ラーメン官僚も大絶賛する行列店『麺屋ルリカケス』(木場)の錦糸卵と鶏のほぐし身が光る至極のラーメンとは?


2022.09.04

食楽web

食楽web 今回ご紹介するのは、2022年6月23日に東京・木場にオープンした『麺屋ルリカケス』。今年(2022年)は、未曾有の新店ラッシュが5~6月にかけて勃発。しかもその中には、将来の都内ラーメンシーンの屋台骨を支える実力店となることが嘱望される優良店も、多数含まれています。『麺屋ルリカケス』も、間違いなく、そんな優良店と目される店舗のひとつです。同店を切り盛りしているのは、磯脇智将(いそわきともゆき)店主。磯脇店主は、ラーメン業界に入ってから今般の独立に至るまでに12年もの修業経験を重ねたベテラン。しかも、同氏の直近の修業先である『らーめん改』(台東区蔵前)は、貝出汁ラーメンで名を馳せる名店。まさに、ラーメンづくりのノウハウを知り尽くした実力派と言えるでしょう。 店舗の場所は、最寄りである東京メトロ東西線・木場駅から徒歩2分程度。永代通りからは少し中に入りますが、入り組んだ路地裏にあるわけでもないので、迷うことはまずないと思います。木場駅はホームが東西に長く伸び、どの出口から地上に出るかによって、店舗までの所要時間が大きく変わる。駅の1番出口(最も東陽町寄りの出口)を利用すれば、最短時間で店へとアクセスできる そんな実力派職人である磯脇氏が、『らーめん改』と味をまったく異にする1杯を引っ提げ、満を持してラーメン激戦区・木場の地で独立開業したとなれば、ラーメン好きからの注目を浴びないはずがありません。もちろん私も同店の存在をスルーできるはずがなく、さっそく足を運んできました。 ちなみに、私が訪問したのは日曜。営業開始30分前を過ぎた頃からお客さんが並び始め、営業開始直前段階では、10名程度の行列。そして営業が始まり暖簾が掛かる頃には、すでに大勢のお客さんが並び、その後、営業が終了するまで行列が途切れない状況が続きました。 ちなみに、屋号の由来は、店主の故郷・鹿児島県の県鳥に指定されている『ルリカケス』。県鳥ルリカケスは、現在、同県の奄美大島、加計呂麻島、請島のみに生息する、国指定の天然記念物。食べ手にとっても、一度耳にしたら頭から離れないキャッチーな屋号だと思います。彩り鮮やかな美しい一杯「味玉醤油そば」落ち着きのある雰囲気の店内 目下、『ルリカケス』が提供するのは、「醤油そば」と「塩そば」の2種類の麺メニューと、それらのバリエーション。今回は、「醤油そば」に味玉をトッピングした、「味玉醤油そば」をいただきました。食券を手渡し、店主の調理工程をぼんやりと眺めること数分。待ちに待った「味玉醤油そば」の登場です。「味玉醤油そば」1100円「味玉醤油そば」のビジュアルは、まさに唯一無二。実食したラーメンであっても、しばらく経つと、そのビジュアルを大抵忘れてしまう私でも、一度目にしたら脳裏に焼き付いて離れない趣豊かな顔立ちです。 錦糸卵の「黄」、鶏のほぐし身と味玉の「白」、九条ネギの「緑」、細切りメンマの「茶」、豚チャーシューの「紅」。さまざまな色合いが、スープの深褐色を背景にくっきりと浮かび上がり、抜群の視覚的訴求力を誇ります。 特徴的なのはビジュアルだけではありません。ラーメンのトッピングとしては極めてレアな「錦糸卵」、「鶏ムネ肉のほぐし身」を使用していることも、特筆に値します。これは、奄美の名物料理をヒントに生み出したトッピングだそう。「奄美出身の母が、よく家庭料理として作ってくれた『鶏飯』の要素を、ラーメンに落とし込んでみたのがこの『醤油そば』なんです」と磯脇店主。すっきりとしていながら鶏のうま味を感じられるスープ スープは、丸鶏、鶏ガラ、本枯れ節、花鰹をはじめとする節系魚介等によって構成。