不屈の「鍋かむり上人」を支えた日蓮の教えとは?鎌倉「妙隆寺」


2018.01.03

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妙隆寺は「鍋かむり上人」こと、二代住職日親が苦行を行った寺院です。住宅街にひっそり佇み、鎌倉七福神のひとつ「寿老人」が祀られていることでも有名です。すぐ近くには日蓮の辻説法跡地もあり、併せて訪れてみると日蓮宗の教えが良く解ります。数々の拷問に耐えた日親の生涯は常に権力との闘いでした。乱れた世を正そうとする姿は宗祖日蓮と重なります。近隣住民から駅への近道として利用されるなど、地元に愛されるお寺です。
参拝は静粛に!日常生活に溶け込みすぎた境内は豪族別邸の跡地
妙隆寺は1427年に創建されました。本尊は日蓮上人。「保元・平治の乱」や「頼朝挙兵」において活躍した千葉常胤の子孫の別邸がありました。別名「千葉屋敷」とも呼ばれていました。
その子孫、千葉胤貞が祖先供養のため、1385年「七堂伽藍」を建立しました。その時に中山法華経寺の日英上人を迎えたと伝えられています。その後、妙隆寺は鎌倉における法華教中山門流の中心として栄え現在に至ります。
妙隆寺は若宮大路から一本奥に入った「小町大路」沿いに建っています。当時ここは目抜き通りであると同時に幕府の裏鬼門(南西)にあたる方向でした。
周辺にある本覚寺を筆頭にこの通りは多くの寺院が構えています。現在は閑静な住宅街の生活道路として利用されていますが、このような背景から政治・仏教における要所だったことが伺えます。
安全・健康祈願なら必訪!長寿の神「寿老人」の尊像は欅の一本造り
境内に祀られている長寿の神「寿老人(じゅろうじん)様」は鎌倉七福神のひとつとして有名です。欅の一本造りの尊像が安置されており、三千年の長寿を象徴しています。
山門は一般住宅と混在しており境内との境界線も曖昧ですが、「七福神めぐり」の参拝客が御朱印を求め日々訪れています。
このお寺は「鍋かむり上人」こと日親上人の逸話を抜きにしては語れません。日親上人は政治を正しに京へと上り「立正冶国論」という意見書を室町六代将軍義教に献上しました。
この振る舞いは将軍義教を激怒させ、日親を投獄し残忍な拷問を課しました。それでも屈しない日親に対し、ついに頭上に灼熱の鍋をかぶせ舌端を切り、日親の言葉を奪ってしまったといわれています。
その他にも凍りつくような寒い夜に庭へ連れ出し、裸のまま木に縛りつけ夜通し笞(木製のむち)を打ったり、浴室に入れた状態で戸を閉め、火を強くたき続けたりと普通なら死んでもおかしくない状況の中でも、日親上人は小声でにお経の題目を唱えていたというから驚きです。
本堂脇には日親上人の座像が安置されています。目の前の道はかなり細く、人ひとりがやっと通れる幅です。檀家の方などがいらっしゃる場合は混み合ってしまいますので、参拝は平日がお薦めです。
また、本堂前右手には日親上人が寒い中、100日間水行をしたとされる池があります。どのような環境下でも厳しい修行を積み、安寧を祈願し続けた彼の生涯は不屈の精神が成し得た「業」といえるでしょう。
<基本情報>
住所:鎌倉市小町2-17-20
電話番号:0467-23-3195
アクセス:JR鎌倉駅東口から徒歩12分
戯曲のモデルにもなっていた!弾圧に屈しない日蓮の生涯とは?
日親の生涯において、大きな影響を与えたのが「日蓮宗」の教えでした。その教えを布教した場所のひとつが「日蓮の辻説法跡地」です。
鎌倉幕府が開府した時代、世の中は地震や豪雨、干ばつなどで疫病が蔓延していました。人々は「末法の世」だと不安や恐怖に怯え、自分達が死んでも極楽浄土へは行けないと考えていました。
しかし、日蓮宗の宗祖「日蓮」は、草庵から毎日「小町大路」の街頭に出て、道行く人々に辻説法を行いました。法華経を教え、熱心に説くことで人々の悩みは解消されると諭したのです。有名な「南妙法蓮華経」を唱えれば成仏できることを伝え、仏を信じることの重要さを訴えたのです。
近代日本を代表する文豪「森鴎外」はこの逸話をもとに脚本を書いています。1904年に上演された『日蓮聖人辻説法』はその名のとおり、日蓮が鎌倉に草庵を構え、道行く人々に辻説法を行う物語です。
今では日蓮の伝記を扱った芝居が上演される機会はほとんどありませんが、昭和初期頃までは、日蓮にまつわるエピソードを脚色した「日蓮記物」と呼ばれる演目が常時上演されていました。人気も高く、誰もが知っている日蓮の人生に注目した鴎外が、日本の演劇に新たな息吹をもたらした意欲作でもあったのです。
日蓮は鎌倉時代において希有の僧侶でした。鎌倉幕府を激しく非難し、常に命を狙われるような環境でした。しかも、その説法を武家屋敷や商人が多く暮らしている場所で行ったのですから、目を付けられるのも当然です。
現在は道幅が狭いうえ交通量が多く、殺風景な印象を受けます。しかし、当時は日蓮を取り囲むように信心深い人々が耳を傾けた事を想像すると、彼の布教へのエネルギーが伝わってきます。柵で囲われ、石碑以外は残されていませんが、今の世にも続く日蓮宗の礎がここで築かれたことは間違いありません。
<基本情報>
住所:鎌倉市小町2丁目
アクセス:JR鎌倉駅東口から徒歩10分 

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妙隆寺
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3.5

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神奈川県鎌倉市小町2-17-20
phone
0467233195

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