天から降ってきた山!?奈良・天香久山で聖地を巡るプチ登山


2015.08.03

LINEトラベルjp 旅行ガイド

奈良県には、かつて藤原京があった場所を囲む「大和三山」と呼ばれる三つの山があります。その大和三山の一つである「天香久山」は、天から降ってきたという伝説が今も残る場所です。頂上まで15分程度で登ることができるその小さな山には、登山路に神話に出てくる神様たちが祀られ、大昔から聖地として愛されてきました。今回は、国有林として自然そのままの姿を残す聖地・天香久山の見どころをご紹介します。
天香山神社から、山頂を目指す!
JR香久山駅から徒歩20分。天香久山は、山というより丘という印象が強く、歩きながらその香具山の様子を楽しむことができます。天香久山は、天から降ってきたという伝説に相応しい、大地に神様のいたずらで置かれたような小さな山のようです。
そんな天香久山の麓に、「天香山神社(あまのかぐやまじんじゃ)」があります。
櫛真智命神(くしまちのみことのかみ)という神様が、ご祭神として祀られています。櫛真智命神は、知恵の神様だと言われていますが、占いの神様でもあると言われています。
そんな神様にピッタリな見どころが境内にあります。
境内に立つ「波波架の木(ははかのき)」という木は、昔は「朱桜(にわざくら)」と言われており、この朱桜は「古事記」に出てくる天の岩戸の神話の中で、雄鹿の骨と朱桜の木の皮で吉凶を占ったと記されている、古事記が好きな人にはたまらないスポットです。
拝殿の奥に本殿があり、その奥には三枚の巨石があり、天から降ってきたという伝説にピッタリな本殿です。
ただし、国有林として自然が残る山の神社らしく、夏は拝殿付近に大量の蜂などの虫がいる場合があるので、拝殿の奥に行く時は注意しましょう。
天香久山には6つの登山口がありますが、この天香山神社からも山頂に向かうことができます。
山頂に鎮座する、神話で最初に出てくる大地の神
天香山神社から、山の中を歩き10~15分程度で山頂に行くことができます。国有林として保護されている天香久山は自然そのままの姿が残っており、足場が整っていないこともあるので、低い山ですが歩きやすい格好で行くのがおすすめです。
山頂には、「国常立神社(くにのとこたちのかみじんじゃ)」があります。ご祭神の国常立神は神話にも最初に出てくる神様です。この地に最初に降り立った神様ということで、大地の神であると言われており、土台を意味することもあります。
この神社には2つの社が建っており、向かって左が国常立神、右には竜王神が境内社として祀られています。その前には壺が埋められており、雨乞いをする場所でもあったそうです。
国と神を生んだ神様を祀る上の御前
国常立神社から、5分ほど南に山を降りていくと、国常立神社の末社があります。そのまま下っていきたいところですが、少しだけ道を外れて、足場の悪い道を少し登ります。そこに立つのは「伊弉諾神社(いざなぎじんじゃ)」です。伊弉諾命(いざなぎのみこと)は、神話の中で国を生み、多くの神を生んだ母という存在感が大きい神様です。
この伊弉諾神社は、地元の人に「上の御前」と呼ばれています。
社の横には燈篭が立ち、その反対には伊弉諾神社と刻まれた石碑が立っています。
はっきり言って、この場所は行きやすい場所にあるわけではありません。しかし、地元の方たちに愛されている場所であると感じられる場所です。その証拠に、社には多くのミツバチが巣をつくり生息しているのですが、社の前にミツバチに関する案内版が立てられています。そこには、自然を守るために「ミツバチを見守ってほしい」という思いがしたためられています。
自然と一緒に暮らし、この天香久山を見守ってきた母のような愛を感じる場所です。
国と神を生んだ神様を祀る上の御前
上の御前と呼ばれる伊弉諾神社を参拝する際に、必ず参拝しておきたいのが、伊弉諾命の夫でもある伊弉冊命(いざなみのみこと)が祀られている「伊弉冊神社(いざなみじんじゃ)」です。
伊弉諾と同じく、国と神を生んだ神々の父。伊弉冊神社は伊弉諾神社と東西に対角線上に祀られており、「下の御前」と呼ばれています。上の御前から50メートルほどの場所に位置しますが、このあたりは足場が整理されていないので、目の前に見える伊弉冊神社を目指すと、社が立つ小高い場所とは少し外れた道を歩き、何の社かわからないで通り過ぎてしまうことも。上の御前と下の御前は、国常立神社の末社として対となっている存在なので、見逃さないようにしましょう。
伊弉冊命と伊弉諾命は、神話ではこの二人なしでは語れないほどの存在です。そんな2人に挟まれながら、天香久山を降りていきます。
巨石が並ぶ神社の不思議な竹
険しい山道を抜け、2分ほど歩いた場所に小さな鳥居が現れます。
そこは、「天岩戸神社」という神殿のない神社です。拝殿の奥に回ると奥に巨石が並び、この石を御神体とする神社です。
天岩戸とは、神話で出てくる天照大御神(あまてらすおおみかみ)がお隠れになった場所です。太陽の神が隠れたことで、世の中は暗闇になり、多くの神が知恵を出し合い、天照大御神を外に出し光を取り戻したという伝説です。ここの巨石は、その天岩戸の石であると言い伝えられているそうです。
ただ、巨石が並ぶだけの神社ですが、拝殿の奥はとても静かで、厳かな空気が流れます。
また、この神社には、毎年7本の竹が枯れ、その代わり7本の竹が育つとい不思議な話が伝わっている神秘的な場所です。
聖域の正体は、神話の世界を実現化した場所だった
天香久山は、大和三山の中でも聖域として扱われてきた場所です。
その大和三山の中心に藤原京を造った持統天皇は、太陽の神である天照大御神に憧れていたという言い伝えもあります。そんな持統天皇が天香久山を見て季節の変わり目を感じながら歌を詠んだということは、聖域であるこの山を、いつも目にしていた証拠なのかもしれません。
天香久山はとても小さな山です。そこを歩いているだけで、国に降り立った神、雨を恵んでくれる神、国や神を生んだ夫婦神、太陽の神が隠れた岩戸、そしてその神を岩戸から出すために占った伝説の木に出会うことができます。
今よりもっと神様という存在を近くに感じていた古代の人は、そんな神話の疑似体験をすることで、力を得ようとしたていたのではないでしょうか。そんな、果てしない想像力を掻き立てられる場所は、間違いなく聖域であると思います。
国有林として、これからも大事に守っていきたい日本の場所です。 

天香久山
place
奈良県
no image
大和三山
place
奈良県橿原市
phone
0744201123
opening-hour
散策自由
天香久山神社
place
奈良県橿原市南浦町
no image

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