ラーメン官僚が絶賛! 新小岩『仙臺自家製麺こいけ屋 分店 緑栽』の「シャモ中華そば」と「タンメン」が激ウマな理由


2022.05.26

食楽web

食楽web 今回ご紹介するのは、2022年3月26日に東京・新小岩にオープンした『仙臺自家製麺こいけ屋分店 緑栽(りょくさい)』。同店は、宮城県仙台市に2014年に開業し、満を持して今年6月にリニューアルオープンを遂げた『こいけ屋』初の分店。本店は、現地・仙台では言わずと知れた、行列ができる人気店です。 さて、こちらの『緑栽』。店主は、同じ新小岩で『うつつ川』という懐石・会席料理店を営む現役の和食料理人・松尾芳憲氏。『緑栽』開業のきっかけは、実は2011年の東日本大震災で被災した東北の惨禍を目の当たりにし、東北を応援したいという気持ちを抱いた松尾氏が、日本料理修業時代の兄弟弟子で親友の『こいけ屋(本店)』の小池店主に相談したのが始まり。「5年ほど前から、ラーメンづくりを勉強するため、空き時間を見つけては仙台の『こいけ屋』に足を運び続けました。2年前、リニューアルによって本店のラーメンが現在の味となり、『緑栽』出店の話が本格化。東京に分店を出すことになりました」(松尾氏・以下同) ちなみに、『緑栽』は本店とは別系列で、完全な独立店だそうです。それにしても足かけ5年以上に及ぶ出店までの道のり。「どこで誰に出しても通用する」と胸を張れる水準に至るまで、拙速に走らず雌伏し、じっくりと腕を磨いてきたことが想像できます。 こうした気の遠くなるような過程を経て誕生した店なので、提供されるラーメンの完成度が高くないはずがありません。開店早々から、複数のラーメンマニアから「新店とは思えないほどハイレベルな1杯」との情報が漏れ聞こえ始め、私も居ても立っても居られず、新小岩に足を運んできました。白い壁に浮かび上がる『RYOKUSAI』の黒文字。どことなく近未来を感じさせる外観 ロケーションは、新小岩駅(JR総武本線)の改札から3分ほど。オムライスが有名な町中華『五十番』のお隣と言えば、ピンと来る人もいるのではないでしょうか。私が訪問したときも、『緑栽』の前に行列が連なる一方、『五十番』の暖簾をくぐるお客さんも途切れない状況。新旧2軒の優良店が手を取り合いながら、新小岩の活性化に尽力する。素晴らしい光景だと思いました。店内は青を基調とした作り。女性客が一人でも入りやすいオシャレな内観 入店するとすぐ左手に券売機が鎮座。現在、恒常的に提供する麺メニューは、「シャモ中華そば」「こいけ屋タンメン」「冷しシャモ中華」の3種類。サイドメニューとして、「ライス」のほか、「味玉丼」「鶏山葵丼」「チャーシュー丼」等の丼物も用意されています。 ほかのお客さんの注文内容を見ると、大きく「シャモ中華そば」と「こいけ屋タンメン」に二分されている様子。私はと言えば、「シャモ中華そば」「こいけ屋タンメン」ともに気になっていたので迷わず両品2枚の食券を購入しました。圧巻の「シャモ中華そば」と「こいけ屋タンメン」に舌鼓「シャモ中華そば」880円 私が訪れたときには、「シャモ中華そば」と「こいけ屋タンメン」が同じタイミングで提供されましたが、今ではもしかすると、1杯目を食べ終えた後に2杯目が出されるようになっているかもしれません。 いずれにせよ、特に野菜等が大量に搭載される「タンメン」は、少しでも早く箸を付けないと、麺やトッピングがスープをどんどん吸い上げてしまうので、早食いに自信がなければ「シャモ中華そば」を食べた後で並び直し、改めて「タンメン」を注文するのがオススメです。※「タンメン」から先に食べれば問題なさそうにも思えますが、「シャモ」より「タンメン」のうま味のほうが濃厚なので、連食するなら「シャモ中華そば」から先に食べるのが吉 カウンター越しに厨房を覗けば、まだ若い2名のスタッフが、松尾店主の指導の下、一心不乱に1杯1杯を作っています。注文が通ってから5分程度で、「シャモ中華そば」と「こいけ屋タンメン」が完成しました。動物的な野性味と海鮮の繊細さを併せ持つ滋味深いスープ「シャモ中華そば」は、見目麗しい1杯。薄褐色の半清湯スープが、美しい紅色を呈した親鶏の鶏肉&スライスチャーシューと絶妙な色彩的コントラストを形成しています。一定以上の経験を積んだマニアであれば、このラーメンを見ただけで、麺、スープからトッピングに至るまでの極めて丁寧な仕事ぶりが見て取れると思います。「シャモ中華そば」のベースとなるスープ「シャモ中華そばの出汁は、3種類の軍鶏をブレンドしています。