称名寺(横浜市)~海の公園、史跡と生きものを探すプチ冒険


2017.03.05

LINEトラベルjp 旅行ガイド

横浜市の南東 金沢区の端に位置する海の公園。潮干狩りや海水浴のメッカとして有名なスポットですが、海も近ければ森も近く、意外と自然豊かなエリアにあります。特に徒歩10分でいける称名寺(しょうみょうじ)の市民の森は、歴史ある寺院の周りを豊かな森林が囲う心地よい隠れ場的空間。金沢文庫の駅から歩いていけるので、称名寺でまず文化と自然を、続いて海の公園で“開放感”を楽しむ……そんなプチ散歩は如何でしょう?
―称名寺市民の森― 森と泉と、そして歴史と
横浜市に数多く存在する“市民の森”。ウォーターフロントの都会のイメージが強い横浜ですが、北から南に突き抜けるように丘陵地帯があり、そこには緑豊かな森林が連なっています(多摩・三浦丘陵といわれています)。称名寺市民の森も、その中の1つ。ご覧の通り深い森に包まれた閑静なスポットで、車の音も届きません。広い池もあり、水面に反射する緑や建物のなんと美しいこと! スケッチや写真を楽しまれる方も多くいらっしゃいます。
皆様も訪れた際には、お好みのピクチャレスク(絵になるスポット)を探してみてくださいね。
称名寺の池には無骨な柵などなく、水辺のすぐ近くまで近づくことができます(もちろん落ちないように注意が必要です)。池を訪れるカモやサギなども、かなり間近で観察できることでしょう。柵がなく、限りなく自然の水辺に近い風景が保たれているからこそ、より“自然”と“歴史”の深みを味わうことができるのです。
12月に入り紅葉が始まると、ご覧の通り。緑がなくなって少々寂しくなった感もあるかもしれませんが、紅葉と冬空とのコンビネーションも情緒があってなかなかのもの。大きなイチョウの木もありますので必見です。
当然、春には新緑が、夏場にはより深い緑が寺社のバックに広がり、それぞれ四季折々の風景を描き出します。
―称名寺市民の森― 史跡を巡り、文化の深みを体感
駅名にもなっている「金沢文庫」がここ。鎌倉時代に北条実時(さねとき)が設立した武家の文庫、すなわち図書館です。約750年前に作られた図書館ということで貴重な蔵書も多く所蔵されていましたが、鎌倉幕府が滅びて室町、戦国時代などを経て、多くの書物が持ち出されてしまったのだそうです。
その後、明治時代になって復興が始まり、今では県立の歴史博物館となっています。重要な文化財も色々と展示されているので、称名寺を訪ねた際に立ち寄ってみるといいでしょう。
真正面に見えるのが称名寺の本殿です。ここもまた金沢文庫と同様、北条実時によって建立されました。実時に始まる金沢北条氏の菩提寺となっており、実時の墓所も敷地内にあります。また、偶然か必然かは定かではありませんが、実時健在時に幕府の開かれた鎌倉の地と同様、ここ称名寺界隈も山に囲まれ、開かれた唯一の方角では海に隣接しています。
寺院の境内でも一際目を惹く、巨大な仁王門。写真をよくみるとわかるかと思いますが、左右にはたくましい仁王像が建てられています。鎌倉時代に建立された当時はかやぶき屋根の少々質素なものだったそうですが、江戸時代後期に再建された際には瓦造りのしっかりとした屋根に生りました。
―称名寺市民の森― 境内めぐりと一緒に、生きもの探しもどうぞ
まわりに森あり、中に泉ありの称名寺。決して広い空間ではありませんが、よく多くの生きものが訪れます。特筆すべきは水鳥たち。写真のゴイサギは時に集団で姿を現すことがあり、池の畔をうろうろしています。大きさはカラスと大体同じくらい。人に近づいてくることはほとんどありませんが、決してそこまで警戒心が強いわけではないので、観察や写真撮影は簡単にできます。
ちなみに写真のゴイサギは幼鳥と成鳥のちょうど中間くらい。大人になるにつれて頭の色がどんどん深い紺色に染まっていき、身体のまだら模様もなくなります。完全に大人になると白と紺色のシンプルなツートンカラーになり、なかなかおシャレです。
称名寺の池に現れたオナガガモの集団。その名の通り尾羽が長いのが特徴で、頭の黒い大きいものがオス、地味な方がメスです。この手の野鳥は、オスの方が派手な色をしていることが多いですね。冬場にしか見られませんが、ほぼ毎年姿を現します。かなり人馴れしており、脅かしたりしない限りは逃げることもありません。
このほか、人気の高いカワセミが現れることもあります。小さいながらもコバルトブルーで非常によく目立つため、ビギナーの方でも見つけやすいはず。ぜひ探してみてくださいね。
春になり暖かくなってくると、まわりの森から昆虫たちもやってきます。写真はベニシジミ。翅の幅2センチくらいの小さなチョウですが、なかなか美しく、太陽の光の当たり具合によっては羽の根元あたりが虹色に輝きます。
このほか、池のまわりにはトンボが、境内にある草原にはバッタの仲間が、それぞれ春から秋にかけて姿を現します。冬に見られるカモや小鳥とならび、豊かな自然を象徴しているといえるでしょう。
