デザイン光る大正ロマンの名建築~山口市・山口県政資料館~


2016.10.03

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現在、山口県政資料館と呼ばれている建物は、山口県旧県庁舎と山口県旧県会議事堂からなります。完成は大正5(1916)年。大正期の建築技術の粋を集めた重要文化財です。
これの設計に携わったのは、国会議事堂の設計で知られる大熊善邦と戦前の関西を代表する武田五一。後期ルネサンス様式を基調とした役所らしい堂々とした佇まいながらユニークなデザインも目につきます。そんな山口県政資料館をご紹介します。
ルネサンス様式に紛れるインド風の柱「山口県旧県庁舎」
山口県旧県庁舎は2階建て、スレート葺きの屋根を持つ石造り風のレンガ造りです。一段高い屋根を中心に両翼は左右対称に造られています。この点は、左右対称に重きを置くルネサンス様式らしいところです。背の高い長方形の窓が多用され、屋根にドーマー(屋根窓)が付いているのもルネサンス様式らしいです。
しかし、正面玄関とバルコニーに据えられた柱が特徴的。ルネサンス様式ならば、古代ローマ風の柱を用いるのが定石のところ、インドの古い石造寺院のスタイルから採っています。こうしたさりげなくユニークなデザインを取り入れているのが面白いです。
天井のユニークさが際立つ県庁舎の館内
では、館内に入ってみましょう。玄関ホールの方形の柱の柱頭には曲折模様が刻まれ、壁と天井の境界部分にあたるコーニスにはコスモスの花と塔をモチーフにしたような連続模様が施され、天井は威厳ある格天井を西洋風にアレンジしたような具合になっています。
2階ホール(写真)の天井は、玄関ホールの格天井を緩やかに屈曲させたようになっており、皿飾りの装飾も印象的です。白とミントグリーンを基調とした正庁会議室を筆頭に、白とベージュ、白とダークブラウンなど色彩も様々、天井の意匠も多彩な各部屋も見どころです。
木工技術を活かした「旧知事室」
ひときわ天井の意匠が凝っているのが旧知事室です。西洋では使用しない木工技術を活かし、天井の中心を軸にして輪を3つ重ねた、モダンで斬新なデザインになっています。照明も何とも説明しがたい独特な形をしており、コーニス照明のような手法で部屋全体を明るくする工夫も見られます。
壁面とカーテンはベージュで統一され、木製の柱や梁とよく調和しています。木製の鏡枠と合わせた大理石のマントルピースもよく溶け込み、温かい雰囲気があります。
木工技術を活かした「旧知事室」
中央の塔屋が建物にスタイリッシュさを与える山口県旧県会議事堂。こちらも見事な左右対称をしており、正面玄関にも例のインド風の柱が見られます。背の高い長方形の窓が多用されている点も県庁舎と酷似していますが、屋根の勾配は緩やかです。これは塔屋を引き立たせるための配慮でしょう。
館内に入れば、ドアの上部に三角形のデザインが見られたり、階段手すりの親柱部柱頭に塔のモチーフが見られるなど、館内にも塔屋を連想させるものが潜んでいます。また、各部屋は白と黒を基調とした統一感が感じられながらも壁やカーテン、天井の意匠で部屋の表情を多彩なものにしています。
かつての議場「夢交流ホール」
県会議事堂のハイライトは当然ながら議場です。ここで大正5(1916)年から昭和49(1974)年まで県政が進められていました。そんな、かつての議場が「夢交流ホール」として残されています。
白い壁面に黒い欄干や柱。天井も白を基調としながら黒のラインがアクセントになっており、こうした瀟洒なデザインに金色の照明器具がよく映えています。黒い欄干や柱に近づいて見てみると、独特な幾何学模様が施されており、建築家・武田五一のユニークなデザイン力が生かされているようです。
山口きっての名建築です
いかがだったでしょうか。ルネサンス様式を基調としたデザインの洋風建築は数多く見られますが、その中にもここならではのデザインが見られ、各部屋の意匠もバラエティに富んだものになっています。
県政の歩みや県の産業を広く知ってもらうことを目的としていることもあって入館無料。隅々にまで施された多彩な意匠もさることながら、落ち着いた雰囲気も味わえるおすすめの場所です。 

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山口県政資料館
place
山口県山口市滝町1-1
phone
0839332268
opening-hour
9:00-16:30
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