重厚そして豪華絢爛!金に輝く薩摩焼の殿堂「薩摩伝承館」鹿児島


2016.04.24

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重厚で豪華絢爛。まるで寺院仏閣のような言葉がピッタリと合う美術館があります。鹿児島県指宿市(いぶすき)の「薩摩伝承館」です。展示の主は幕末から明治期の薩摩焼で、“薩摩焼の殿堂”とも呼ばれます。ここでは、金色に輝く薩摩金襴手(きんらんで)と重厚な薩摩伝承館の魅力をお伝えするとともに、是非利用したい観光列車「特急 指宿のたまて箱」号をご紹介し、九州への応援としたいと思います。
まさに豪華絢爛!薩摩金襴手
時は幕末から明治期。日本工芸の超絶技巧期に世界を魅了した焼物があります。薩摩焼です。中でも金襴手(きんらんで)はその名の通りピッカピカで、遠くヨーロッパで「SATSUMA」の名を轟かせました。
薩摩金襴手の外観はとにかく豪華で、存在感のある造形の焼物に金色に輝く絵付がなされています。その繊細な描写と輝きには悶絶必至です。
数あるアートの中でも特に焼物には小難しいイメージがありますが、光り輝く薩摩金襴手に難解さはありません。予備知識や審美眼も要さず、気軽に楽しむことができます。
海外に渡り、そして里帰りした薩摩焼
薩摩焼を鹿児島で見る。一見当たり前の事のように思えますが、実は、美術収集家の審美眼があって初めて可能になった事です。
薩摩金襴手の最盛期、江戸末期から明治期は日本が欧米列強の圧力に晒された時代で、明治より殖産興業政策(国家の近代化や新産業の育成政策)が推し進められました。その際、外貨獲得の手段として盛んに輸出されたものが工芸品(金工・七宝・陶磁器・蒔絵など)です。
日本には武家社会で育まれた武具や調度品を生み出す高度な技術があり、殖産興業政策下で超絶技巧期を迎えるのですが、高い評価をつけた海外に品は流れ、そして国内から名品が消えました。
今、こうして眺める幕末明治の逸品の多くは、収集家が海外から買い戻したものです。得た感動に感謝が必要でしょう。
薩摩焼の殿堂「薩摩伝承館」
海外から薩摩焼が買い戻されたとはいえその数は限られます。まとまった数を鑑賞するとなると機会は僅かです。今回ご紹介する「薩摩伝承館」はその数少ない美術館のひとつで、重厚な建屋の下、常設展示がなされています。
鹿児島県薩摩地方の南部、指宿(いぶすき)に位置する当館は、約3000点のコレクションを公開する場として2008年に開館しました。建屋は日本伝統の建築様式で、宇治の平等院鳳凰堂に求めたその姿には極楽浄土の神々しささえあります。池が隔てる異世界感には圧巻の一言です。
「美肌の湯」指宿温泉の有名老舗旅館「指宿 白水館(はくすいかん)」と同じ敷地にあり、宿泊と併せれば元禄風呂・露天風呂・砂むし温泉なども楽しむこともできます。美術館だけを愉しむことももちろんできますが、是非に和風旅懐の風情に触れつつ、建屋の昼の姿・夜の姿も味わってください。
薩摩焼の殿堂「薩摩伝承館」
外観と薩摩金襴手(きんらんで)だけでも至福の当館ですが、他にも特筆すべきポイントがあります。
【豊富な展示品】
展示される300以上の品々のうち、1階の金襴手が目を引きますが、2階の展示品も逸品揃いです。
まず現れるのは薩摩の歴史をたどる「薩摩の間」で、大久保利通・西郷隆盛・小松帯刀(たてわき)といった薩摩の偉人の書や掛軸が並びます。歴史や人となりを感じる品々です。
次ぐ「民窯(みんよう)の間」では、金襴手に留まらない多様な薩摩焼を見ることができます。特に、造形も絵付も技工も見事な、歴代 沈壽官(ちんじゅかん)の作品は必見です。1階のショップで販売されている当代(15代)の作品も見逃さないで下さい。