『川俣シャモ』で清涼感を伴った深みとコク、『東京シャモ』で野趣味豊かなうま味を演出し、『奥久慈シャモ』が土台として、それらの魅力を底上げする役割を担っています」。それぞれの軍鶏の持ち味をしっかりと把握し、絶妙なバランス感覚でそれらを組み合わせ、最適解を導き出す。その構成力たるや、見事というほかありません。 特筆すべきは、出汁だけではありません。貝を軸に、東北の醤油と岩塩をミックスさせて創るタレの上質なうま味も、出汁の素材感の明確化に、ひと役もふた役も買っています。スープを啜ると、軍鶏の豊潤かつ骨太な滋味が味覚中枢を直撃。その後を追うように、ふわりと宙を舞い鼻腔をくすぐるタレの芳香も、凛とした気品に満ちあふれ、食べ手の心身を優しく包み込みます。 竹炭を飼料として用いて育てた親鶏チャーシューの分厚いうま味も相まって、箸とレンゲを持つ手が止まりませんでした。「こいけ屋タンメン」980円 もうひとつの看板メニューである「こいけ屋タンメン」は、スタイリッシュな出で立ちの「シャモ中華そば」とは打って変わって、迫力満点の1杯。大量の炒め野菜(モヤシ、ニラ、キャベツ)と、大ぶりのブロックチャーシューが「これでもか!」と言わんばかりに搭載された武骨なビジュアルが、箸を付ける前から食べ手を圧倒します。魚介出汁、豚骨白湯、軍鶏スープを重ねたスープ「本店の小池店主が味噌ラーメンに着想を得て創り上げたオリジナルの1杯」という同メニューは、3種類のスープ(魚介出汁、豚骨白湯、軍鶏スープ)を巧みに重ね合わせることで、重層的かつ奥ゆきのあるうま味を創出。仕上げに花椒と自家製ラー油を注ぎ込むことにより、味わいにパンチ力を持たせることに成功しています。 食べ進めるにつれて、炒め野菜のナチュラルな甘みがスープへと溶け込み、うま味がさらにヒートアップ。うま味・辛み・甘みの三味が味蕾を間断なく刺激し、食べ手を恍惚の境地へと誘います。歯切れの良さも魅力の麺。ご飯のような食味を持つ上質な小麦粉を使用することで、麺だけをすすっても満足感は十分 これらのスープに合わせる麺は、自家製ストレートです。なめらかな麺肌と適度なコシを兼ね備え、すすり心地は秀逸。滋味豊かなスープを真っ向から受け止め、かつ麺自体からも確固たる主張が伝わってきます。「手に入る川俣シャモの分量が限られているので、当分の間はラーメン専門店は、この『緑栽』一軒でやっていこうと考えています。まずは、この新小岩の地に根付き、地域から愛されるお店を目指したいですね」と、抱負を語る松尾店主。スタッフの接客もきめ細やかで、味以外の満足度も極めて高い同店。未訪の方はぜひ一度足を運んでみてください。松尾芳憲氏のプロフィール・長崎県出身。日本料理の職人として10数年にわたり複数の店舗で修業を重ね、2018年、新小岩の地に、四季折々の旬の食材にこだわった懐石・懐石料理の店『うつつ川』を開業。・同時に、日本料理修業時代の兄弟弟子である宮城県仙台市『こいけ屋』の小池店主と共に、ラーメン専門店の開業を目指して準備を進め、2022年3月に『こいけ屋』の分店『緑栽』を立ち上げる。●SHOP INFO店名:仙臺自家製麺こいけ屋 分店 緑栽住:東京都葛飾区新小岩2-13-4 佐藤マンション 1FTEL:03-4400-8448営:11:00~15:00(14:30L.O.)、17:00~22:00(21:30L.O.)休:水曜●著者プロフィール田中一明「フリークを超越した「超・ラーメンフリーク」として、自他ともに認める存在。ラーメンの探求をライフワークとし、新店の開拓、知られざる良店の発掘から、地元に根付いた実力店の紹介に至るまで、ラーメンの魅力を、多面的な角度から紹介。「アウトプットは、着実なインプットの土台があってこそ説得力を持つ」という信条から、年間700杯を超えるラーメンを、エリアを問わず実食。47都道府県のラーメン店を制覇し、現在は各市町村に根付く優良店を精力的に発掘中。 

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仙臺自家製麺こいけ屋 分店 緑栽
place
東京都葛飾区新小岩2-13-4佐藤マンション1F
phone
0344008448
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JR新小岩駅南口より徒歩約5分

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更新日:2024/04/24

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