それぞれの素材のうま味バランスの調整に、磯脇店主が、日々、細心の注意を払いながら、ブレンドしてつくり上げたものです。できる限り地元・鹿児島の素材を使おうと考え、鶏は、『黒さつま鶏』と『さつま赤鶏』をチョイスしているとのこと。 スープをレンゲで掬いズズッとすすり上げれば、頬がベコッと落ちる感覚が襲いかかります。五臓六腑にじんわりと沁みわたる鶏の滋味と、鼻腔を心地良くくすぐる節の和風味。その双方が、互いを引き立て合いながら仲睦まじく共存し、より高い次元のうま味を創出しています。まさに、淡麗鶏魚介スープの最適解とでも言うべき、うま味の“黄金比”。素晴らしいとしか言いようのない出来映えです。モチモチの麺がスープによく絡む このスープに合わせる麺は、自家製。九州産の小麦『チクゴイズミ』を配合するなど、麺にも九州の素材を採り入れています。好みに応じて、太麺と細麺の2種類から選択できるのも、うれしい限り。 太麺は、柔らかくモッチリとした食感が印象深い九州のうどんをイメージしながらつくり、一方の細麺はパスタに用いるデュラム粉をブレンドし、パツンと歯切れ良い食感を演出することを心掛けたそう。 取材時は太麺をチョイスしましたが、確かに、唇に吸い付くようにみずみずしい麺肌と、噛み締めるたびに歯を押し返してくる強靭な弾力が、麺好きの琴線のド真ん中に触れる逸品。とりわけ、麺に、錦糸卵と鶏ムネ肉のほぐし身を絡み付かせ、3者を同時に咀嚼したときに生まれるうま味の“最大瞬間風速”は、ここ最近、体感したことがないほど強烈なものがあり、思わず、「これは美味しい!」との声を上げてしまったほど。自家製麺。やや平打ちで、縮れ具合がスープの絡みを良くしている スープ、麺はもちろん、ひとつ一つのトッピングに至るまで、どれもが作り手の丁寧な仕事ぶりが垣間見える秀作で、かつ、それぞれのうま味もハイレベル。なおかつ、それらが一体化したときに生まれる味わいにも、一糸乱れぬまとまりの良さが感じられました。「これからも絶えずブラッシュアップに励み、誰もがワクワクできるようなお店にしていきたいです」と、抱負を語る磯脇店主。新店とは思えないほど完成され、さらに、独創性が加わった、完全無欠の1杯。腹の底から湧き上がる、ワクワク感。再訪を決意しながら、店をあとにしたのでした。磯脇 智将店主のプロフィール鹿児島県霧島市の出身・12年前にラーメン業界に入り、複数の人気店、実力店で修業。4年前に、台東区蔵前の実力店『らーめん改』の門を叩き、同店の店長を任される。・現在『ルリカケス』で提供しているラーメンは、『らーめん改』での修業時代にプロトタイプとして数回提供した限定ラーメンを、大幅にブラッシュアップさせたもの。・現在の磯脇店主の住居が東陽町ということで、住まいの近隣で店舗を探していたところ、奇跡的に見付かったのが現物件とのこと。目指すは、お客さんにワクワク感を抱いてもらえるようなお店。●SHOP INFO店名:麺屋ルリカケス住:東京都江東区東陽3-6-2 小鳥居ビル 1FTEL:非公開営:11:00~14:30、17:00~20:00 ※売り切れ次第終了休:火曜●著者プロフィール田中一明「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。 

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麺屋 ルリカケス
place
東京都江東区東陽3-6-2 小鳥居ビル 1F
opening-hour
[ランチ]11:00-14:30[ディナー…
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