いつかは行きたい京都・祇園祭!デビューのためにザックリ解説


2018.07.18

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京都の夏といえば祇園祭。「一生に一度は見てみたい!」という人も多いはず。しかし京都の7月は、すべてが祇園祭と言われるほどの規模。お祭をどう楽しめばいいか分からない人も多いのでは?
ならばと祇園祭について調べると、難しい説明も多く理解が追い付かないこともしばしば。そこで今回はザックリした説明を交えつつ祇園祭を解説。楽しみ方などを紹介したいと思います。
祇園祭とは
まずは祇園祭全体をざっくり説明。
昔、京都に疫病が蔓延。それを鎮めるため、祇園社(現在の八坂神社)に祀られ、疫神の一面もあった牛頭天王を始めとする神霊を神輿に遷し、神を迎える町民側の出張所である御旅所(おたびしょ)に鎮まっていただき、災厄の除去を祈って再び祇園社へと戻る神事。
これくらいシンプルに説明すると分かりやすいのではないでしょうか?
現在の祇園祭で神輿が向かう御旅所があるのは四条寺町。初期は神泉苑に当時の国数と同じ66本の矛(ほこ)を立て、牛頭天王を迎え入れました。その矛が今の山鉾(やまほこ)の原型となっています。
祇園祭の原型は、ご祭神を乗せた神輿が、御旅所と祇園社の間を往復するのがメインの神事。やがて山鉾が神輿の通る道を先行して清める、山鉾巡行が行われるようになり、時代と共に形と数を変え今のような姿に進化。祇園祭のシンボルとなっていきました。
祇園祭の流れもザックリ理解しよう!
祇園祭には33の山と鉾が登場しますが、7月中いつでも見られるわけではありません。前祭(さきまつり)に23基、後祭(あとまつり)に10基と分かれて、山鉾巡行を行います。
神輿を御旅所に迎える神事までの期間(7月14日~17日)が前祭。御旅所に鎮座していた神輿が八坂神社へお還りになる神事までの期間(7月21日~24日)を後祭と言います。
山鉾巡行は文字通り山と鉾が巡行する神事。ご祭神を神輿にお遷しし町を巡行する神輿渡御(みこしとぎょ)に先立ちます。前祭では7月17日、後祭では7月24日に執り行われます。
神輿渡御は山鉾巡行と同じ日、夕方から深夜にかけ行われます。ご祭神が御旅所へ向かう前祭の神事を神幸祭(しんこうさい)。八坂神社へ戻る後祭の神事が還幸祭(かんこうさい)と呼ばれています。
ほかにも祭の開始を告げ安全を祈願する吉符入(きっぷいり)。神輿を鴨川の水(神用水)で清める神輿洗(みこしあらい)など、さまざまな儀式が7月の京都で執り行われます。
祇園祭といえば宵山
7月1日から31日の期間行われる祇園祭。華麗な山鉾が登場するのは、鉾(山)建て、宵山(よいやま)、山鉾巡行の期間だけ。1セットおよそ1週間ほどで、前祭と後祭にそれぞれ存在します。
宵山とはザックリ言うと鉾立を行った山鉾が巡行までの期間、待機している期間。山鉾がライトアップするのも宵山。前祭の宵山は、7月14日~16日。後祭の宵山は7月21日~23日です。
山鉾巡行の1日前を宵山。2日前を宵々山(よいよいやま)。3日前を宵々々山(よいよいよいやま)とも言いますが、鉾立から山鉾巡行までのすべての期間、宵山と呼ぶのが本来の呼び方です。
ここまで祇園祭の誕生背景やスケジュールを紹介しました。次は宵山だけの祇園祭の定番アイテム、粽(ちまき)を紹介。
京都の家の軒先によく吊るされている粽。かつて素戔嗚尊を助けた蘇民将来(そみんしょうらい)という人の子孫の印となっています。
災厄や疫病を払い福を招くお守りのような品で、会所(かいしょ)と呼ばれる山鉾近くの基地で、宵山の期間だけ販売されています。