称名寺から海の公園へ。目の前には東京湾が広がります。
称名寺を出たら、サクラ並木を通過して車道へ。左に曲がって道なりに進めばやがて海の公園が見えてきます。バスも出てはいますが、大した距離ではありませんのでちょっとした運動のつもりで歩いてみましょう。上空にはトビが舞い、徐々に海辺らしい雰囲気になっていきます。
大通りを渡り、シーサイドラインの架橋をくぐればそこはもう海の公園。海水浴場を中心として運動場やBBQ場なども兼ねそろえているレジャー公園です。砂浜に沿うように北東から南西にかけて長く伸びる公園で、称名寺から最短距離を歩いてくると恐らく北東側から入る形となるでしょう。
ここの北東の端で直結しているのが、あの有名な八景島シーパラダイス。海の公園の海岸線からも、ご覧の通り巨大なジェットコースターや海上に迫り出した建物などが見えます。海と松林が中心の海の公園とは違い、八景島はほぼ完全に遊園地のような立ち位置。まったく雰囲気が違いますが、お子さんや恋人と一緒ならばそのまま立ち寄るというのもいいでしょう。
ちなみにこの写真で海に浮かんでいるのは、スズガモという冬の渡りのカモの一種。毎年何百何千という大きな群れ(写真はあくまで氷山の一角です)を作って海岸線にやってきます。砂浜までやってくることはほとんどありませんが、とにかくものすごい数ですのでよく目立ちますし、初見の時には驚かされることでしょう。
このカモは潜水が得意で、海に潜って小魚や小動物などを食べます。冬場は当然海水浴客もおらず、最近ではこの近辺の海の水も随分きれいになってきましたので、彼らのエサとなる生きものも増えてきているため、こうして毎年群れをなしてやってくるのかもしれませんね。
砂浜から八景島に向かう途中の海岸線は、ご覧のように一部岩場になっています。こういう場所はカニやヤドカリといった磯の生きものたちにとっては格好の隠れ場。実際、春~秋にかけては家族連れなどがよく訪れ、水に浸かりながら磯遊びを楽しんでいます。
また、そうした小さな生きものを食べるために、サギやカモメの仲間などもよく飛んできます。これもやはり、水がきれいになったからこそ……と言えそうですね。首都圏の海も、そうそう捨てたものじゃありません。
―海の公園― 散策がてら立ち寄りたいところもいっぱい
公園の北東側に位置する管理センターには、神奈川の海に関する情報がいっぱい。海に暮らしている生きものの展示もあり、ちょっとした水族館のようです。自販機や売店などもありベンチも置かれているので、ちょっとした休憩などに利用しましょう。
ちなみに写真右側に見えるのは、ほぼ実寸大のトビの模型(?)。こうしてみると結構大きいですよね。江の島などと同じく、ここでも頻繁に出没します。特に食べ歩きやBBQなどをしていると上空から狙われる可能性があるので注意してくださいね。(そういう意味でも、屋根のあるこのセンターは貴重だったりします)
海の公園には「かき小屋」という施設があります。その名の通り写真のような牡蠣飯や焼き牡蠣などを食すことのできるお店で、他にも色々な魚介類を炉辺焼きでいただくことができます。小屋自体は簡素なつくりですが、かつての“海の家”のような雰囲気派ちょっと癖になるかも。牡蠣は三陸産のものが使われています。期間限定オープンなので、行ってみたい時にはWebサイトなどをあらかじめ参照しておきましょう。
ちなみにここも屋根がありますので、トビに襲われる心配はありません(汗)。
公園の海岸線を歩いていると、小さな島のようなものが見えてきます。ここは野島(のじま)といい、実は横浜市の最南端なのです。公園からですとやや距離がありますが、橋で繋がっていますので徒歩でも渡ることが可能。こんもりとした緑の丘といった風合いで、ちょっとした自然散策が楽しめるほか、島の頂上の展望台からの眺めもバツグンです。
また、この島には初代内閣総理大臣・伊藤博文の別邸も保存されています。時期によって和菓子と抹茶によるおもてなしや雛人形等の飾りなど、日本文化を象徴する催しがなされることもありますので、訪れる前によ~くチェックしておきましょう。 

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神奈川県立金沢文庫
place
神奈川県横浜市金沢区金沢町142
phone
0457019069
opening-hour
9:00-16:30(入館は16:00まで)
海の公園
place
神奈川県横浜市金沢区海の公園10
phone
0457013450
opening-hour
24時間
称名寺市民の森
place
神奈川県横浜市金沢区金沢町
phone
0458318484

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