「かごしま近代文学館」鹿児島を愛した文豪たちと出会う場所


2018.03.31

トラベルjp 旅行ガイド

鹿児島にゆかりの作家たちや鹿児島を舞台とする小説を独自のテーマで紹介する「かごしま近代文学館」。多い年には3回もの展示品入れ替えがあり、文学に親しめる展示を企画しています。足を運べば、いつでも作家たちの見た鹿児島、鹿児島が描かれた物語たちとの出会いがあります。鹿児島を巡る物語を旅することができるミュージアムを紹介します。
鹿児島を文学で旅する
「かごしま近代文学館」は観光スポット含め鹿児島の文化が集まる鹿児島市城山町に位置します。最寄りの市電駅「朝日通」からは徒歩7分程度。駅から向かう途中には「西郷隆盛像」、近隣には「鶴丸城跡」もあり、鹿児島市街地を訪れるならぜひ立ち寄りたい。館内の写真撮影もできる「かごしまメルヘン館」も併設されています。
文学館の中は、ゆかりの作家たちに関わる展示品はもちろん、体験展示も多く、文学の世界に入り込んでいくような工夫がされています。また、「本のひろば」では、鹿児島ゆかりの作家やおすすめの1冊などが紹介されていて、本との出会いがある空間となっています。
5人の作家たちの情熱
1階フロアは「ゆかりの作家たちの情熱」と「文学アトリエ」のエリアが主となっています。様々なテーマの下、海音寺潮五郎、林芙美子、椋鳩十、梅崎春生、島尾敏雄に関わる文学資料がジオラマや再現品とともに展示されています。
鹿児島の自然の中で『マヤの一生』や『大造じいさんとがん』など子供心に残る動物物語を描いた椋鳩十。旅の人生の中で屋久島を訪れた林芙美子など、それぞれの作家たちの人生と彼らが見た鹿児島が、作品・遺愛の品を通して知ることができます。常設となっているレプリカ、ジオラマ展示のほか、展示ケースの品々は定期的に入れ替わり、訪れるたびに違うテーマを楽しむことができるようになっています。
鹿児島をふる里とする海音寺潮五郎、鹿児島を愛した向田邦子
”私が西郷の伝記を書こうと思い立ったのは、私が西郷が好きだからです。理由を言い立てればいくらもありますが、詮ずるところは、好きだからというに尽きます。好きで好きでたまらないから、その好きであるところを、世間の人々に知ってもらいたいと思い立ったという次第です。”(海音寺潮五郎『西郷隆盛』朝日新聞社,1970,第1巻 「あとがき」より)
海音寺潮五郎は、鹿児島を故郷とする文豪です。真の西郷隆盛の姿を追い求め『史伝西郷隆盛』を未完のまま、この世を去りました。広く知られる作品として戦国時代を描き、大河ドラマにもなった『天と地と』がありますが、西郷の「敬天愛人」の意志を伝える作品は、西郷隆盛に興味をもったからにはぜひ手にとってほしい。
文学館の中では多くの収蔵品を誇り、書斎も再現されています。作家の人生、人柄を伝える展示品を目にするとより深く作品の世界に引き込まれていきます。
”故郷の山や河を持たない東京生まれの私にとって、鹿児島はなつかしい「故郷もどき」なのであろう。”(向田邦子『眠る盃』講談社,1979,「鹿児島感傷旅行」より)
文学館の2階には「鹿児島文学の群像」と「向田邦子の世界」のエリアがあります。東京に生まれ、全国を転々とした向田邦子。しかし、2年ほどにかかわらず少女時代を過ごした鹿児島への想いは強く「長く生きられないと判ったら鹿児島へ帰りたい」と語っています。文学館ではいつ訪れても向田邦子の残り香に触れられることをコンセプトに、身の回りの品々、直筆原稿、彼女の愛した南青山のマンションも再現され、その生き方を垣間見ることがきます。
特別企画展「描かれた西郷どん展」も開催予定!
時流に合わせた企画展示がされている「かごしま近代文学館」2018年大河ドラマ「西郷どん」に合わせた特別企画展も開催予定です。肖像写真が一枚も残されておらず、謎に包まれた西郷隆盛・・・。錦絵、肖像画から身近な商品パッケージやキャラクターまで、さまざまイメージが大集合!会期中にはミュージアムショップとして、グッズや商品も販売されるので、お気に入りのイメージやお土産を探す楽しみもあります。
「描かれた西郷どん展~アート、文学、サブカルから~」
会期:2018年4月21日(土)~5月21日(月)
※ページ下部【関連MEMO】に詳細リンクあり
「西郷隆盛像」からほど近く、鹿児島ゆかりの文豪たちと出会うことができる「かごしま近代文学館」は、文学の世界へ誘われるとともに、作家たちの目を通して土地の奥深さが伝わるミュージアムです。訪れたあとには街並みがさらに味わいを増す「かごしま近代文学館」に足を運んでみてはいかが? 

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かごしま近代文学館・かごしまメルヘン館
rating

3.5

35件の口コミ
place
鹿児島県鹿児島市城山町5-1
phone
0992267771
opening-hour
9:30-18:00(入館は17:30まで)
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