。
遊歩道の脇には、手入れの行き届いた植え込みのあちこちに、こんもりとした泥の山が現れます。
泥山の中には液状の泥がたまっており、底から絶え間なく吹き上がっています。これが天然記念物に指定されている坊主地獄です。
鬼石坊主地獄も同じく泥水泉ですが、天然坊主地獄のほうが泥の色が濃く、たぎる勢いも強いのが特徴。
寺の地下から大爆発!平成元年にも噴火したリアル火山口
この場所には、かつて延内寺という寺院が建っていました。しかし、今から約480年前に起こった日向灘地震の際、寺の真下の地面が割れて熱泥が吹き上げ、住職や寺もろとも一瞬のうちに地獄の中に飲み込まれてしまいました。
坊主地獄の名前の由来は、吹き上がる泥が坊主の頭のように丸い形をしているからとも、噴火に巻き込まれて亡くなった僧侶に由来するとも言われています。
天然坊主地獄は、昭和48年にも爆発しました。庭園中央の石がゴロゴロ転がっているくぼみは、当時の噴火口の跡です。今では小さな泥水泉がいくつかあるだけですが、爆発した当時は鳴動と共に10メートルほどの高さまで熱泥が噴き上がりました。
天然坊主地獄は平成に入ってからも再び噴火し、その時の噴火口は「平成泥火山口」と呼ばれています。平成泥火山口は現在も活発化の傾向にあり、今もなお噴気や熱量を増しています。
温泉で満たされた池「蒸気井」
平成泥火山口の向かいにある、小さな澄んだ池。池の表面からはほんのりと立ち上る湯気からもう察しはつくでしょう。そう、この池の水も温泉です。
池の一画から、もうもうと白煙を立ち上らせながら自噴する源泉は「蒸気井」と呼ばれ、この温泉には神が宿ると言い伝えられています。
池のほとりには、蒸気井に宿る神・蝦蟇(ガマ)仙人の像が祀られています。
一日3時間半しか営業しない幻の日帰り温泉「鉱泥温泉」
平成泥火山口は、併設されている日帰り温泉「鉱泥温泉」の源泉となっています。
鉱泥温泉は灌木の茂みの奥にあるため、事前情報がなければこの奥に建物があるとは到底気が付かないでしょう。駐車場の片すみに立つ「鉱泥温泉」と書かれた看板の脇に、日帰り温泉に通じる道があります。
和風の建物の中には、休憩室と男女別の浴室があります。
脱衣所は鍵付きのロッカー完備。湯船は全て露天です。泉質は透明の上がり湯と、平成泥火山口を源泉とした泥湯の二種類。
営業時間は、朝8時15分ぐらいから12時まで。午前中の約3時間半しかやっていないという、非常に珍しい日帰り温泉です。泥湯のメンテナンスに手間がかかるので、どうしても半日しか営業できない、と施設の方。
別府で泥湯というと、別府保養ランドが有名ですが、鉱泥温泉は保養ランドとは泉質が違って非常に強力なので、小学生未満は入浴が禁止されています。
大人の方でも、いっときに長時間入ると湯あたりする危険が高いので、施設の方に入り方を聞いて、無理なく入浴するようにして下さい。
<鉱泥温泉の基本情報>
住所:大分県別府市小倉6
TEL:0977-66-0863
営業時間:8:15ごろ~12:00
定休日:木曜日/元旦
小学生未満の入浴不可 

read-more
坊主地獄
place
大分県別府市小倉6
phone
0977661581
すべて表示arrow
no image

この記事を含むまとめ記事はこちら