日本の史跡から“世界の記憶”へ!群馬「上野三碑」は1300年の昔を語る


2018.02.13

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“世界の記憶”を知っていますか?「世界遺産なら知ってるけど…」という声が聞こえてきそうですが、その世界遺産と同じユネスコが管理する、世界的に重要で後世に伝えるべき記録物の保存を目的とした遺産事業の1つ。2017年10月に“世界の記憶”に登録されたのが、群馬の「上野三碑(こうずけさんぴ)」。なんだかスゴそうですが、さてどこがスゴイの? 一般公開情報や最新のご当地スイーツも併せてご紹介します!
さて「上野三碑」とは?まずは「多胡碑記念館」から
「上野三碑」は名前の通り、かつて上野国(こうずけのくに)と呼ばれた群馬県高崎市にある3つの石碑:多胡碑(たごひ)・山上碑(やまのうえひ)・金井沢碑(かないざわひ)の総称です。この石碑、いずれも7~8世紀、つまり今から約1300年も前に建てられたものなんです。
「上野三碑」について知るなら、まずは「多胡碑記念館」に行きましょう。ここには上野三碑のレプリカが展示され、詳しい解説も見られます。多胡碑記念館で上野三碑についての概要を見て、すぐ傍の「多胡碑」から回るのがお勧めです。
こちらが多胡碑記念館の「上野三碑のへや」に集められている、三碑を忠実に再現したレプリカです。実際は離れたところにある三碑をすぐ近くで見比べることができます。
7~8世紀と言われても、歴史好きでなければどんな時代かピンときませんよね。平城京ができたのが710年ですから、「上野三碑」は平城京遷都の前後に建てられたもの。平安時代より古い石碑は、日本に18例しかありません。そのうち3つが、この「上野三碑」です。その重要性から、国宝と同格の特別史跡に指定されていましたが、このたび世界的な重要性が認められ、“世界の記憶”に登録されたのです。
石ですから、長い時間の間にはもちろん風化します。雨も降るし風も吹く。雪も降る。もとは全国にたくさんあったであろう石碑が、そうして風化し、割れたり崩れたり、土砂や水に流されて沈んだりして、わずか18例を残して失われました。
「上野三碑」は、お寺や神社で大事に祀られてきたわけではありません。にもかかわらず、1300年の時を超えてほぼ完全な形で残っていること、それ自体が奇跡的です。
<多胡碑記念館の基本情報>
住所:高崎市吉井町池1085番地
電話番号:027-387-4928
開館時間:9:30~17:00(受付は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始
入館料:大人200円、大学生100円、高校生以下・65歳以上無料
※2018年3月31日までは入館料無料
アクセス:上信電鉄吉井駅より徒歩約30分。または、よしいバス東谷・西吉井線「多胡碑記念館前」下車(日祝・年末年始は運休)
三碑の中で最大のスケール:多胡碑
3つの石碑はいずれも保護のため覆屋に納められており、見学はガラス越しとなります。毎年3月に、この扉が開かれ直接見ることができる日が一日だけありますが、それについては後述します。
こちらが本物の「多胡碑」です。「上野三碑」の中で一番大きく、縦長の石(碑身〈ひしん〉)だけで高さ129cm。上の笠石(かさいし)の中央の厚さが27cmなので、合わせて156cmの高さがあり、存在感のある石碑です。他の2碑が自然石であるのに対し、この碑は成形した石が使われています。
ガラス越しでも、つい最近彫られたもののように、はっきりと碑文を見ることができます。多胡碑は、711年に新しく多胡郡(たごのこおり)がつくられたことを記念して建てられたもの。碑文には、朝廷の命により新しい郡がつくられたこと、郡の名を多胡郡とするよう命じられたことが書かれています。
<多胡碑の基本情報>
住所:高崎市吉井町池1095番地
アクセス:上信電鉄「吉井駅」下車、徒歩約25分。または、よしいバス東谷・西吉井線「多胡碑記念館前」下車、徒歩約3分(日祝・年末年始は運休)
完存する最古の石碑:山上碑
「山上碑」は、その名のとおり、約180段の石段を登った高台にあります。見上げるとぎょっとするような階段ですが、一段一段は低く、手すりもあるので、ゆっくり登れば大丈夫。