美術愛好家を特にうならせるのは「中国陶磁の間」でしょう。「景徳鎮(※)」がズラリと並ぶなど、逸品に次ぐ逸品が迫ってきます。景色が少し現代アートな「三彩(※)」は好き好みがあるかもしれませんが、「青磁(※)」は必見です。溶け出しそうな水色に是非に溺れてみて下さい。
※ 注釈は文末に記載
【多彩なイベント】
幅広いイベントが頻繁に開催されることも当館の特徴の1つです。建屋中央のホールで、クラシックやジャズなどのコンサートをはじめ、落語、ダンスなどのイベントが行われます。
結婚式場として使われることも更なる特徴です。厳かな式と豪華な当館を思い浮かべて下さい。重厚な建屋が新郎をオトコにし、金色の薩摩焼が花嫁に華を添えることでしょう。
人気の観光列車「特急 指宿のたまて箱(愛称:いぶたま)」
鹿児島の中心部 鹿児島中央駅までは、質・デザインで魅了する九州新幹線や、飛行機とバスで向かう方法がありますが、指宿(いぶすき)までの道のりには電車が特にオススメです。
オススメの理由は「いぶたま」。人気の観光列車「特急 指宿のたまて箱」があるためです。
「いぶたま」は、薩摩半島の岬「長崎鼻(ながさきばな)」一帯に伝わる竜宮伝説・浦島太郎伝説にちなんだ観光特急で、乗車・下車時に玉手箱の煙(ミスト)が乗客を包む、心くすぐる嗜好が施されています。風が強いと流されて見えない難点(かわいさ?)もありますが、それもまたいい思い出でしょう。
車内には南九州産の木材がふんだんに使われており、高級感とレトロ感とが同居します。おもてなしも行き届いており、鹿児島中央駅から指宿駅までの約1時間はあっという間です。
車内限定販売のスイーツ「いぶたまプリン(黒ごまプリン)」も是非に。車窓に望む海の景色を楽しみつつ、プリンと黒ごまの風味を味わって下さい。
【JR日本最南端の駅「西大山駅」と開聞岳】
鉄的にもう一つ外せぬスポットがあります。JR日本最南端の駅「西大山駅」です。菜の花色の「幸せを届ける黄色いポスト」があるほか、日本百名山「開聞岳(かいもんだけ)」の美しい眺望など、一大観光スポットとなっています。所在地は薩摩伝承館より車で約30分で、車両の運行は数時間に1本程度なので、時刻表をよく確認して訪問して下さい。
※ 2016年4月現在、熊本地震の影響により九州の鉄道に乱れが生じています。文末のリンクより最新の運行状況をご確認下さい。
おしまいに
今回は、薩摩焼の殿堂「薩摩伝承館」と、人気の観光特急「指宿のたまて箱」をご紹介しました。薩摩の魅力が凝縮されたスポットです。
感動を心にカメラをその手に。
九州の魅力に触れ、九州復興の一助として下さい。
【注釈】
※ 景徳鎮(けいとくちん):窯業が盛んな中国の都市の名。世界に先駆けて高品質の白磁の生産を始め影響を与えたため「世界の陶磁器のふるさと」とも称される。転じて、中国の焼物の代名詞であり、時に景徳鎮窯(けいとくちんよう)の高級陶磁器全体を指す。
※ 三彩(さんさい):白地に緑や褐色などの釉薬(ゆうやく)で彩られた陶器。歴史ある焼物ながら、現代アートに通じる景色も見える。
※ 青磁(せいじ):文字通り青い磁器。しかしながら、品ごとに様々な青色を持つ。当館所蔵の「青磁三足小盤(せいじさんそくこうばん)北宋 汝官窯(※)」は必見。
※ 汝官窯(じょかんよう):宮廷御用品を焼成していた北宋時代の青磁窯。 

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薩摩伝承館
rating

4.5

57件の口コミ
place
鹿児島県指宿市東方12131-4
phone
0993230211
opening-hour
8:30-18:00
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