宵という言葉と山鉾の灯の美しさから、夜だけのイメージがある宵山ですが、昼間も山鉾は公開され粽も購入できます。人出も控えめで粽を購入するなら宵山の昼がオススメ。
粽はお菓子の粽と違い、藁(わら)とクマザサで作られたもので、基本的には食べることはできません。
山鉾巡行と花傘巡行と神輿渡御
いよいよ山鉾巡行。前祭は17日、後祭は24日に行われます。前祭では四条烏丸を出発。四条通を東へ向かい、河原町四条で左折。北上し河原町御池の再び左折。西へ向き新町御池へ向け「逆コの字」で進行します。
24日の後祭では、前祭と同じルートを逆向きに烏丸御池を出発。河原町通を南下して、四条烏丸へ向かいます。
山鉾は交差点で90度方向を変えます。車輪はありますが舵やハンドルにあたる機能はありません。そこで山鉾は車輪の下に竹を敷いて水をかけ方向を転換させます。辻回し(つじまわし)と呼ばれる方法は迫力満点。
勇壮な山鉾巡行と並ぶ祇園祭の象徴が花傘巡行。現在の祇園祭では以前の形式が復活。前祭と後祭で山鉾巡行しますが、1966年から2014年にかけては前祭にすべての山鉾が巡行していました。
その間、後祭の山鉾巡行の代わりに誕生したのが花傘巡行。花傘の女性、舞妓を乗せた曳き車。子供が白鷺に扮した鷺踊(さぎおどり)などが構成する華やかな巡行です。
祇園祭で有名な山鉾巡行と花傘巡行、2つの巡行を紹介しましたが、祇園祭のメインは八坂神社と御旅所を行き来する神輿渡御。
荒々しく神輿が渡御していく様子を、ぜひお見逃しなく。
お気に入りの山鉾を見つけよう!
祇園祭を紹介しましたが特徴的な山鉾を少し紹介。山鉾は「動く美術館」とも呼ばれています。余裕があれば、鑑賞しましょう。
祇園祭の山鉾の代表、長刀鉾(なぎなたほこ)は最も古い鉾。巡行の先頭を毎年飾り、生稚児(いきちご)という祇園祭で唯一の生身の稚児を載せています。
「注連縄切り」では、人の世界と神域を隔てる結界の役目をもった注連縄を切り巡行を開始させる大役を務めます。
近年の祇園祭の話題の中心は巡行最後を飾る大船鉾(おおふねほこ)。明治維新時の禁門の変での火災により焼失。150年目の平成26年に復活しました。
船鉾(ふねぼこ)と対になる大船鉾。新羅出船を行った神功皇后を祀る大きな船型の鉾です。船鉾は「出陣の船鉾」、大船鉾は「凱旋の船鉾」と呼ばれています。
神功皇后は応仁天皇を身ごもった状態で戦に勝利した後、無事に出産を終えたました。そのため大船鉾は安産のご利益があるとされています。
ほかにも魅力的な山や鉾はいっぱい。龍の目がLEDで光る役行者山。カラクリ仕掛けのカマキリが動く蟷螂山(とうろうやま)など、さまざまな山鉾登場。また2021年の巡行参加予定の鷹山など、復興中の山もあります。
目を見張るデザインの山が浄妙山(じょうみょうやま)。平家物語の宇治川の合戦の一場面を再現。僧兵の筒井浄妙(つついじょうみょう)に対し一来(いちき)法師が、橋桁を使い頭上を飛び越え、先陣をとった一瞬の場面がアクロバティックに描かれています。
なお浄妙山は巡行の際に戦のシーンを再現。宵山では会所内に人形が展示されています。
祇園祭の山鉾を完全に把握するのは困難ですが、自分のお気に入りの推し鉾を見つけるとグッと愛着がわきます。ご利益や由来、デザインなどで選んでみましょう。
また、33の山鉾のうち10基は宵山期間中、上に登って拝観可能。ただ長刀鉾と放下鉾(ほうかほこ)は、女人禁制なので、ご注意を。 

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八坂神社
place
京都府京都市東山区祇園町北側625
phone
0755616155
opening-hour
24時間参拝可能
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