完全な形を残す石碑としては日本最古のもので、681年、天武天皇の時代に建てられています。高さ111cm、幅47cm、厚さ52cmの自然石。碑文には、僧侶・長利が、母である黒売刀自(くろめとじ)のために建てたことが記されています。
この碑の形は朝鮮半島の新羅のものに似ていることから、この地に渡来した新羅系の人々が関わったと推測されています。
山上碑の隣には山上古墳があり、黒売刀自の墓であると考えられています。石室の入り口はオープンになっているので入ることはできますが、当然ながら真っ暗ですし、虫も発生しているので、入らない方が安全です。
<山上碑の基本情報>
住所:高崎市山名町字山神谷2104
アクセス:上信電鉄「西山名駅」または「山名駅」下車、徒歩約20分。
「群馬」の文字は早くもここに:金井沢碑
「金井沢碑」は、三碑の中では最も新しく、726年に建てられたもの。高さ110cm、幅70cm、厚さ65cmのどっしりした自然石です。
ここには112もの文字が刻まれ、そこには三家(みやけ)氏という一族の家族関係や、繁栄を祈り仏に仕えることが書かれています。東国の家族・氏族関係や戸籍の状況、さらに仏教の普及など、当時の東国文化を知る貴重な史料となっています。
また、この碑文には「上野国群馬郡…」と刻まれており、「群馬」という名称が1300年前にすでに存在していたことを伝えています。
金井沢碑と山上碑は山を挟んで建っており、「石碑(いしぶみ)の路」で繋がっています。距離的には2kmほどなのですが、アップダウンがある山道なので、歩いて行くならしっかりした靴で!時間的には1時間ほどです。
<金井沢碑の基本情報>
住所:高崎市山名町金井沢2334
アクセス:上信電鉄「根小屋駅」から徒歩約10分。または、群馬バス高崎駅-南陽台線「金井沢の碑入口」下車すぐ
上野三碑は直径3kmほどのエリアに点在しています。各碑の近くには駐車場が整備されており車で回るのが便利ですが(一般公開日を除く)、すべてが上信電鉄沿いなので、ウォーキングがてら電車で回るのもお勧めです。上信電鉄では、高崎駅~吉井駅間が乗り降り自由な「上野三碑巡りフリー乗車券」(大人1,120円、小児560円)を発売しています。
また、上野三碑を効率的に回れる「上野三碑めぐりバス」も運行されています。吉井駅を起点とする無料巡回バスで、吉井駅→多胡碑→山名八幡宮(上信電鉄山名駅)→山上碑→金井沢碑と巡り、同じルートで吉井駅に戻ります。2018年2月現在は、9時~15時台の間に、吉井駅→金井沢碑方面、金井沢碑→吉井駅方面とも8本が運行されています。詳しくは、下の関連MEMOの「上野三碑」公式サイト内「上野三碑めぐりバス」のページをご覧ください。
いま群馬で最も注目のご当地スイーツ
「上野三碑」で静かに盛り上がりつつある群馬県では、いくつかの店で「上野三碑」をイメージしたスイーツを販売しています。その1軒が高崎市の「パティスリー La La Sweets」。
こちらの「上野三碑のほろほろクッキー」は、多胡碑をきな粉、山上碑を抹茶、金井沢碑を紫芋の味で表現しています。3個セットで420円とお手頃価格ですが、話題となり品薄のため、2018年2月現在では注文販売となっています。ご希望の方は直接お店にお問い合わせください。
“人を幸せにするケーキ”がコンセプトのこちらのお店、ケーキのほか焼菓子も人気ですが、冬場は濃厚な「とろける生チョコレート」もおすすめです。
<パティスリー La La Sweetsの基本情報>
住所:高崎市飯塚町382番地
電話番号:027-362-9966
営業時間:10:00~19:30
定休日:水曜日、第三火曜日
アクセス:北高崎駅から徒歩約15分 

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多胡碑記念館
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3.5

10件の口コミ
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群馬県高崎市吉井町池1085
phone
0273874928
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通常 9:30-17:00
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